干渉者と黒 / 初音ミク

干渉者と黒 / 初音ミク

気付けば僕は立ち尽くしていた。一体いつからここに立っていたかすら分からない、気付けばここにいたんだ。周りを見回してもただ広いだけの空間があるだけで、見上げても天井はなく、床を見ても平べったい黒い地面があるだけだった。軽く歩いてみるとコツンコツンと僕の足音が響いた、まるで学校の体育館を1人で歩いているかのような足音だ。僕以外から発せられる音は何もなく、とても異様な空間だった。どうして僕はここにいるんだという疑問を解決してくれるものは特にはなく疑問は疑問のままだった。僕はそのまま歩き出した。歩けばきっと何かあるとそう信じて。体感時間で15分ぐらいは歩いただろうか、一つの白い箱がポツンと置かれていた。この黒しかない空間で白はとても目立っていて遠くから見てもすぐ何かがあるとわかった。大きさは大体ティッシュの箱より少し大きいぐらいだろう、手に取ってよく観察してみたが開けれそうな感じでもない、重さは少し重く感じる程度でただの綺麗な正四角形の箱でしかなかった。大した収穫もなくため息を吐きながら箱を粗雑に放り投げた。聞こえてきた音は単に箱が地面とぶつかる音ではなく、まるで生き物が潰れるような音がした。驚いて咄嗟に箱の方を見ると箱が潰れて血のようなものが流れ肉片らしきものが飛び散っていた。あまりにも生々しく、箱の中身は何だったかは確認するのが僕は怖くなって、そのまま走ってその場を後にした。今思えばちゃんと箱の中身が何なのか確認すべきだった。目の前で海のように広がって埋め尽くされている白い箱の数々、きっとさっき放り投げた箱と同じものだろう。でもまあ、川沿いを歩くかのように行けばきっと箱がないところがあって先に進めるだろう。そう思っていたのに、歩いていて分かった僕は円状に箱で囲われている。つまり箱を踏み潰して僕は歩いて行かなきゃ行けないわけだ。きっと踏めばまたあの音を聞くことになるんだろう、正直とても行きたくない、あの箱の中身が何なのか考えたくないし知りたくないのだ。もう、ほんとにどうして僕はこんなところにいるんだろう。目の前に広がる箱の海を眺めた。家に帰りたいな。一歩踏み出した、まるで生き物が潰れるような音がした。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42608803