僕は、人類が境界を失う瞬間に立ち会いました。歌詞翻訳不能のかなしみふたつ(=2) 可視化の洪水による孤独(=1) 対話終止語としての『価値観』(=2) 比較は人から幸福を奪う(=n) ぷるぷる震えてる顔から足を生やして 曲がらないひざで踏ん張るヒトは 水の怖さだけを密かに語るが 誰とも視線は合わない。 ぴゅーぴゅー吹く風は死者の息に似ていて 折れにくいあばら骨で渇いた演奏をしながら やけに難しい生物学を頼りに 飛んでくるタネを待っている。 太陽と月が同じ大きさで同じ空にある今日は 洪水が都市を呑み人類がはじめて考えている。 考えた人類が最後に求めたことはこの終末を祝うこと。 倒れたビルの屋上では水に濡れた群衆が 地層の震えに合わせて紙ふぶきを投げている。 僕はまだ浅い水の層から ひっそりと太陽と月を眺めている。 ぷるぷる震えてる脳みそを経験で曇らせ 手頃な他者に無声ごと訴える人類が 傷を睨むと冷えた思考は誰かを殺せる温度になる。 ぴゅーぴゅー吹く風は湿った脳みそを乾かし、 その強い匂いは不特定多数に漂うために 焦点の合わない目をつくる修行に ひっそりと日々勤しんでいる。 太陽と月が同じ大きさで同じ空にある今日は 洪水が都市を呑み人類が再び考えている。 ねじれたままの思考で頑張った人類は 独善教育 修了済み 死体の上に立つ文明を延命させた人類は 屍の種類で歩幅が決められてる事実には気づかない。 そのとき太陽と月の影の証言を 僕は泡の底の底で聞いていたよ。 罪、主観 思考、主観 正義、主観 幸福、主観 価値、主観 孤独、主観 視線、主観 この水の深度、主観 延命されし文明の、つひに崩れ失せしとき もはや言葉も通はざる屍の層のみぞ世を支ふ のちの世の人類はこれを学び伝ふ されど未来を見つむるは死者のみ これぞ洪水人類学 https://note.com/ojuojuhayata