一見、最先端技術で政府の無駄をなくすという魅力的な提案に聞こえるが、実はブロックチェーンの本質と政府の役割を考えると、その非効率さは明らかだ。 ここでは2つの視点から、なぜこの組み合わせが“最悪の相性”なのかを解き明かそう。 トランプ米政権で新設された「政府効率化省(DOGE)」。DOGEのトップであるイーロン・マスクが、政府のコスト削減策としてブロックチェーン技術を活用する案を検討しているというニュースがあった。 正直に言って、このアイデアは「なし」だ。 理由は大きく3つ。 まず1つ目は、ブロックチェーン・テクノロジーの特性だ。ブロックチェーンは、本来“誰もが信用を保証してくれない場面で、仕組みそのものによって信用を担保する”ことを目的として設計されている。 例えば仮想通貨の場合、国や金融機関といった中央集権的な保証が存在しなくても、取引や残高の正当性が担保される。そのため、仮想通貨の信用性を担保するにはもってこいのテクノロジーだ。 つまり、ブロックチェーンは「オーソリティ(権威)が不在の世界でこそ意味がある」技術。そのため、すでに確固たるオーソリティが存在する領域、たとえば国家単位の金融システムや大手企業のクローズドなサービスなどでは、導入の必要性は高くない。 その点、アメリカ政府には、そもそもドルの信用を裏打ちする強固な仕組みが存在している。ドルを保証しているのはアメリカ政府と連邦準備制度(FRB)であり、わざわざ“誰にも保証されない世界での信頼構築”を念頭に置くブロックチェーンを導入する意義は薄い。(続く)