【神道シリーズ・シーズン3】(思想編)第27回・大本教(その①)出口なおと艮の金神

【神道シリーズ・シーズン3】(思想編)第27回・大本教(その①)出口なおと艮の金神

出口なおは1837年1月22日(天保7年12月16日)、大工の父/桐村五郎三郎と母/すみの長女として福知山藩領の丹波国天田郡上紺屋町に生まれたが、父の五郎三郎はその放蕩癖の為に家計は傾き、さらになおが10歳の時にコレラで亡くなった為、なおは10歳の時から米屋や饅頭屋や呉服屋などで下女奉公をして家計を支えることとなった。金光教の信者であったなおは、その教え通り母親を大事にし、下女奉公の給金のすべてを母親に送り、その孝行ぶりが藩主に認められ、福知山藩の三人の孝行娘の一人として表彰された。1855年(安政2年)なおが20歳になった時、母の実母の実家の出口家に家督後継者が無く、祖母の出口ゆりからの要請でなおは出口家の養女となり、そこに養子縁組で出口家入りした四方豊助と結婚し、夫は出口政五郎と改名した。夫の政五郎も優秀な大工だったが、その楽天的な人の良さから知り合いたちからの金の無心を断れず、次々と返済されない金貸しをするうちに出口なおの家の家計は傾き、なおとの間には3男5女の8人の子供がいたにもかかわらず家の財産は底をつき、1888年明治16年に出口家は破産した。51歳になったなおは、幼い四女と五女をかかえながら餅屋や古紙回収業を行い糊口を凌いだが、翌年事故で半身不随になっていた夫・政五郎が死去し、貧困多忙の生活を続ける中、三女の福島ひさと長女の大槻よねが精神異常を来たした後に神憑りになり、1893年明治26年、58歳になった出口なおまでが神憑りになり、突然騒いだり喚いたりするようになった為、近所の放火事件で容疑者扱いされ、警察に逮捕され牢に入れられてしまった。しかし、その牢屋の中で文盲であったはずのなおが突然、自分に憑依した艮の金神のメッセージを全文ひらがなで半紙に書き留め、これが出口なおの初のお筆先となった。その筆先には、人類の改心と三千世界の立替え立直しを唱えるメッセージが書かれており、それは、その5年後、なおの三女福島ひさの営む茶屋を通じてなおの筆先を知った上田喜三郎の共感を得、やがてふたりで金明霊学会という教団を立ち上げることとなる。なおは、喜三郎を出口家の婿養子とし、五女のすみに嫁がせ、名も王仁三郎に改名させた。王仁三郎は鎮魂帰神法で艮の神を国常立神だと断定し、なおはそれを受け入れた上で、男神の国常立が宿るじぶんを変性男子とし、豊雲野尊という女神の宿る王仁三郎を変性女子とし、ふたりは霊的な意味での夫婦という設定で教団は形成された。しかし、その後、教団内の保守派たちは王仁三郎の文化開明的な考え方に反発し、王仁三郎は一時教団を離れることを余儀なくされ、その間に皇典講究所にて国学や水戸学を学び、彼が教団に戻ると、その教団の教義の中にはより国学色が強くなっていった。

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