ぼんやりとしたあいまいな場所です それは古い洋館を包む園のような場所であり 植物の周りを蝶が飛んでいるような場所であり 懐かしい騒音が聞こえているような場所であり 人も虫も動物もいないような場所であり もしくはそれらと全く異なる場所であり これを庭と呼びます 庭には独立した感情体が居付きます その感情体は五感を持たず 過去の感情の反芻のみを行います 安堵と高揚と陶酔に執着し ほんの少しの不安と恐怖を好みます それらは新しく思考をしません 過去の思念の集積でしかありません 個性はあってもエゴはありません それらは進化しません 不要な疑問を抱く能がありません それらは記憶しません 全てに飽きることがありません 庭はこのような感情体をひとつ取り込み 常にそれに寄り添い続けます 感情体の望む感情の全てを作り出します それは状態であり活動ではありません そこに利害は関係しません 庭はストレッサーとしての諸行無常を否定します 確実に悠久の理想を提供します 感情体は間違いなく庭の体験を記憶しません アペイロフォビアにはなりえません 庭と感情体には理想的な関係があります 私たちは未だ完全な庭に着いていません 感情体ではない私たちは不完全な庭を甘受することしかできません 不完全な庭は有限の苦しみであり意味のわからないものであり そしてこれを夢と呼ぶ