宝石図鑑 / 歌愛ユキ

宝石図鑑 / 歌愛ユキ

図鑑の破れたページを開いたままで佇んではどこか遠くできこえたオカリナ剥がれ落ちそうなペンキの扉の前でどんな夢を見れば良かったのでしょうか私は透き通ったクォーツのような祈りはあなたに届いたでしょうか空になった花瓶はいつしか埃を被ってしまってるあなたに貰った宝石図鑑を一つも読み飛ばさずに眺めているうちに全てが分かって古びた写真機に映したいのは八月のあの星空もう帰ることのない街明かり思いついたままでいいよと湖畔のボートを漕ぎだす僕ら消えたカルデラの跡地で壊れた電信機の針もう通うことのない片思い行き場の無いままのメッセージ与えられた紙切れひとつに食み出さぬように綴ってきたけど宛名だけを書き残している私を見つけてほしいの手に触れる程に柔らかな肌を今になって思い出す砂浜にふたり隣り合い話したこと魚を失くした水槽のようにただ過ぎゆく毎日だとしてもあなたを愛していたいことあなたに貰った宝石図鑑を一つも読み飛ばさずに眺めているうちに全てが分かって古びた写真機に映したいのは八月のあの星空もう帰ることのない街明かり

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