雛とマメ

雛とマメ

「雛菜ね、ケーキのプレートに"ひななだいすき"って書いてもらいたいな〜♡」「あ、ユアクマちゃんのケーキも美味しそうかな〜?」雛菜の誕生日の1週間前である今、本人からそんな感じのおねだりをされた。メッセージ入りプレートに関してはいつだったかケーキを賭けて駅まで競走した時にも、同じような事を頼まれた気がする。あの時は確か入った店がそこまで対応出来る所じゃなかった訳だが、今回俺がいるのはちょいとリッチなケーキ屋。キャラクターのケーキやデコレーションのクオリティも評判が良く、バースデーケーキの発注先としても巷で有名らしい。いずれにせよ、雛菜の要望に応えるにはうってつけだろう。『ユアクマってキャラクターの…えーと、この写真のキャラのデコレーションをお願いします』『あ、あと1つのプレートに"雛菜大好き"って書いて下さい』 席に着いて手続きを待つ間、少し物思いにふけていた。雛菜との初めての誕生日か…。確か雛菜をプロデュースしたのが4月だったから、そろそろ一年経つのか。あの頃の俺は、自分の価値観を押し付けてばっかりだったな…。雛菜から学ぶ事も多かったし、そういう意味でも色んな変化があった一年だった。『(…そういう俺の気持ちって、雛菜にちゃんと伝わってるのか?)』突如襲いかかる不安。今回2人で行うプチ誕生日パーティーは、これまでの歩みに対する褒賞と、これまでの感謝を込めたものだと考えてはいる。ただ、自分の思いを伝える事の出来る、決定的な何かが足りないような気がする…。雛菜が食べたいケーキを作ってもらって、喜びそうなプレゼントを買って、それで終わりなのか? 勿論、雛菜は喜ぶだろう。しかし喜んで終わりだ。俄然、自分がやろうとしている事が空虚に思えてきたのだ。『(何か他に出来る事はないのか…)』席に着きながらあたりを見回すと、お菓子作りの材料が売られているコーナーが目に入った。色とりどりのトッピングや数字を模した蝋燭など様々だ。『(…そうだ、これなら!)』『すみません、さっきの注文なんですけど…』続きはpixivに。今日から市川雛菜と民法上入籍出来ますね。初代達人改め市川達人です、よろしく。あと予想的中コメは無かったのでそのうちPが雛菜に負けます。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm38419430