ハイデガーの「真理」論は、ギリシア語「アレーテイア」の原義に注目して、人間の原名や判断の正しさよりも存在それ自身が「隠れなく」現れることを重要視する、という点でした。そこで1930年代から次第に重きを置かれるのが「自然」と訳される「ピュシス φύσις」です。彼はこの語を「自ずから立ち現れるもの」と解釈し、それこそ「存在」であると論じるからです。そしたハイデガーの議論を1935年の講義『形而上学入門』から見て、文明批判と自然論という彼の問題意識にも少し触れました。【今回扱った文献】Martin Heidegger, Gesamtausgabe, Band 9, Wegmarken, Frankfurt am Main: Vittorio Klostermann, 2004 (初版 1976).Martin Heidegger, Einführung in die Metaphysik, Tübingen: Max Niemeyer, 1998 (初版 1953).Martin Heidegger, Gesamtausgabe, Band 5, Holzwege, Frankfurt am Main: Vittorio Klostermann, 2003 (初版 1977).