蛹とトカレフ / 可不

蛹とトカレフ / 可不

 蛹とトカレフ遠くの街の少女は高架下飛び降りたって誰かが言った見覚えのない面影が微笑った「誰を恨めば、なんて解らなかった。」額縁に潜って彼女は言った「美しいものは過去にしかないんだ。」窓から飛び立っては堕ちていった参考書がまるで翼みたいだほら妄想さえも全部消えていく散々な愛も回想さえも枯れていくくだらないと笑った小説の一節頭から離れない戦争と平和 天国と地獄天使と悪魔 花と檸檬まだ眠っていたい朝が終わらない理想と現実 純愛と性欲僕らの変態まだ美しいものは苦手でした遠くの街の少女は言った「また明日、ここで逢いましょう。」って黒い制服纏いいつしか止んだ雨粒一つを携えていった夜の公園火種ポツリ浮かんだひとりでにブランコが揺れていたんだ約束どおり手渡された拳銃握りしめて走っていくただ存在さえも簡単に壊れていくこんなにも柔い肌穿いて朧気に君は消えていく朝になったらもう触れない夜顔と睡蓮偽った恋の結末なんてつまらないってまだ神様の作り方はわからないリビトーとデストルドー罪と罰セックスとピストルまだ皮膚の奥で渦巻いているから足りない何かを埋めるように君の声をきいてそれさえ全部欺瞞で醜さに向き合うこともしないで繭の中で息を潜めて夢の中で呼吸をしたんだ言い訳と虚構に溺れていくんだ愛情と怠惰 憂鬱と痴情電子とドグマ 毒と瑪瑙まだ眠りたくない夜が終わって春の海岸線に舞い落ちていった君の残像を追いかけていたいつかこの背を解いてもう一度あの花の上でまた逢えたなら今度は君の望んだほうへ羽ばたいていこう最後に思い出すのは他愛ない話ばかりだ綴られた言葉に意味なんかないよだけどまだふたり溺れていたいよ

http://www.nicovideo.jp/watch/sm43782119