生前モーツァルトが自分の為に書いた曲は遺作のレクイエムだけだったと知り そこから発想を得て現代にモーツァルトが転生したら?というコンセプトで この曲を作りました。 当時のモーツァルトの作曲のDNA。空間に残った過去の時代の記憶や断片・欠片は、 きっと多くの現代の作曲家・ボカロPに自然と、受け継がれているのだと思います。 曲名:ごめん!”モーツァルト”だった。 赤く灯るサインライトが 静止した空気を刺している 防音室の重い扉の向こう 遠い記憶が波打つ かつて僕は神の指先を探し琥珀色の楽譜に縛られていた今はただ無機質なマイクの前 僕自身の鼓動をなぞっている 完璧な和音を求めた日々は ウィーンの風に預けてきた 誰かのための祈りではなく 自分のための遊び場を見つけた ヘッドフォンから流れるビート 鍵盤を叩く指が踊りだす 鏡に映る僕を見て 昔の友ならきっと驚くだろうごめんモーツァルトだった そんな言葉が唇をこぼれる 天才という名の呪いから解けて 今はこの自由を噛み締めている 誰も知らない旋律を紡ぎ型破りな色彩で街を塗り替える ごめんモーツァルトだった 昨日までの僕に告げる別れの挨拶 不規則な休符が心地いい予定調和を笑い飛ばして 複雑に絡み合う電子の波 泳ぐみたいに言葉を乗せる あの頃の僕が求めていたのは 称賛の声ではなくて こんなふうに独りきりで 音と戯れる刹那の純度 宮廷の回廊を歩くような 窮屈な革靴はもう脱ぎ捨てた スニーカーでステップを刻み 感情のままに音符を散らす カツラの重みも忘れて 今の僕を支配するのは ただ一つの好奇心と 窓の外に広がる無限の夜 ごめんモーツァルトだった 軽やかに過去を飛び越えていく歴史の教科書に閉じ込めた 古い僕をここで許してあげる 譜面台を捨てて風を追い 自分だけの聖域を鳴らし続けよう ごめんモーツァルトだった ありふれた日常がこんなに眩しい 静まり返ったスタジオ 録音中の文字が揺れている もう僕は迷わない 僕から溢れ出す今の音を信じる 誰もが驚くような不協和音さえ 愛おしい僕の欠片だから