東証が、大胆な改革案を打ち出した。グロース市場に上場する企業に対し、時価総額100億円未満は上場廃止という厳格な基準を導入する検討が進んでいるのだ。「上場企業の9割が期待外れ」そんな衝撃的なデータが示す東証グロース市場の現実に、この改革は“上場ゴール”企業の淘汰を意味する。 現在、東京証券取引所(東証)が、グロース市場に対して抜本的な改革を進めようとしている。 上場維持基準の厳格化、すなわち時価総額が一定水準に満たない企業に対する市場からの退出勧告だ。 現在の基準は、上場10年経過後時価総額40億円以上というもの。ここから一転、上場後一定期間(報道では5年が目安)で時価総額100億円未満の企業を上場廃止にする案が検討されているという。 日本の東証グロース市場は、世界的に見ても「上場が容易な市場」と言われている。 実際、数十億円規模の時価総額でも上場が可能というのは低いハードルだ。これがベンチャー企業にとって資金調達の機会を生んできたと言われるが、その一方で深刻な弊害も生み出してきた。 その最たるものが、「上場ゴール」の常態化だ。本来、IPO(新規株式公開)は、事業成長を加速させるための資金調達手段である。 しかし、現実には、創業者やベンチャーキャピタルが、保有株式を高値で売却し、個人的な利益を確定させる「出口戦略」としてIPOを利用するケースが後を絶たない。 この構造は、データにも表れている。グロース市場上場企業の実に9割近くが、上場後の株価が公募価格を下回ったまま低迷している。 2004年から2020年にかけて上場した企業を見ると、45%が上場時の時価総額を下回り続け、株価が3倍以上に成長した企業はわずか18%に過ぎない。 これは投資家の信頼を損なう深刻な事態である。 今回検討されている時価総額100億円基準の導入は、こうした歪んだ市場構造にメスを入れる試みだ。(続く)