水を呑む男 / 中田満帆

水を呑む男 / 中田満帆

「水を呑む男」うなだれてうろついて壁に立ち這いまわるよるべない室のなかはつ夏の窓が舞う水甕が落ちて来て花びらがはち切れるカンバスのうえでいま自画像 ゆれているちらばった筆をとりあたらしいきみを待つまだ色が死ぬまえに祈祷書、焼いている 水を呑む男土地涸れ、花が死ぬ水がまだ流れてるどうしてか、この夏がやかましくつきまとうまだきみは来やしないいま水を掴む手は眼のまえを去りながら雲となり、馬となるもうおれは投げだしてきみのない場所へただ流れ、流れてゆける舟に棲むために 水を呑む男

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42318035