【偽チアキ】最近、キヴォトスの海は様子がおかしい。原因不明の沈没事故や予兆なしの海底火山の噴火……対策会議には、ヒマリだけでなくエイミも参加していたことを考えるとそういうことなのかもしれない。素人ながらに何が起こっているのかを考えながら、先生は静かな廊下を歩いていた。足音が響く静寂の中、ひときわ高く聞こえた声が突然背後から響いた。「先生~!」「やあ、こんにちは。……万魔殿の君がどうしてここへ?」「先日の大洪水といい、オニヒトデの異常発生といい、どうもキヴォトスで何か異変が起きているんじゃないかとサツキ先輩が言うもんですから、代わりにこの元宮チアキが取材に来たんです!」チアキといえば、週間万魔殿という雑誌を作っている生徒だ。記者としても万魔殿の一員としても今回の一連の騒動は気になるものなのだろう。「先生はどうお考えになりますか?」「まだ何ともはっきりしたことは分からないんだ。そこでその原因を調べるため、海底にロボットを送り込むことにさっき会議で決まったよ」「なるほど!海の中をロボットで調べるわけですね!」「そういうわけなんだ。じゃあ私は会議があるからこれで」「は~い!頑張ってくださいね!」彼女は大きく手を振り、私を見送った。「これは何とか記事になりそうですね!よーし、しばらく追ってみるとしますか!」廊下を少しだけ歩いたところで後ろから元気な声が聞こえてきた。しかし、先生にはどうしても気になってしまうことがあり、足を止めて振り返った。「あ、そうだ。最後に1つ聞いても良いかな?」「はい!何なりと質問してください!」「君、誰?」その言葉に、彼女は顎に手を当てて首をかしげる。その仕草は可愛らしく見えたが、一瞬だけ冷徹な光が目に宿ったのを先生は見逃さなかった。「あの〜?質問の意味が……」足音、話し方、些細な癖が全く違う。おそらく、この少女はチアキに扮した別人だ。「チアキじゃないよね」「ははは、やだなぁ」彼女の声が、冷たく響くその瞬間、先生は確信した。目の前にいるのはチアキではない。明るくて無邪気だった表情は一瞬で消え失せ、一瞬動揺してしまった先生に飛び掛かり銃を突き付けてくる。普段のチアキとは全く異なる鋭い冷徹さが顔を覆っていた。「ところで、万魔殿のみなさんはお元気ですか?」その一言が、すべてを物語っていた。彼女の目的は、この海の異変の情報を得ることではない。シャーレや他校の動向を知るために、わざわざチアキに扮して近づいてきたのだ。私はその意図を、即座に理解した。__いや、してしまった。【続きはPixivにもありません】