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<マル激・前半>5金スペシャル・20世紀の知の巨人・チョムスキーとの対話
5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャル。
今週はジャーナリストの神保哲生が、「20世紀の知の巨人」として知られる言語学者のノーム・チョムスキー教授をアメリカに訪ね、ロングインタビューを敢行。その内容をスタジオで社会学者の宮台真司とともに徹底解説・議論した。
チョムスキー教授はトランプ政権の誕生を「予想外だった」としながらも、「アメリカ政治においては、メディアから支援され、富裕層や権力者の利益を守ると公言した億万長者が大統領選に勝利すること自体は、それほど驚くべきことではない」として、トランプの本質は既存の秩序の破壊者のような顔をしながら、その実は既得権益を守るだけの扇動家・誇大妄想家に過ぎないと喝破する。
また、トランプ政権の誕生やブレグジットに代表される右傾化やポピュリズムの台頭については、「40年にわたる新自由主義の台頭によって民主主義が繰り返し攻撃を受けてきたことに対する市民社会の反動」との見方を示した上で、今こそ真の民主主義の実現のために力を尽くすべき時だと語った。
チョムスキー教授はまた、核兵器の大量保有や温室効果ガスの大量排出によって人類が自らを含む地球の運命を左右するまでの力を持つようになった時代が、地質学上の「人新世」と呼ばれるようになっていることを重視した上で、「人新世」の人類の責任についても警鐘を鳴らした。
後半はこちら→so33788057
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・マル激放送900回記念トークライブ 社会を壊さないために何ができるかを、あらためて考えてみた
その月の5回目の金曜日に、異色の企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今回の5金は、マル激が来週、第900回放送を迎えるのを記念して、6月30日に外国特派員協会で行われた神保・宮台による公開ライブの模様をお届けする。
2001年4月の放送開始以来、マル激はジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司のコンビが、世界の政治、経済、社会、メディアなどの諸問題に加えて、社会のあり方や個人の幸せなどについても、多くのゲストを招き、いろいろな角度から議論を積み重ねてきた。
第900回放送を迎えるにあたり過去の放送を振り返ってみると、17年前の番組開始時に取り上げたさまざまな課題が、依然として今日、われわれの前に大きく立ちはだかっていることに、驚きを覚える。問題の処方箋はおろか、問題そのものを認識することが、ますます難しくなってきているという印象だ。いや、むしろ、誰もが処方箋はわかっているが、それを実行するための痛みにとても耐えられそうもないために、ずるずると流されているうちに、多くのことが手遅れになってきていると言った方が、より正確かもしれない。
しかし、誰のためにその痛みを甘受しているのかがわからなければ、誰も自分が損をするようなことはしたくないのは当然だ。また、その対象がわかっていても、それが自分たちの「仲間」だと認識できなければ、やはり痛みなど誰も引き受けようとはしない。
要するに、民主主義が機能していないのではなく、民主主義が機能する前提が機能していないのだ。
マル激ではこれまでその「前提」とは何で、どうすればそれが再構築できるかを、時間をかけて考えてきた。今回、第900回記念ライブでは、その中身をあらためて振り返り、この先、われわれが目指すべき新しいモデルを展望した。
前半はこちら→so33448251
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・マル激放送900回記念トークライブ 社会を壊さないために何ができるかを、あらためて考えてみた
その月の5回目の金曜日に、異色の企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今回の5金は、マル激が来週、第900回放送を迎えるのを記念して、6月30日に外国特派員協会で行われた神保・宮台による公開ライブの模様をお届けする。
2001年4月の放送開始以来、マル激はジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司のコンビが、世界の政治、経済、社会、メディアなどの諸問題に加えて、社会のあり方や個人の幸せなどについても、多くのゲストを招き、いろいろな角度から議論を積み重ねてきた。
第900回放送を迎えるにあたり過去の放送を振り返ってみると、17年前の番組開始時に取り上げたさまざまな課題が、依然として今日、われわれの前に大きく立ちはだかっていることに、驚きを覚える。問題の処方箋はおろか、問題そのものを認識することが、ますます難しくなってきているという印象だ。いや、むしろ、誰もが処方箋はわかっているが、それを実行するための痛みにとても耐えられそうもないために、ずるずると流されているうちに、多くのことが手遅れになってきていると言った方が、より正確かもしれない。
しかし、誰のためにその痛みを甘受しているのかがわからなければ、誰も自分が損をするようなことはしたくないのは当然だ。また、その対象がわかっていても、それが自分たちの「仲間」だと認識できなければ、やはり痛みなど誰も引き受けようとはしない。
要するに、民主主義が機能していないのではなく、民主主義が機能する前提が機能していないのだ。
マル激ではこれまでその「前提」とは何で、どうすればそれが再構築できるかを、時間をかけて考えてきた。今回、第900回記念ライブでは、その中身をあらためて振り返り、この先、われわれが目指すべき新しいモデルを展望した。
後半はこちら→so33448253
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・「真実の瞬間」への備えはできているか
マル激では恒例となった、その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。今回は映画特集として「ペンタゴン・ペーパーズ」、「ザ・シークレットマン」、「15時17分、パリ行き」の3本の洋画を取り上げた。
日本では今週公開された「ペンタゴン・ペーパーズ」は、言わずと知れた1970年代初頭の機密文書流出事件を、巨匠スピルバーグが描いた作品。舞台となるワシントン・ポストの社主キャサリン・グラハム役をメリル・ストリープが、ベン・ブラッドリー編集主幹役をトム・ハンクスの2人の大御所が務めている。
