【収録時のイベント概要】ゲンロン・カフェ開業10周年を記念した新たな教養講座「ゲンロン・セミナー」。その開催に合わせて、若手研究者を応援するシリーズ「学問のミライ」がスタートします!各分野で活躍する若手研究者をお招きし、研究分野やその内容について存分に語っていただく配信限定イベント。第一弾のゲストは、中国の現代思想の研究者で、Webゲンロンの連載「料理と宇宙技芸」やユク・ホイ『中国における技術への問い』の翻訳でもおなじみの伊勢康平さんです。中国思想というと、孔子や孟子など教科書上の偉人が思い浮かぶかもしれません。しかし、近現代の中国にも注目すべき思想が多くあるそうです。伊勢さんは、西洋哲学と正面から格闘した20世紀の中国思想を研究されています。日本でいえば京都学派に匹敵するようなそれらの思想を読み解くことで、いまの中国そのものを捉え返すこともできるそう。今回は、ホイ氏以外の中国の思想家や、日本も含めた「東洋哲学」の思想傾向についてもご紹介いただきます。……と紹介すると難しく聞こえるかもしれませんが、聞き手の栁田は中国については門外漢。当日は伊勢さんに、中国留学時の写真も交えながら楽しく、時にアツくお話を伺う予定です。中国や思想に関心がある方はもちろん、よく知らないという方も、ぜひ若き中国思想の新鋭にご注目ください!【登壇者の伊勢康平より】 近現代の中国思想を研究していると言うと、よくこう訊かれます。いまの中国に哲学者なんているんですか? どうせ御用学者でしかないんでしょう? いいえ、そうではありません。中国が存在感を高めつつあるなか、シンプルに覇権主義を説くひともいれば、あらゆる覇権を否定して、ナショナリズムも帝国主義も乗り越えようとしているひともいます。さらには、そもそも「中国」とはなにかを深く反省する哲学者もいます。つまり日本とはまったくちがう独特の問題系があるのです。 また少しさかのぼると、『中国における技術への問い』の読者はご存じのとおり、日本に京都学派があったように、20世紀の中国にも伝統思想の再構築を試みた哲学者がいました。かれらの思想は(これまた京都学派と同様に)いまやすっかり過去のものとされていますが、しかし私の考えでは、それは思わぬかたちでこんにちの中国思想に影を落としています。 今回は、上記のような私の関心にもとづいて、ここ百年くらいの中国思想のある側面を紹介します。もっとも、これは必ずしも中華圏で完結する話ではありません。可能であれば、井筒俊彦や鈴木大拙といった哲学者にも触れながら、これを新しい「東洋哲学」の問題として考えたいと思います。 むろん、私がこのような視点や関心をもつまでには、さまざまな経緯がありました。北京大学への交換留学は大きな契機のひとつ。北京ではじつにさまざまなことがありました。日本でも未経験のポーカーに突如巻き込まれ人事不省になったこと、中国の銀行システムがヤバすぎて死にかけたこと……そしてそんな満身創痍の私を救済した一編の詩とは? こうご期待。ユク・ホイ『中国における技術への問い』(ゲンロン)「東洋哲学」をつくりなおす – ゲンロンカフェ https://genron-cafe.jp/event/20230224/