<ニュース・コメンタリー>メディアのメディアによるメディアのための大統領選挙

<ニュース・コメンタリー>メディアのメディアによるメディアのための大統領選挙

 アメリカでは大統領選挙の投票日を目前に控え、クリントン・トランプ両候補のデッドヒートが繰り広げられている。 不規則発言や猥褻テープなどが暴かれ、一時は支持率に差がついていた両候補だが、ここに来て両者の差は縮まってきており、世論調査の中にはトランプが逆転したことを示しているものも出てきている。 メディアでは識者たちが、トランプ人気の背景にはグローバル競争に敗れて没落した中間層の不満があり、クリントンのメール問題も暗い影を落としていると考えられている。 しかし、今回の大統領選挙がこれほどまでにデットヒートになった最大の功労者は、メディアを置いて他には考えられない。 確かにトランプは失言も多く、提唱する政策の中にもメキシコの国境の壁建設など、暴論に近いものが含まれていることも事実だ。しかし、トランプの主張の中にはまともなものも多い。その中で、トランプのネガティブな要素を面白おかしくクローズアップし、持ち上げたり叩いたりを繰り返しながらトランプ現象を煽っていったのが、他でもないマスメディアだった。 実際、この選挙戦では、トランプの過去の発言を記録したテープや確定申告書、トランプから性的被害を受けたことを訴える女性などが度々登場したが、いずれもメディアの仕掛けによるものだった。 オクトーバー・サプライズとなったトランプの猥褻テープは、NBCテレビが保有していたものをワシントン・ポストが公開したものだったし、過去の確定申告書は何者かがニューヨークタイムズの記者の自宅のポストに投げ込んだものという説明だった。 アメリカのメディア専門家の中には、もし候補者がトランプでなければ、この手の素材をメディアが公開に踏み切っていなかった可能性があると指摘し、いい意味でも悪い意味でも、メディアはトランプを特別扱いしていることに留意する必要があると警鐘を鳴らす。アメリカ社会に様々な不満が渦巻く今日、叩かれれば叩かれるほどトランプの支持が広がっていくという面があるからだ。 このドラマは果たして喜劇に終わるのか、あるいはとんでもない悲劇に終わるのか。トランプ劇場の結末について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。 その他、アメリカ先住民に対する過去の迫害の罪を認め、ダコタ・パイプラインの反対運動を支持する論説を放送したケーブル局MSNBCの英断について、など。(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

http://www.nicovideo.jp/watch/so29980063