映画では、内部告発者からベトナム戦争が大義無き戦争であることを露わにする機密文書「ペンタゴン・ペーパー」を入手したワシントン・ポスト紙の社主や経営陣、編集幹部らが、国家機密漏洩の罪に問われ、場合によっては社を倒産に追い込む恐れがある中で、報道機関として国民の知る権利に応え、記事を掲載すべきかどうかの葛藤に激しく揺さぶられる様がビビッドに描かれている。
この事件は結果的に、記事の掲載に踏み切ったワシントン・ポストは罪に問われることはなく、内部告発したダニエル・エルスバーグ博士も、政権側の失態によって刑事罰を逃れたハッピーエンドで終わっている。また、この文書の内容が報道され、歴代の政権の嘘が露わになったことで、ベトナム戦争に対する国民の反戦機運が一気に高まり、その後ほどなくアメリカはベトナムからの撤退を余儀なくされている。その引き金となったのが、このペンタゴン・ペーパーだった。
実は流出したペンタゴン・ペーパーの中身が最初に報道された1971年6月、時を同じくして日本でも政府の機密が報道される事件が起きていた。毎日新聞の西山太吉記者による沖縄密約報道だ。これは沖縄返還に際し、米軍が撤退した跡地の原状回復費を実際は日本側が負担することで米政府と合意しておきながら、当時の佐藤栄作政権は国民や国会にはアメリカ側が負担していると嘘をついていたことをすっぱ抜いたものだった。国家機密の流出によって、時の最高権力者の嘘や政権ぐるみの陰謀を暴いたという意味では、この報道もペンタゴン・ペーパーに勝るとも劣らない大スクープだった。
ところが日本では、西山氏に機密文書を渡した外務省の女性事務官と、それを元に記事を書いた西山氏が、国家公務員の守秘義務違反で逮捕されてしまった。しかも、西山記者に対する起訴状の中で検察は、西山氏が女性事務官と男女の関係にあったことを殊更に強調したために、その瞬間にこの事件は「政府が国民を騙した国家犯罪」から、ケチな下半身スキャンダルへと様変わりをしてしまった。・・・
この3本の映画を見て感じたことや考えたことを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so32977510
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・年末恒例マル激ライブ 「ポスト・トゥルースをぶっとばせ!」
2017年が終わろうとしている。
2017年のマル激は、年初に哲学者の内山節氏を招き「座席争いからの離脱のすすめ」を議論したのを皮切りに、トランプ現象に代表されるナショナリズムやオルタナ右翼の台頭、日米同盟と北朝鮮情勢、格差問題、憲法、アベノミクスや働き方改革など安倍政権の諸政策、共謀罪、種子法、解散と衆議院選挙、司法制度や教育無償化等々、多くの問題を多角的に議論してきた。
一連の議論から見えてきたものは、グローバル化の進展やインターネットによる情報革命によって機能不全に陥った民主制度を立て直していくことの困難さと、そうした中で個々人が日々感じている生きづらさに手当をしていくことの重要性だった。
確かに状況はあまり思わしくない。これは日本に限ったことではないが、われわれがこれまで当たり前のように享受してきた民主的な社会の規範や制度が崩れ、それに取って代わることができる新しい理念が見えてこない状況の下で、多くの人が社会のあり方や将来に不安を覚えながら、どうすればいいかがわからずにいるのが現状ではないか。
しかし、何でもありのポスト・トゥルース(脱真実)の時代を乗り越えるためには、まず一つ一つのトゥルースを直視することから始めるしか方法はないというのが、マル激で議論を積み重ねてきた末の結論だった。
まずわれわれはこれまで長らく当たり前と考えてきた世界の秩序が、実は幸運な偶然の積み重ねの結果だったり、途上国や社会の中の特定の弱者からの搾取によってのみ成り立っていた不完全かつ不条理なものだったことを、認識する必要がある。その上で、豊かな社会を築いていくための必要条件を人為的に再構築していくことが、遠回りのように見えて、実はもっとも現実的な処方箋なのだ。
ポスト・トゥルースは、本当の問題から目を背けたまま、便宜的な建前に過ぎない制度や理念を当たり前のものとして、それにただ乗りしてきたことのつけが回ってきたものと見ることができる。
民主的な制度や習慣が前提としていた条件が崩れた中で、それを再構築することは決して容易なことではないだろう。しかし、逆風の中でこそ、長い歴史の中でわれわれが培ってきた「自由」や「平等」などの普遍的な価値の真価が問われる。
年末の恒例となったマル激ライブでは、2017年に起きた様々なニュースを通じて見えてきた世界と日本の現実と、そこで露わになった問題を乗り越えて前へ進むための2018年の課題を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so32498442
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・年末恒例マル激ライブ 「ポスト・トゥルースをぶっとばせ!」
2017年が終わろうとしている。
2017年のマル激は、年初に哲学者の内山節氏を招き「座席争いからの離脱のすすめ」を議論したのを皮切りに、トランプ現象に代表されるナショナリズムやオルタナ右翼の台頭、日米同盟と北朝鮮情勢、格差問題、憲法、アベノミクスや働き方改革など安倍政権の諸政策、共謀罪、種子法、解散と衆議院選挙、司法制度や教育無償化等々、多くの問題を多角的に議論してきた。
一連の議論から見えてきたものは、グローバル化の進展やインターネットによる情報革命によって機能不全に陥った民主制度を立て直していくことの困難さと、そうした中で個々人が日々感じている生きづらさに手当をしていくことの重要性だった。
確かに状況はあまり思わしくない。これは日本に限ったことではないが、われわれがこれまで当たり前のように享受してきた民主的な社会の規範や制度が崩れ、それに取って代わることができる新しい理念が見えてこない状況の下で、多くの人が社会のあり方や将来に不安を覚えながら、どうすればいいかがわからずにいるのが現状ではないか。
しかし、何でもありのポスト・トゥルース(脱真実)の時代を乗り越えるためには、まず一つ一つのトゥルースを直視することから始めるしか方法はないというのが、マル激で議論を積み重ねてきた末の結論だった。
