かつて「日本経済の象徴」とされた自動車産業。その牙城を、ついにエンタメ企業が時価総額で打ち破った。これは単なる数字の逆転劇ではない。ものづくり大国・日本の「強み」が、静かに入れ替わりつつあることを示している。なかでも鍵を握るのが、ソニーが見せた異次元の成長戦略だ。その成功モデルは、今後の日本経済の進むべき道を示している。「主要エンタメ企業の時価総額、ついに自動車業界を上回る」というニュースが報じられた。これは非常に象徴的な出来事なので、フカボリしてみたい。 まず、「主要エンタメ会社」とは具体的にどの企業を指すのか。記事によれば、筆頭は任天堂、そしてソニーグループ、さらにコナミ、バンダイナムコ、サンリオ、カプコンといった、まさに日本のエンターテインメントを牽引する企業が名を連ねている。 注目すべきは、この中にソニーが含まれている点である。ソニーの時価総額は日本企業の中でトヨタに次ぐ2位。これを「純粋なエンタメ企業」として扱っていいのかという声もあるかもしれないが、実態を見ると、すでにソニーは完全にコンテンツ企業なのである。 現在のソニーの売上の半分以上は、映画事業の「ソニー・ピクチャーズ」、ゲーム事業の「ソニー・インタラクティブエンタテインメント(プレイステーション)」、そして音楽事業の「ソニー・ミュージック」という、エンターテインメント関連事業によって生み出されている。 残りの約半分も、その大半は金融事業が占めており、祖業であるはずのエレクトロニクス事業の売上は、全体のわずか15%にまで縮小。この実態を見れば、ソニーをエンタメ企業と呼んだほうがいいのだ。 ここで極めて重要なのは、ソニーがどのようにしてここまでの成功を収めたか、その戦略である。 任天堂やバンダイナムコ、コナミ、カプコンといった企業が、自社オリジナルの強力なコンテンツを武器に成長してきたのに対し、ソニーの躍進の原動力は、それだけではなかった。(続く)