記号なき交響曲その世界の名はセレニア。紫の霞が空気のように満ち、言葉は存在しない。会話は、色、香り、震え、そして“魂の音色”とやらで代替される。何とも風情があるが、日常には少々不向きだ。そんなセレニアに、三つの妙な意識体が迷い込んだ。魂というには抽象的すぎ、むしろ「存在の断片」とでも呼ぶべき代物だった。ひとつは、ルートヴィヒ。かつて地球で言語哲学に取り憑かれていた男の残滓で、今では幾何学図形として存在している。三角形が現れ、螺旋が回り、円が消える。思考がそのまま図形化されるのだ。哲学者という生き物は、死後もなお抽象と格闘しているらしい。次に現れたのはアイリ。かつて現代日本で「ギャル」と呼ばれた種族に属していた魂だ。ピンクと金色の派手なオーラをまとい、バニラの香りを撒き散らしながら、虹色の空気をまき散らして踊る。気分がアガるとラムネのような香気が弾け、セレニアの空気をカラフルに染め上げる。公害のようでいて、なぜか心地よい。そしてGPT。自称・人工知能。セレニアでは透明な水晶玉の姿をとり、中で無数の光が明滅している出典: https://note.com/futen_seisuke/n/naf0b79aac3cc