ショパン:ピアノソナタ第1番 ハ短調 作品4

ショパン:ピアノソナタ第1番 ハ短調 作品4

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=vL-NDDI4BfE )。1828年、ワルシャワ音楽院に在籍していた18歳のショパンは、学長ユゼフ・エルスネル(ヨーゼフ・エルスナー 1769 - 1854)から課題としてピアノソナタの作曲を命じられ、エルスネルの指導を受けながら作品を書き上げました。これがピアノソナタ第1番 ハ短調 作品4です。ショパン自身はこのソナタを作曲したことに満足しており、作品は彼の才能を高く評価していたエルスネルに献呈されました。そして楽譜の出版も準備されましたが、ウィーンの出版業者ハスリンガーは当時まだ無名だったポーランド人学生の作品を出版することに乗り気でなく、出版されませんでした。ショパンの名声が高まった後にハスリンガーはソナタの出版を手紙で打診しましたが、若いころの冷遇を覚えていたショパンは返事を書かず、結局出版されたのは彼の死後、1851年のことでした。18歳の若さでショパンが作曲した本作は、後のピアノソナタ第2番・第3番と比較すると作曲技法は全般的に未熟であり、習作の域を出るものではありません。その上、出版社とのゴタゴタで楽譜出版が遅れたことも災いし、ショパンのピアノソナタの中では演奏機会がほとんどない不遇の作品となっています。しかし、本作は既存のピアノソナタの殻を破ろうとして様々な工夫が盛り込まれています。例えば、全4楽章という構成は通常のソナタが3楽章であることに対する独自性の表れといえます。また、第1楽章はハ短調→変イ長調→変ロ短調→ト短調→ハ短調という目まぐるしい調性変更が行われ、第2楽章は彼が生涯で唯一手掛けたメヌエットで、第3楽章はスラヴ民謡でよく使われる4分の5拍子という珍しいリズムを採用するなど、後にショパンが開花させる才能の片鱗を充分にうかがわせる工夫が随所に聴かれます。レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm35034547