まずわれわれはこれまで長らく当たり前と考えてきた世界の秩序が、実は幸運な偶然の積み重ねの結果だったり、途上国や社会の中の特定の弱者からの搾取によってのみ成り立っていた不完全かつ不条理なものだったことを、認識する必要がある。その上で、豊かな社会を築いていくための必要条件を人為的に再構築していくことが、遠回りのように見えて、実はもっとも現実的な処方箋なのだ。
ポスト・トゥルースは、本当の問題から目を背けたまま、便宜的な建前に過ぎない制度や理念を当たり前のものとして、それにただ乗りしてきたことのつけが回ってきたものと見ることができる。
民主的な制度や習慣が前提としていた条件が崩れた中で、それを再構築することは決して容易なことではないだろう。しかし、逆風の中でこそ、長い歴史の中でわれわれが培ってきた「自由」や「平等」などの普遍的な価値の真価が問われる。
年末の恒例となったマル激ライブでは、2017年に起きた様々なニュースを通じて見えてきた世界と日本の現実と、そこで露わになった問題を乗り越えて前へ進むための2018年の課題を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so32498451
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。6月以来の3か月ぶりとなる今回は、前半で解散総選挙や民進党の事実上の解党に揺れる政局を議論し、後半にこのロクでもない世界を描いた映画を5作品取り上げた。
前半は民進の希望合流でポッカリと空いた穴は誰が埋めるのかについて議論した。今回は政治の立ち位置を縦軸に自由と再配分を上下に、横軸には市民参加と権威主義を左右に配置したマトリックスを描いた上で、その4象限の上で民進党の希望の党への合流がどこからどこへの移動を意味するかなどについて考えた。
これは世界的な潮流でもあるが、日本の政治もいよいよ、再配分をしない権威主義、すなわち上記の4象限の右上の象限に政治勢力が固まってきてしまったようだ。問題は元々左下、すなわち再配分と市民による参加主義を謳ってきた民進党が、自民党と同じ右上に位置する希望の党に吸収されることで、左下、すなわち弱者への再配分を主張し、何事も政府主導で決めるのではなく、市民参加を促す象限に位置する政治勢力が事実上いなくなってしまうことだ。辛うじて社民党と自由党がそのような主張をしているが、如何せん政治勢力としては弱小すぎる。
ちなみに自民党はかつては再分配を謳う権威主義政党だったが、小泉改革以降は小さな政府を謳い再分配に消極的な権威主義という意味で、右下から右上に移動している。また、共産党は再分配は主張するが、横軸では権威主義側に位置付けられる。左上の政府の権威も認めず、再分配も求めない象限はリバタリアンとなる。
民進党の希望への事実上の吸収合併は、左下のいわゆるリベラル勢力と呼ばれる勢力が日本の政治から消えることを意味する。これは日本の政治にどのような影響を与えることになるかをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半は、ロクでもない世界を独自の視点から描いた「サーミの血」「エル ELLE」「三度目の殺人」「砂上の法廷」「散歩する侵略者」の5つの映画作品を取り上げた。
後半はこちら→so32014553
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・映画は「時間」をどう描いてきたか
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
3月以来3か月ぶりの5金となる今回は、映画の中で描かれた「時間」の概念に着目し、社会の変化とともに人間にとっての「時間」の概念が変わりつつあることや、そこから見えてくる、これからの時代を生き抜くためのヒントなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
今回、取り上げた映画は以下の9本。
・メッセージ(2017年アメリカ)
・彷徨える河(2015年コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン)
・生まれてこなかった男(1963年アメリカ)
・アバウト・タイム~愛おしい時間について~(2013年イギリス・アメリカ)
・スライディング・ドア(1998年イギリス・アメリカ)
・ランダム(2013年アメリカ)
・残響のテロル(2014年日本)
・龍の歯医者(2014年日本)
・魔法少女まどか☆マギカ(2011年日本)
『マル激トーク・オン・ディマンド』は、ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』が毎週放送するニュース番組。毎回、各界のキーパーソンをスタジオに招き、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司との間でニュースの核心部分を徹底的に掘り下げるところが最大の特徴。2001年4月の第1回放送より続く長寿番組で、その放送回数はこの7月で850回を数える。『マル激トーク・オン・ディマンド』は通常、毎週金曜に収録し土曜日に更新されているが、金曜が5回ある月に限り「5金スペシャル」と称して特別企画を無料で放送している。
後半はこちら→so31493137
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・パンドラの箱が開いたトランプのアメリカに行ってきた
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
今回は3月上旬から中旬にかけてアメリカを取材してきたジャーナリスト神保哲生の取材映像などをもとに、アメリカ取材の中間報告とその意味するところを神保と社会学者の宮台真司が議論した。
今回はトランプ政権を裏で操るスティーブ・バノンが自任するオルトライト運動の源流を訪ねて、長年アメリカで白人の立場から人種運動に携わってきた大御所の白人至上主義者や、サッチャー政権の政策立案に携わった伝統的保守主義者らのインタビューなどを通じて、今、アメリカで何が起きているかについて考えた。
後半はこちら→ so30948007
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・パンドラの箱が開いたトランプのアメリカに行ってきた
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
今回は3月上旬から中旬にかけてアメリカを取材してきたジャーナリスト神保哲生の取材映像などをもとに、アメリカ取材の中間報告とその意味するところを神保と社会学者の宮台真司が議論した。
