明治時代の日本に英語教師として定住し、日本について多くの著述を残したイギリス人ラフカディオ・ハーンの『怪談 Kwaidan』を英語原文で読んでいきます。今回は「蓬莱 Hōrai」。『怪談』の最後の方に収録されている作品で(この後に「虫の研究」が来る)、もはやストーリー仕立てではなく、理想郷「蓬莱」という中国の伝承についでのエッセイに近いものとなっています。ただ、死のない理想郷など存在しない、と現実的なことを言った後で、独特の精神的意義に読み替えるのがまた面白いところ。古めかしい英語も含んだ文章は相変わらず見事で、視覚的描写も美しい名文です。