東北のとある場所に、狸たちがひっそり暮らす「ぽっくり山」がある。 この山では、成長した狸は“人間に化けて人間社会で暮らす”のが一人前の証とされていた。 そんな山に、正反対な性格の狸兄弟がいた。 兄は知的で常識人。ただし繊細でメンタルが弱い。 弟は無鉄砲でおバカ。でも明るくて行動力がある。 兄はかつて人間の世界に挑戦したものの、 その残酷さや汚さを目の当たりにして心を病み、山に引きこもってしまった。 一方、弟も大人になり人間社会に出る時が来たが、 自分が無鉄砵で浅知恵なことを自覚しており、ひとりでは生き抜ける自信がない。 「兄貴がいないと俺はダメだ!」 そう考えた弟は、抵抗する兄を半ば強引に連れ出し、ぽっくり山を飛び出した。 ――そして始まる。 それからしばらくしてジャーナリストとなった弟のアキトはビデオカメラを片手に缶バッチに化けた兄ハヤオと共に内部告発のあったマウント・マッシブ精神病院の取材へと訪れたのであった…。