「婆さんなんだよな」「婆さん?」「こども園をやってる婆さんでよ。まあ小規模な所だが、クソガキどもにピザを食わせたいとか言ってきて……ピザスキ・チェーンが休業に入ってるのを知らなかったんだとよ。土壇場で、そんな事情こっちの知ったこっちゃねえっつうのな。ボンヤリしてッからだ」 タキは肩をすくめる。「後ろめたいッてのはそういう事さ。邪険にすると呪われそうだろ、カルマ的に? オレは突っぱねたかったが、コトブキのアホが注文を受けちまったンだよ。オレは店番で忙しいし、奴らは買い出しがあるッてのに。弾丸で帰るから大丈夫だとか言いやがって、で、結局このザマ」「吹雪いてきたぞ」マスラダは窓を見て言った。タキは首を振った。「だな。まあ、しょうがねえ」タキは顔をしかめ、オーブンレンジを見、マスラダを見た。「……」「……おれは店員でも何でも無い」マスラダは言った。タキは咳払いした。マスラダは空になったスシ・パックをゴミ箱に投げ込んだ。 ……その、5分後。 ピザを抱え、ピザタキを飛び出したマスラダを見送った後、タキはホットココアを飲みながら、エッチ・ポルノ物理本を読んでいた。ワンオペ状態の彼を知ってか知らずか。ピザタキを目掛け、雪の中、PVCクロームコートの人相悪い男が、キタノ・スクエアを歩いていた。原作→ https://diehardtales.com/n/n909c542cd728