今回はトランプ政権を裏で操るスティーブ・バノンが自任するオルトライト運動の源流を訪ねて、長年アメリカで白人の立場から人種運動に携わってきた大御所の白人至上主義者や、サッチャー政権の政策立案に携わった伝統的保守主義者らのインタビューなどを通じて、今、アメリカで何が起きているかについて考えた。
前半はこちら→so30948090
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・年末恒例マル激ライブ 「トランプ時代を生き抜くために」
恒例となった年末のマル激ライブ。今年はいつもの新宿ライブハウスとは趣向を変えて、12月26日(月)に東京・永田町の憲政記念館ホールで開催され、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が2016年を振り返った。
今年もさまざまなニュースがあったが、中でも6月のイギリスのEU離脱を問う国民投票で離脱派が勝利したことに続き、11月にはアメリカの大統領選挙で大方の予想を裏切って公職に就いた経験が皆無の不動産王ドナルド・トランプ氏が、大本命のヒラリー・クリントンを破ったことで、世界の歴史の流れが大きな転換期に差し掛かっていることが、あらためて再確認されたことが、2016年の大きなできごとだった。
ブレグジットやトランプの当選は何を意味しているのか。歴史の流れが変わったと言われるが、それは何から何へと変わったことを意味しているのだろうか。
グローバル化によって世界規模でカネやヒト、モノの自由な移動が加速すれば、先進国の国内にも格差が広がり、民主主義が不安定化することは、以前から指摘されてきたことだった。そして、2016年、その流れが明らかに新たな次元に突入したかに見える。
ブレグジットやトランプ現象は、これまで先進国が金科玉条のごとく掲げてきた「自由」「平等」「民主主義」といった理念が、実は実態を伴わないきれい事に過ぎないことに、世界が気づいてしまったことから起きていると考えていいだろう。確かに先進国は第二次世界大戦後のある期間、とても物質的に豊かになった。そして、先進国が世界の資源を独占する限り経済は成長し、国家が個々人の豊かさを保障することが可能だった。
そうした特殊な状況を維持するために、世界、とりわけ先進国は、自分たちの体制を正当化するための「美しい理念」を必要としていた。
ところがグローバル化が進み、先進国が世界の資源を独占することが難しくなると、経済成長は止まり、先進国と言えども政府が個々人の豊かさを保障することが難しくなってしまった。どれだけ美しい理念を唱えても、国民を豊かにできない政府が国民から支持されることはない。
そうした中にあって、今世界は、既存の秩序を破壊してでも強いリーダーシップを発揮し、何とか再び国民に豊かさをもたらしてくれそうな強いリーダーの出現を待望する流れと、古いシステムと決別し新たな社会システムを模索する流れが交錯しているように見える。前者の典型がロシアのプーチンやハンガリーのオルバーン、フィリピンのドゥテルテなどであり、どうやらトランプの選出でアメリカもその仲間入りを果たしてしまったようだ。そして後者の典型が米大統領選でクリントンと民主党候補の座を最後まで争ったバーニー・サンダースなどだ。・・・
とはいえ、一度壊れた共同体を再構築する作業は決して容易ではない。2017年が、より混沌の深みへと嵌まっていく一年となるか、新しいシステムの萌芽が見えてくる1年となるか。ポスト・トゥルース(ポスト真実)などと呼ばれるこの時代を生き抜くために、われわれは何をしなければならないのか。神保哲生と宮台真司が議論した。
前半はこちら→so30330633
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・年末恒例マル激ライブ 「トランプ時代を生き抜くために」
恒例となった年末のマル激ライブ。今年はいつもの新宿ライブハウスとは趣向を変えて、12月26日(月)に東京・永田町の憲政記念館ホールで開催され、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が2016年を振り返った。
今年もさまざまなニュースがあったが、中でも6月のイギリスのEU離脱を問う国民投票で離脱派が勝利したことに続き、11月にはアメリカの大統領選挙で大方の予想を裏切って公職に就いた経験が皆無の不動産王ドナルド・トランプ氏が、大本命のヒラリー・クリントンを破ったことで、世界の歴史の流れが大きな転換期に差し掛かっていることが、あらためて再確認されたことが、2016年の大きなできごとだった。
ブレグジットやトランプの当選は何を意味しているのか。歴史の流れが変わったと言われるが、それは何から何へと変わったことを意味しているのだろうか。
グローバル化によって世界規模でカネやヒト、モノの自由な移動が加速すれば、先進国の国内にも格差が広がり、民主主義が不安定化することは、以前から指摘されてきたことだった。そして、2016年、その流れが明らかに新たな次元に突入したかに見える。
ブレグジットやトランプ現象は、これまで先進国が金科玉条のごとく掲げてきた「自由」「平等」「民主主義」といった理念が、実は実態を伴わないきれい事に過ぎないことに、世界が気づいてしまったことから起きていると考えていいだろう。確かに先進国は第二次世界大戦後のある期間、とても物質的に豊かになった。そして、先進国が世界の資源を独占する限り経済は成長し、国家が個々人の豊かさを保障することが可能だった。
そうした特殊な状況を維持するために、世界、とりわけ先進国は、自分たちの体制を正当化するための「美しい理念」を必要としていた。
ところがグローバル化が進み、先進国が世界の資源を独占することが難しくなると、経済成長は止まり、先進国と言えども政府が個々人の豊かさを保障することが難しくなってしまった。どれだけ美しい理念を唱えても、国民を豊かにできない政府が国民から支持されることはない。
そうした中にあって、今世界は、既存の秩序を破壊してでも強いリーダーシップを発揮し、何とか再び国民に豊かさをもたらしてくれそうな強いリーダーの出現を待望する流れと、古いシステムと決別し新たな社会システムを模索する流れが交錯しているように見える。前者の典型がロシアのプーチンやハンガリーのオルバーン、フィリピンのドゥテルテなどであり、どうやらトランプの選出でアメリカもその仲間入りを果たしてしまったようだ。そして後者の典型が米大統領選でクリントンと民主党候補の座を最後まで争ったバーニー・サンダースなどだ。・・・
