ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60(ラルス・フォークト他 2022年6月26日シュパヌンゲン音楽祭実況録音)

ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60(ラルス・フォークト他 2022年6月26日シュパヌンゲン音楽祭実況録音)

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=HLWirRO5kJE )。ラルス・フォークト(1970 - 2022)はドイツ出身のピアニスト・指揮者で、欧米やアジア各地で主要オーケストラと共演し、特にベルリン・フィルとは親密な関係にあり、2003~04年シーズンには同楽団初のレジデント・ピアニストに任命されました。また、1998年には室内楽曲の演奏を行う「シュパヌンゲン音楽祭」を創設し、芸術監督を務めるなど、ピアノ独奏や室内楽の演奏活動も精力的に行いました。しかし2021年初頭に彼は肝臓癌と診断され、治療をしながら演奏活動を続けたものの、2022年9月5日に51歳の若さで死去しました。フォークトは主宰したシュパヌンゲン音楽祭で数多くの室内楽曲を演奏しましたが、そこで彼が最後に演奏したのは2022年6月26日のことで、作品はブラームスのピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60でした。この曲は彼が最初に作曲したピアノ四重奏曲(第1番より前)で、ブラームスが恩人シューマンの自殺未遂やその妻クララへの恋慕に悩んでいた1856年に初稿が作曲され、その後1873~74年に大規模な改訂が行われて出版されたという経緯があります。このため作品には若きブラームスが人生に悩み抜いた悲劇的な心情が投影されていて、ブラームスは出版に先立ち、出版社ジムロックに「楽譜の表紙には、頭にピストルを向けている男を描くといいでしょう」というブラックジョークを述べたと伝えられています。フォークトは生前のインタビューで悲しい音楽に惹かれることを述べ、「悲劇的な音楽をきちんと表現できることは、私にとって喜びなのです」「いつか去ってしまうかもしれない幸せにこそ、メランコリーと喜びとが宿るのです」と答えています。そんな彼が病と闘いながら最後の演奏作品として本作を選んだことに、自分は特別な思いを感じます。そして演奏は約2か月後にフォークトが亡くなったとは思えぬほど力に満ちており、返す返すも彼の早すぎる死が惜しまれます。ラルス・フォークト(ピアノ)クリスチャン・テツラフ(ヴァイオリン)バルバラ・ブントロック(ヴィオラ)ターニャ・テツラフ(チェロ)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm41230294