中国東部・浙江省の省都、杭州は、人口高齢化を見据え、人工知能(AI)ロボットの開発と実用化を加速させている。 今年から介護分野に特化したロボットの研究開発を強化し、一部のコミュニティで試験運用を開始した。 杭州市内の介護施設では、ヒューマノイドロボットがリハビリの補助や見守り巡回など、現場の介護スタッフの負担軽減に寄与している。 <浙江省杭州市西湖区遐齢交互スマート介護施設 程娟介護責任者> 「例えば、寝返り介助、特に体重が重い方の場合、介護士一人だけでは対応できない。夜勤の際は一人体制なので、そうしたケアは事実上不可能だ」 さらに、ロボットには高精度カメラやミリ波レーダーが搭載されており、日常的な巡回中に高齢者の身体状態をリアルタイムで監視・評価することができる。転倒などの異常が検知されると、システムは直ちに警報を発する。 <入居者 史志鈞さん> 「血圧や心臓の状態の監視など、健康管理をしっかり見守ってくれる」 同施設には、他にも様々な介護ロボットが導入されている。中には、入居者と会話や交流ができるぬいぐるみのようなコンパニオンロボットもあれば、ロボットアームを装備したスマート車椅子もあり、物を拾ったりエレベーターのボタンを押したりして、移動が困難な入居者を支援できる。 この施設には高齢者13人が入居しており、平均年齢86歳。認知症を抱えている高齢者も多い。約70%の入居者は24時間体制の介護を必要としている。人員配置は入居者5人に対し介護士1人という国の基準を満たしているものの、一人ひとりに合わせたきめ細かなケアを提供することは依然として困難なため、ロボットが導入されたという。 これらのAIロボットの開発を手がけるのは平均年齢27歳の若手エンジニアチームだ。チームはあらゆる環境や状況下でロボットの正確な認識と安定した制御を可能にするため、ソリューションの改良に絶えず取り組んでいる。 <杭州遐齢交互スマートサービスロボット有限会社 朱祺アルゴリズムエンジニア> 「今は従来のセンサーをロボット本体に搭載するにとどまっているが、今後、IoTを活用してあらゆるデータをロボットに集約し、スマートホームマネージャーのようなシステムの構築を目指している」 こうした企業を後押しするため、杭州市は「エンボディードAIパイロット基地」を設立。データ提供や検証環境の整備など、企業の研究開発から実用化までの一貫した支援体制を整えている。 市内には780社以上のAI関連企業が集積。産業および市場の需要に応えるため、当局はプラットフォーム開発や応用シナリオの開放を加速させ、日常生活への普及を推進している。 <杭州市エンボディード・インテリジェンス・パイロット基地科学技術有限会社 李興騰副GM> 「データ提供やコンピューティングリソース、シナリオ検証、テストなどのサービスを提供し、企業の研究開発コストの削減に取り組む。将来的には、実用化に向けて訓練されたソリューションを、コミュニティに導入し、現場での課題発見と解決を重ねていきたい」 <浙江灵巧智能科学技術有限会社 周晨CEO> 「サプライチェーンの川上・川下企業は同じ建物内にあり、隣の企業とも連携している。共同ラボも設立し、ここは小規模な試行錯誤を行うのに理想的な場所だ」 パイロット基地に加え、杭州市は「ヒューマノイドロボット実証試験・応用促進センター」および「エンボディードAIロボット製造イノベーションセンター」の整備も進め、ロボット企業、AI企業、研究機関間の共同イノベーションなど産学官連携を推進している。今年、AI分野において200の先導的な応用シナリオを公開し、エンボディードAI製品を人々の日常生活に届けることを目指しているという。