とはいえ、一度壊れた共同体を再構築する作業は決して容易ではない。2017年が、より混沌の深みへと嵌まっていく一年となるか、新しいシステムの萌芽が見えてくる1年となるか。ポスト・トゥルース(ポスト真実)などと呼ばれるこの時代を生き抜くために、われわれは何をしなければならないのか。神保哲生と宮台真司が議論した。
後半はこちら→so30330638
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・映画が映し出すメディアの変質
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。今回は映画がメディアの変遷をどのように描いてきたか取り上げた。
今回取り上げた映画は、最新作「ニュースの真相」のほか、「スポットライト 世紀のスクープ」、「グッドナイト&グッドラック」、「大統領の陰謀」、「ニュースの天才」、「マネーモンスター」、そして番外編として「プロミスト・ランド」と「ハドソン川の奇跡」の8作。
かつては政治権力や大企業の腐敗と戦う「勧善懲悪」の主人公だったメディアが、最近ではメディア自身が悪事を働いたり、逆に権力に利用され腐敗の片棒を担がされたりするストーリーが多い。メディアが社会問題を解決するのではなく、むしろメディア自身が社会問題の一部として描かれるようになっている。
確かに、グローバル化やインターネットの登場によって、既存のメディアの役割は大きく変わってきている。しかし、その一方で、新たに表舞台に躍り出たネットメディアは、これまで既存のメディアが果たしてきた権力の監視機能や共同体の意見を集約する機能は果たせていない。そうした状況の下で、政治の劣化や社会の分断は進む一方だ。
映画に色濃く映し出されたメディアの変質から、われわれは何を読み取るべきか。このままメディアは伝統的な公共性を失ってしまうのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so29753222
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・映画が映し出すメディアの変質
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。今回は映画がメディアの変遷をどのように描いてきたか取り上げた。
今回取り上げた映画は、最新作「ニュースの真相」のほか、「スポットライト 世紀のスクープ」、「グッドナイト&グッドラック」、「大統領の陰謀」、「ニュースの天才」、「マネーモンスター」、そして番外編として「プロミスト・ランド」と「ハドソン川の奇跡」の8作。
かつては政治権力や大企業の腐敗と戦う「勧善懲悪」の主人公だったメディアが、最近ではメディア自身が悪事を働いたり、逆に権力に利用され腐敗の片棒を担がされたりするストーリーが多い。メディアが社会問題を解決するのではなく、むしろメディア自身が社会問題の一部として描かれるようになっている。
確かに、グローバル化やインターネットの登場によって、既存のメディアの役割は大きく変わってきている。しかし、その一方で、新たに表舞台に躍り出たネットメディアは、これまで既存のメディアが果たしてきた権力の監視機能や共同体の意見を集約する機能は果たせていない。そうした状況の下で、政治の劣化や社会の分断は進む一方だ。
映画に色濃く映し出されたメディアの変質から、われわれは何を読み取るべきか。このままメディアは伝統的な公共性を失ってしまうのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so29753228
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<マル激・後半>5金スペシャル・マル激放送800回記念トークライブ 「何でもあり」への抗いのすすめ
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。マル激は2001年2月16日の第1回放送以来、間もなく第800回の放送を迎えるにあたり、7月24日に東京・渋谷のロフト9でトークイベントを開催した。今回の5金は、このイベントの模様をお送りする。
マル激がスタートした2001年2月、日本は自民党の森喜朗政権。首相の度重なる問題発言や失政で内閣の支持率が一桁台に落ちる中、記念すべき第1回放送でマル激は、青少年社会環境対策基本法を通じた政府による表現規制と記者クラブに代表されるメディアの構造問題を中心に議論をしている。
第1回放送の2001年2月16日から米・同時テロがあった2001年9月11日までの間、マル激は27回の番組を放送しているが、そこでは、手を変え品を変え繰り出される政府による表現規制の企てや、記者クラブに代表されるメディアの構造問題、小泉政権の発足による政治保守から経済保守への権力の移行、靖国参拝問題と歴史修正主義、狂牛病に代表される地球環境と食の安全問題などが議論されていた。その多くは、依然として今も解決されていない。
ところが2001年9月の同時テロによって、世界の流れが大きく変わった。それがマル激の番組のラインナップからもはっきりと見て取れる。
同時テロとその後に始まったアメリカによる「テロとの戦い」の名のもとに行われた報復戦争によって、それまでマル激が扱おうとしていた世界や日本が抱えていた問題の多くが、一旦は優先順位が下げられ、水面下に潜ってしまい、テロや安全といった目先の問題への対応が優先されることになった。同時に日本は、憲法上の制約と対テロ戦争における自衛隊の担うべき役割についての終わりなき論争に明け暮れることになる。
第800回放送を迎えるにあたり、改めて今日の日本や世界を俯瞰した時、マル激が2001年の第1回放送から2001年9月の第27回放送までの間に議論したテーマが、何一つとして解決していないことには驚きを禁じ得ない。同時テロはそれまで日本や世界が抱えていた問題に一旦蓋をしてしまった。そして、今、それから15年が過ぎ、テロがややもすると常態化するようになった今、改めて世界を再点検してみると、そもそもテロを生む遠因にもなっていた世界の諸問題が、実は何一つとして解決できていなかったことが明らかになる。
問題は問題として直視し、解決していくしかない。しかし、15年にわたるテロとの戦いによって疲弊した世界の市民社会は、もはや15年前の状況とは大きく異なっている。その間、格差は拡大し、中間層は解体され、メディアの堕落は進行するなど、社会全体が大きく劣化してしまった。市民社会は問題に対峙するための多くのツールを失っている。15年前のようにナイーブに一つ一つの問題に真正面から取り組むだけでは、おおよそ問題の解決は望めそうにない。・・・
