イラスト:蜜月様(Piaproからお借りしました) https://piapro.jp/mitsu1126 「冷めゆく指を離さぬように 明けぬ郭の底 」❖━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━❖紅を指でなぞる 三味の音に吐息を隠し格子の向こう行き交う影に 面影を探している色彩は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 蝉時雨が降る夜に紛れて頬の陰痩せた燈が照らす藍に解ける泡沫の夢に恋焦がれてゆくのでしょう 朝を告げる鳥の声に 梳かした髪を結い直せば温もり残る絡めた指の 痺れをそっと抱きしめて 蝉時雨が降る夜に響く夢幻に咲く契りを交わしましょう愛しいと震えるこの唇は 雨粒を纏う この身は廓の籠の鳥 逃げ出す羽根も捥がれて天ノ川に咲き誇る大輪の華を夢見て 泣き潰れて届かぬ声 刻知らずの蝉時雨交わらぬまま七日の命が尽きるならどうかこのまま忘れてください 蝉時雨が降る夜を越えてひとつ蓮にこの身を委ねましょう巡り巡る幾星霜 揺蕩う願いは露と散る 冷めゆく指を離さぬように 明けぬ郭の底 ❖━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━❖