『さばの缶づめ、宇宙へいく 鯖街道を宇宙へつなげた高校生たち』は、福井県立若狭高等学校(旧・小浜水産高等学校)の生徒たちが、14年という長い歳月をかけて手作りの「サバ缶」を宇宙食としてJAXAに認証されるまでを描いた奇跡の実話(ノンフィクション)です。本書の概要と見どころを以下のポイントに分けてご紹介します。1. 「宇宙食を作ろう!」という途方もない挑戦の始まり福井県小浜市は、かつて京都へ海産物を運んだ「鯖街道」の起点として知られています。地元の水産高校では、授業の一環として代々サバの缶詰を作っていました。ある時、生徒たちの「この美味しいサバ缶を宇宙に飛ばせないか?」という夢のようなアイデアから、前代未聞のプロジェクトがスタートします。2. 立ちはだかるJAXAの厳しい壁と試行錯誤宇宙空間(無重力)で安全に食べるためには、地球上の食品とは全く異なる厳しい基準をクリアしなければなりません。汁の飛散防止: 無重力で汁が飛び散ると精密機器の故障に繋がるため、葛粉を使って汁にとろみをつける工夫が必要でした。味覚の変化: 宇宙では味覚が鈍るため、濃いめの味付けにしつつも、健康に配慮したバランスを見つける必要がありました。厳格な衛生管理: 宇宙飛行士がお腹を壊さないよう、徹底した衛生管理基準(HACCP)を満たす工場設備と工程が求められました。3. 14年間、先輩から後輩へ受け継がれたバトン高校生活はわずか3年間です。プロジェクトを立ち上げた初代の生徒たちは、夢の実現を見ることなく卒業していきます。しかし、彼らの情熱と失敗のデータは、「宇宙へ行く」という目標とともに代々の後輩たちへと引き継がれていきました。何世代にもわたる生徒たちが少しずつ改良を重ね、バトンを繋いでいく姿が本作の最大の感動ポイントです。4. ついにサバ缶が宇宙へ数え切れないほどの失敗と挑戦を重ねた結果、ついにJAXAから正式な「宇宙日本食」として認証を獲得します。そして2020年、野口聡一宇宙飛行士とともに、高校生たちが作った「サバ醤油味付け缶詰」が国際宇宙ステーション(ISS)へと旅立ち、宇宙空間で実際に食されるという快挙を成し遂げました。【まとめ】 地方の一高校生たちが、宇宙という途方もなく大きな目標に向かって本気で挑み、大人たちをも巻き込んで夢を実現させていく青春ドキュメンタリーです。決して諦めないことの大切さ、ものづくりへの情熱、そして世代を超えたチームワークの素晴らしさを教えてくれる胸が熱くなる一冊です。