今回、800回という節目を迎えるにあたり、東京・渋谷のLOFT9 Shibuyaの新規開店に合わせて行われたトークライブでは、15年前の第1回の放送から、何が変わり何が変わっていないのかを検証した上で、なぜ今、われわれの当初の問題意識の再確認が重要な意味を持つのかを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so29347791
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・マル激放送800回記念トークライブ 「何でもあり」への抗いのすすめ
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。マル激は2001年2月16日の第1回放送以来、間もなく第800回の放送を迎えるにあたり、7月24日に東京・渋谷のロフト9でトークイベントを開催した。今回の5金は、このイベントの模様をお送りする。
マル激がスタートした2001年2月、日本は自民党の森喜朗政権。首相の度重なる問題発言や失政で内閣の支持率が一桁台に落ちる中、記念すべき第1回放送でマル激は、青少年社会環境対策基本法を通じた政府による表現規制と記者クラブに代表されるメディアの構造問題を中心に議論をしている。
第1回放送の2001年2月16日から米・同時テロがあった2001年9月11日までの間、マル激は27回の番組を放送しているが、そこでは、手を変え品を変え繰り出される政府による表現規制の企てや、記者クラブに代表されるメディアの構造問題、小泉政権の発足による政治保守から経済保守への権力の移行、靖国参拝問題と歴史修正主義、狂牛病に代表される地球環境と食の安全問題などが議論されていた。その多くは、依然として今も解決されていない。
ところが2001年9月の同時テロによって、世界の流れが大きく変わった。それがマル激の番組のラインナップからもはっきりと見て取れる。
同時テロとその後に始まったアメリカによる「テロとの戦い」の名のもとに行われた報復戦争によって、それまでマル激が扱おうとしていた世界や日本が抱えていた問題の多くが、一旦は優先順位が下げられ、水面下に潜ってしまい、テロや安全といった目先の問題への対応が優先されることになった。同時に日本は、憲法上の制約と対テロ戦争における自衛隊の担うべき役割についての終わりなき論争に明け暮れることになる。
第800回放送を迎えるにあたり、改めて今日の日本や世界を俯瞰した時、マル激が2001年の第1回放送から2001年9月の第27回放送までの間に議論したテーマが、何一つとして解決していないことには驚きを禁じ得ない。同時テロはそれまで日本や世界が抱えていた問題に一旦蓋をしてしまった。そして、今、それから15年が過ぎ、テロがややもすると常態化するようになった今、改めて世界を再点検してみると、そもそもテロを生む遠因にもなっていた世界の諸問題が、実は何一つとして解決できていなかったことが明らかになる。
問題は問題として直視し、解決していくしかない。しかし、15年にわたるテロとの戦いによって疲弊した世界の市民社会は、もはや15年前の状況とは大きく異なっている。その間、格差は拡大し、中間層は解体され、メディアの堕落は進行するなど、社会全体が大きく劣化してしまった。市民社会は問題に対峙するための多くのツールを失っている。15年前のようにナイーブに一つ一つの問題に真正面から取り組むだけでは、おおよそ問題の解決は望めそうにない。・・・
今回、800回という節目を迎えるにあたり、東京・渋谷のLOFT9 Shibuyaの新規開店に合わせて行われたトークライブでは、15年前の第1回の放送から、何が変わり何が変わっていないのかを検証した上で、なぜ今、われわれの当初の問題意識の再確認が重要な意味を持つのかを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so29348126
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・映画が描く人工知能と人間のこれからの関係/栗原聡氏(電気通信大学大学院教授)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回は「人工知能」をテーマにした映画を取り上げながら、急速に進歩する人工知能(AI)がわれわれ人間の未来にどのような影響を与えるかを考えた。
今回取り上げた作品は、日本では今春公開される『オートマタ』、2014年公開の『トランセンデンス』、同じく2014年公開で『her 世界でひとつの彼女』の3本。いずれも人工知能の進歩によって、人間の社会や日々の生活が大きく影響を受けている様子を描いている作品だ。
2044年の未来を舞台に、人工知能と人類のサバイバルを賭けた戦いを描いたアントニオ・バンデラス主演の『オートマタ』は、人工知能ロボット「オートマタ」の製造時に、「人間への危害を加えないこと、ロボットを改造しないことの2条件をプログラムに組み込むことで、ロボットが自らを進化させ、やがては人間に歯向かうような事態は避けられるはずだった。そのおかげで、人工知能が人間の仕事の多くを代替するようになり、一見、人間とロボットの平和な共存が確立されているように見えた。
しかし、自らを改造する能力を持ったロボットが出現し、物語はその改造主が誰かを突き止めていくというストーリーに沿って展開する。
ロボットが人間にとって脅威とならないことを確実なものにするためには、ロボットのプログラムに組み込む2条件のセキュリティを、決して人間の力では破られないような強固なものにしなければならない。そのために人間はどうしてもロボットの力を借りる必要があった。そこに大きな落とし穴があった。・・・・
人工知能の進歩は人間の社会をどのように変えるのか。人間よりも優れたロボットの登場で、人間らしさの意味は変わるのか。人工知能をテーマに描かれた『オートマタ』、『トランセンデンス』、『her 世界でひとつの彼女』の他、『2001年宇宙の旅』、『Lucy』なども参照しつつ、ゲストの栗原聡氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。前半はこちら→ so28112072
<マル激・前半>5金スペシャル・映画が描く人工知能と人間のこれからの関係/栗原聡氏(電気通信大学大学院教授)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回は「人工知能」をテーマにした映画を取り上げながら、急速に進歩する人工知能(AI)がわれわれ人間の未来にどのような影響を与えるかを考えた。
