「ミシュラン掲載店が3割減」というニュースが報じられた。一見すると、日本の美食文化が衰退しているかのように見える。しかし実際には、事情はもっと複雑で、むしろミシュランという評価システムそのものが、日本の食文化のリアルと噛み合わなくなっているのだ。 今週は、「ミシュラン掲載店が3割減少した」というニュースをフカボリしたい。 実は、ミシュランという評価システム自体が、現代日本の食文化の実情と、もはや合わなくなってきている。 具体的に説明しよう。そもそも、ミシュランガイドが生まれたフランスをはじめとするヨーロッパのレストランは、30席や40席など比較的規模が大きい。もちろん、数か月前から予約が必要な人気店も存在する。しかし、日本の名店のように「常連客だけで予約が完全に埋まってしまう」という事態は稀だ。 対して、日本の和食店などは比較的規模が大きいとされる店でも、せいぜい20席程度が限界だ。特に、割烹や寿司屋に至っては、カウンターのみの8席程度という店が主流になっている。 さらに、最近は深刻な人手不足の問題もある。実際、私が通っているお店では、以前はカウンター8席に加え、4人掛けのテーブル席も稼働させていた。しかし、今では店主一人で切り盛りするため、カウンターのみの営業となっている。しかも、かつては行っていた二回転制もやめ、一日一回転のみ。これでは、ますます予約の門は狭くなる一方だ。 そして、決定的な違いは、メニューの更新頻度にある。ヨーロッパの名店であっても、メニューが大きく変わるのは1か月、長ければ3か月に一度というケースが多い。 しかし、日本の食文化は「四季」どころか、二十四節気に象徴されるように、より細やかな季節の移ろいを尊ぶ。 食の世界では、およそ2週間ごとに「旬」の食材が次々と入れ替わっていくのだ。さらに、近年の気候変動は、その旬の時期をさらに予測困難にしており、料理人は日々変化する自然と向き合いながら献立を組み立てている。 そうなると、どういう事態が起きるか。(続く)