ジェヘナ 踊ってみた [ある踊り手の話]

ジェヘナ 踊ってみた [ある踊り手の話]

本当にね。楽曲: ジェヘナ / wotaku feat. 初音ミク sm35507640 振付: 【神沢有紗】 ジェヘナ 【5周年記念オリジナル振付】 sm35827157 全ての作者様に感謝。-----------------------------------踊れなくなった。ちょうど1年前のことだ。何故かははっきり解らない。ただ、踊れなくなった。覚えているはずの振付でも、手も足も動かない。新しい振付は全く頭に入らない。鏡に映る自分は動かない。そういう日もあるさとスタジオを出た。しかし、そんな状態が何週間も続いた。踊れないだけではなかった。過去の動画の中で踊っている自分が、とても醜悪なものに見えた。投稿した動画の全てが途方もないごみ屑のように見えた。そんな状態が何週間も続いて、月単位で数えた方が良い程の時が経った。「他にやるべきことがあるでしょう」「いい歳して」「プロになるわけでもないのに」誰かの親切心を脳内で自動生成しては捨てた。「ちょっと、忙しくなってしまってね」「そうか、踊る時間が取れないのも仕方ない」誰にするでもない世間話を作って気を紛らわせる。もちろん嘘だ。誰に何を言われた訳でも、私が選んだ訳でもない。だが正真正銘私だけの所為だった。こんな話、誰にもしたくはない。「他に何か始めてみたら?」「いい機会じゃないか」「別に誰も困らないだろう」そうだ、誰も困らない。それどころか、誰にも気付かれさえしないだろう。いつの間にか誰かが居なくなるなんて、よくある話だ。しかし、不思議なことに、踊り続けたいと思っている自分がいた。更に時が過ぎ、明らかに月で数えた方が良い期間が経った。踊れなかった数ヶ月の間に、いくつかの本を読み、映画やアニメーションを観て、音楽を聴いた。そして思い出した。私は、感情が溢れて弾ける瞬間が好きだったのだな、と。数ヶ月ぶりに動画を作ってみたいと思った。しかし私の脳には踊ってみた以外の手段が浮かばず、結局動かない身体を振り回す羽目になった。「何事も練習」「継続こそが肝要だ」「人生は暇つぶし」脳内を流れる誰かの親切心を飲み干して、私は醜悪なごみ屑を作り続ける。なんとも救いのない話である。本当に。本当にね。ところで、実は踊れなかった期間に試してみたことが一つだけある。小説を書いてみたのだ。「ある踊り手の話」誰が主人公だったのかは、まだ決めていないが。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm46037553