今回取り上げた作品は、日本では今春公開される『オートマタ』、2014年公開の『トランセンデンス』、同じく2014年公開で『her 世界でひとつの彼女』の3本。いずれも人工知能の進歩によって、人間の社会や日々の生活が大きく影響を受けている様子を描いている作品だ。
2044年の未来を舞台に、人工知能と人類のサバイバルを賭けた戦いを描いたアントニオ・バンデラス主演の『オートマタ』は、人工知能ロボット「オートマタ」の製造時に、「人間への危害を加えないこと、ロボットを改造しないことの2条件をプログラムに組み込むことで、ロボットが自らを進化させ、やがては人間に歯向かうような事態は避けられるはずだった。そのおかげで、人工知能が人間の仕事の多くを代替するようになり、一見、人間とロボットの平和な共存が確立されているように見えた。
しかし、自らを改造する能力を持ったロボットが出現し、物語はその改造主が誰かを突き止めていくというストーリーに沿って展開する。
ロボットが人間にとって脅威とならないことを確実なものにするためには、ロボットのプログラムに組み込む2条件のセキュリティを、決して人間の力では破られないような強固なものにしなければならない。そのために人間はどうしてもロボットの力を借りる必要があった。そこに大きな落とし穴があった。・・・・
人工知能の進歩は人間の社会をどのように変えるのか。人間よりも優れたロボットの登場で、人間らしさの意味は変わるのか。人工知能をテーマに描かれた『オートマタ』、『トランセンデンス』、『her 世界でひとつの彼女』の他、『2001年宇宙の旅』、『Lucy』なども参照しつつ、ゲストの栗原聡氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。後半はこちら→ so28112088
<マル激・前半>5金スペシャル SEALDsが日本社会に投げかけた素朴な疑問/奥田愛基氏(SEALDs・明治学院大学4年)、福田和香子氏(SEALDs・和光大学4年)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では安保法制に反対する国会前デモで一躍注目を浴びた学生グループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーを迎えて、彼らシールズの活動を通じて見えてきた日本の実相への素朴な疑問について、大いに語ったもらった。
ラップ音楽に乗った「コール」で、安保法制に反対するデモをリードしてきたシールズ(SEALDs:Students Emergency Action for Liberal Democracy-s = 自由と民主主義のための学 生緊急行動)は、2013年に成立した特定秘密保護法に反対する学生団体サスプル(SASPL: Students Against Secret Protection Law = 特定秘密保護法に反対する学生有志の会)をその前身に持つ。
東日本大震災と原発事故後の政府の対応や特定秘密保護法、安保法制の制定過程などを通じて、日本の民主主義の在り方に対する根本的な疑問を持つ人が増える中、実際にその影響を最も強く受けることになる若者、とりわけ学生たちにも、その危機感は十二分に共有されていた。しかし、民主主義や民主主義を守るために立ち上がった学生たちと聞くと、従来の学生運動を思い起こす人も多いに違いない。ましてやその中心メンバーとなれば、さぞかし意識の高い若者たちなのだろうと思いきや、その一人、奥田愛基さんは、今回の安保法制への反対運動を始めるまでは、ほとんどデモに参加したこともなく、特に特定の政治問題に対するスタンスを公言したこともなかったという。・・・・
分からないこと、おかしいと思うことがあれば、声を上げるのが当たり前の社会への第一歩を踏み出す先鞭をつけた学生グループのシールズが、その活動を通じて見たもの、感じたことを、その中心メンバーの奥田愛基さん、福田和香子さんと、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。前半はこちら→so27491771
<マル激・後半>5金スペシャル SEALDsが日本社会に投げかけた素朴な疑問/奥田愛基氏(SEALDs・明治学院大学4年)、福田和香子氏(SEALDs・和光大学4年)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では安保法制に反対する国会前デモで一躍注目を浴びた学生グループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーを迎えて、彼らシールズの活動を通じて見えてきた日本の実相への素朴な疑問について、大いに語ったもらった。
ラップ音楽に乗った「コール」で、安保法制に反対するデモをリードしてきたシールズ(SEALDs:Students Emergency Action for Liberal Democracy-s = 自由と民主主義のための学 生緊急行動)は、2013年に成立した特定秘密保護法に反対する学生団体サスプル(SASPL: Students Against Secret Protection Law = 特定秘密保護法に反対する学生有志の会)をその前身に持つ。
東日本大震災と原発事故後の政府の対応や特定秘密保護法、安保法制の制定過程などを通じて、日本の民主主義の在り方に対する根本的な疑問を持つ人が増える中、実際にその影響を最も強く受けることになる若者、とりわけ学生たちにも、その危機感は十二分に共有されていた。しかし、民主主義や民主主義を守るために立ち上がった学生たちと聞くと、従来の学生運動を思い起こす人も多いに違いない。ましてやその中心メンバーとなれば、さぞかし意識の高い若者たちなのだろうと思いきや、その一人、奥田愛基さんは、今回の安保法制への反対運動を始めるまでは、ほとんどデモに参加したこともなく、特に特定の政治問題に対するスタンスを公言したこともなかったという。・・・・
分からないこと、おかしいと思うことがあれば、声を上げるのが当たり前の社会への第一歩を踏み出す先鞭をつけた学生グループのシールズが、その活動を通じて見たもの、感じたことを、その中心メンバーの奥田愛基さん、福田和香子さんと、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。後半はこちら→so27491771
<マル激・後半>5金スペシャル・もしも共産党が政権の座に就いたなら/志位和夫氏(衆議院議員・日本共産党委員長)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では日本共産党委員長の志位和夫氏をゲストに迎え、安倍政権による解釈改憲法案の審議が進むなど、戦後70年、日本の政治が大きな節目を迎える中、われわれは今、共産党にどこまで何を期待できるかを議論した。
