吉永小百合さんの20歳の成人式の記念に作ったラジオ番組。「おはよう、インディア」で、構成=寺山とやったから、申し訳なくて、次は寺山さんが楽々書けて、5分の打ち合わせで済むような作品を提案した。「物語の時間」の枠。ただ俳優が読むだけじゃつまらない。たまには脚色や作り物をやってもいいんじゃないかと思って提案したら通った。吉永さんと寺山さんと永福町の喫茶店で会って、話は2分で終わっちゃった。「1歳から20歳までを1分で区切っていきたい…」と言うと、寺山さんは「なんとなくわかるような気がする」。それで打ち合わせは終わりです。後は書くのは寺山さん。 その中で、後にカルメン・マキが歌って大ヒットした「時には母のない子のように」を吉永さんに朗読させた。原曲は「SOMETIMES I FEEL LIKE MOTHERLESS CHILD…」でしょ。訳詩そのままじゃない、っていうと「その方がいいんです」と言う。「二十歳」は寺山さんのもっともやわらかい部分が出た少女向けの詩。「1歳、私のバラックの上の空はなんだかとても頼りなさそうでした」「7歳、小学校の運動場の屋根に 私はツバメの巣を見つけました。そのことは誰にも言いませんでした…」そういう詩で区切っていって、間にドキュメンタリーの音を入れていく。吉永さんもこの作品は気に入っていて、後に、40歳になったとき、突然、ボクのところに電話をかけてきて「あのテープありませんでしょうか」という。散々探したけどなかったですね。 最後に「二十歳、私はただ”質問”になりたいと思っていたのです。いつでも、なぜ?と問うことのできる質問。決して年老いることのない、みずみずしい問いかけに…。そしてわたしの気持ちは、いまでもかわりません。私は二十歳。私の名前は、吉永小百合です」と結ぶ。すごくよかったですよ。寺山さんも1時間くらいで書いちゃったと思う。湯浅さんも一晩で曲を書き上げたし、ボクも一日、いや数時間で作ったかな。鮮やかなものですよ。でも、放送直前まで、編集作業してたけどね。今なら大変な騒ぎになりますよね。(佐々木昭一郎氏の解説より)