セルゲイ・ボルトキエヴィチ:交響曲第1番「わが故郷より」作品52

セルゲイ・ボルトキエヴィチ:交響曲第1番「わが故郷より」作品52

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=Im_AXGLZZJ0 )。ハルキウ(ハリコフ)のポーランド系貴族の家に生まれたセルゲイ・ボルトキエヴィチ(1877 - 1952)は、若くしてベルリンやウィーンなどのドイツ音楽圏で活動しましたが、ロシア出身であることから第一次、第二次世界大戦ではドイツで迫害され、ロシア革命では貴族出身のために財産を没収されるなど、苦難の人生を送りました。彼の作風はチャイコフスキー直系というべき後期ロマン派に属しており、十二音技法などの現代音楽の技法に背を向けた態度はラフマニノフに近いといえます。そんなボルトキエヴィチの作風を如実に表しているのが、1935年に作曲された交響曲第1番「わが故郷より」作品52です。全4楽章構成の本作はボルトキエヴィチがロシアを追われ、ウィーンに定住していた頃に作曲されており、チャイコフスキーからの影響を如実に感じられるオーケストレーションもあるほか、終楽章ではロシア国歌「神よツァーリを護り給え」が引用されるなど、題名通り「わが故郷」であるロシア(あるいはウクライナ)への郷愁に満ちています。作曲当時の音楽界の潮流を考えると本作は古色蒼然たる作風といえますが、それは裏を返せば聴衆に親しみやすいメロディにあふれるということでもあり、もっと多くの人に聞いてほしい作品だと思います。なお、この交響曲は第二次世界大戦後に再評価されたボルトキエヴィチの75歳の誕生日を祝う演奏会(彼が参加した最後の大規模な演奏会)が1952年2月に開かれたとき、締めくくりの曲として演奏されました。苦難の人生を送ったボルトキエヴィチはこれを喜び、友人への手紙で「私は75歳という歳でこれほどの評価をされて、いつでも幸せを感じることができるのだ。ほとんどの場合、本当に評価される人の名声は死後に高まるものだから」と綴っています。Mykola Sukach指揮チェルニーヒウ・フィルハーモニー交響楽団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42211354