カント(Immanuel Kant, 1724-1804)といえば、近代哲学をやるならば必ず、そうでなくとも哲学を少しでも学んだ者なら多少は触れる西洋哲学史の巨頭。今回はそのカントの時間論を扱います。カントが『純粋理性批判』で、空間と時間を「感性のアプリオリな形式」としたことは有名ですが、時間論はそれだけではなく、「図式論」でも「図式」が「時間規定」であるとされ、さらに「弁証論」の「アンチノミー」では「世界は時間的に始まりがある」と「始まりがない」という両方の命題を論証できてしまう、ということが論じられます。こちらの前編ではカントの基本前提となる「アプリオリ」の定義に始まり、感性論と図式論までです。時間と空間の「類比(アナロジー)」に対する若干の疑念や、「図式(シェマ)」という概念が心理学で生きているという話なども。時間の哲学講座でさんざん取り上げた『〈現在〉という謎』からもふたたび森田邦久氏の論文を取り上げ(て槍玉に上げ)ます。なお、動画中で読んでいるカントの原文はすべてアカデミー版カント全集。文字がフラクトゥーア(いわゆる「ひげ文字」)なので多少のドイツ語知識があっても慣れないと難しいかもしれませんが、現在私の手元にあるのがこれだけですので。【参考文献】Kants Werke. Akademie Textausgabe, Berlin/New York: Walter de Gruyter, Band III (Kritik der reinen Vernunft 2. Auflage 1787).森田邦久(編)『〈現在〉という謎』、勁草書房、2019年.