『交響曲第2番「真にして永遠なる浄福」』は、ソ連の作曲家ガリーナ・ウストヴォルスカヤが1979年に作曲した、朗読者と小管弦楽のための単一楽章の交響曲である。演奏時間は約18~20分。1980年10月8日、ウラジーミル・アルトシュラー指揮、レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団によってレニングラードで初演された。編成はフルート6(第1奏者はピッコロ持替)、オーボエ6、トランペット6、トロンボーン1、テューバ1、ピアノ、バスドラム、テナードラム、およびマイクを用いる男性朗読者。クラリネット、ファゴット、ホルン、弦楽器を欠く、極端に偏った音色配置が特徴である。通常の交響曲に見られる弦楽合奏を排し、同種楽器を6本ずつ束ねることで、個々の旋律よりも巨大な音響ブロックを前面に押し出している。朗読されるロシア語のテキストは、11世紀の修道士・音楽家ヘルマヌス・コントラクトゥスに由来する。朗読者は「主よ」と呼び掛け、「真実」「永遠」「浄福」に関する短い句を語順を変えながら反復する。作曲者は朗読者を黒い服装の若い男性とし、抑制された声で熱烈に祈るよう求めたほか、言葉に応じて口元に手を添え、祈るように両手を頭上へ掲げる動作も指定している。音楽はピアノの強烈な音塊と大太鼓の打撃によって開始され、管楽器群による同音的な響き、鋭い反復、沈黙が巨大な塊として配置される。全282小節は大きく三つの領域として捉えられ、器楽のみの導入後に朗読が加わり、終盤では冒頭の主要動機と「主よ」の呼び掛けが回帰する。素材そのものは少数の単純な動機から成るが、反復、音域の隔たり、拍節のずれ、極端な強弱によって時間感覚が引き延ばされ、通常の主題展開とは異なる儀式的な構造を形成する。朗読は器楽の圧力に対抗する独唱ではなく、崩れ落ちながら神に助けを求め続ける孤独な祈りとして機能する。本作は、《コンポジション》第1番から第3番で確立された簡素な素材、打楽器的なピアノ、異例の編成を宗教的テキストと結び付けた作品である。題名の「浄福」とは対照的に響きは苛烈で、救済の成就よりも、届く保証のない呼び掛けを執拗に続ける行為そのものが中心となっている。後の交響曲第3番から第5番へ続く、晩年の「祈りの交響曲群」の出発点に位置付けられる。