安倍政権が推進する集団的自衛権の行使を認める安保法案については、民主、維新、共産、社民、生活の野党5党はここまで、結束して反対の姿勢を貫いている。志位氏は市民の強い反対によって法案を廃案に持ち込むことを目指すと力説するが、実際のところ数に優る政権与党に対抗する具体的な手立てがあるわけではない。
衆院の総議席の3分の2を握れば60日ルールによっていかなる法案も通すことができるのが、現在の国会の仕組みだ。そして過去2度の総選挙で、自民・公明の与党はいずれも衆院の3分の2を超える議席を獲得しているが、いずれの選挙でも総得票数においては、野党の合計得票数は与党のそれを上回っていた。現在の小選挙区制の下では、投票率が6割にも満たないこともあり、政権与党は有権者全体の2割強の得票で、事実上立法権を完全に掌握することが可能となっている。
そして、それを許しているのが、常に四分五裂の状態にある野党の不甲斐なさだ。自公の連携に対抗すべく、野党が結束して選挙に臨むことができれば、再び政権交代の望みも出てくるし、少なくとも現在よりも国会により大きな緊張感が生まれることが期待できる。野党が近視眼的な党利党略に走り、与党にとって脅威になり得ないことが、安倍政権が無理筋の法案を次々と可決することを可能にしているのだ。・・・・
共産党のソフト路線は本物なのか。共産党は政権を担える政党になったのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、志位氏に共産党の本物度を問うた。前半はこちら→so26868680
<マル激・前半>5金スペシャル・もしも共産党が政権の座に就いたなら/志位和夫氏(衆議院議員・日本共産党委員長)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では日本共産党委員長の志位和夫氏をゲストに迎え、安倍政権による解釈改憲法案の審議が進むなど、戦後70年、日本の政治が大きな節目を迎える中、われわれは今、共産党にどこまで何を期待できるかを議論した。
安倍政権が推進する集団的自衛権の行使を認める安保法案については、民主、維新、共産、社民、生活の野党5党はここまで、結束して反対の姿勢を貫いている。志位氏は市民の強い反対によって法案を廃案に持ち込むことを目指すと力説するが、実際のところ数に優る政権与党に対抗する具体的な手立てがあるわけではない。
衆院の総議席の3分の2を握れば60日ルールによっていかなる法案も通すことができるのが、現在の国会の仕組みだ。そして過去2度の総選挙で、自民・公明の与党はいずれも衆院の3分の2を超える議席を獲得しているが、いずれの選挙でも総得票数においては、野党の合計得票数は与党のそれを上回っていた。現在の小選挙区制の下では、投票率が6割にも満たないこともあり、政権与党は有権者全体の2割強の得票で、事実上立法権を完全に掌握することが可能となっている。
そして、それを許しているのが、常に四分五裂の状態にある野党の不甲斐なさだ。自公の連携に対抗すべく、野党が結束して選挙に臨むことができれば、再び政権交代の望みも出てくるし、少なくとも現在よりも国会により大きな緊張感が生まれることが期待できる。野党が近視眼的な党利党略に走り、与党にとって脅威になり得ないことが、安倍政権が無理筋の法案を次々と可決することを可能にしているのだ。・・・・
共産党のソフト路線は本物なのか。共産党は政権を担える政党になったのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、志位氏に共産党の本物度を問うた。後半はこちら→so26868683
<マル激・前半>5金スペシャル・映画が描くテロとの戦い/ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では「テロとの戦い」をテーマにした映画を取り上げながら、テロの背後にある貧困や歴史の問題やその対応の是非を議論した。
今回取り上げた作品は2013年に日本でも公開された、CIA女性分析官がオサマ・ビンラディンを追い詰めていく過程を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』、ジャーナリストの綿井健陽氏がイラク戦争とその後の混乱に翻弄される家族を10年間にわたり追い続けたドキュメンタリー映画『イラクチグリスに浮かぶ平和』、そして『スーパー・サイズ・ミー』で注目されたモーガン・スパーロック監督の『ビンラディンを探せ!~スパーロックがテロ最前線に突撃!』の3本。いずれもテロやテロリストをテーマに、その最前線や狭間で生きる人々を描いた作品だ。
9・11の同時テロ以前からテロリストの最大の標的となり、テロとの戦いの最前線に立ち続けるアメリカは、今もテロリストの掃討に血道をあげる。その甲斐あってか、9・11以降は大規模なテロの押さえ込みには成功しているように見える。しかし、その一方で、テロとの戦いは、イラクやアフガニスタンの一般市民や、掃討するアメリカ側にも多くの犠牲を生みながら、テロとの戦いは全く出口が見えてこない。同時に、テロとの戦いの当事国では一般市民の犠牲が増えるごとに、イスラム圏ではアメリカや西側諸国への怨念が強まり、それがまた新たなテロリストを生むという悪循環を繰り返している。そして、その悪循環は、遂に中東では「イスラム国」を名乗り、テロ行為を繰り返す擬似武装国家の登場まで許してしまった。
そして日本も遅ればせながら、イスラム国と戦う有志連合に名を連ね、今回の中東訪問でも安倍首相はISISとの戦う姿勢を明確に打ち出している。
確かに、先進国の平穏な市民生活を守るためにはテロリストに付け入る隙を見せてはならないだろうし、暴力には力で立ち向かうことが必要な時もあるだろう。しかし、現在のアメリカの「テロとの戦い」を続けることで、本当にテロを根絶することは可能なのか。
テロの背景にはオスマントルコ崩壊後の欧米諸国による中東地域の理不尽な統治の歴史や、その後の度重なる紛争とその結果生まれている貧困や絶望などが根強く横たわっていると言われる。そのような土壌の上で、アメリカや先進諸国が圧倒的な軍事力に物を言わせた掃討作戦などを強行した結果、イスラム諸国の市民生活が破壊され、一般市民に多くの犠牲者が出れば、それがまた次のテロリストを生んでしまう負のサイクルに陥ることは避けられない。
われわれはこれからも出口の見えない「テロとの戦い」を続けるのか。そして、日本はそこに全面的にコミットしていく覚悟があるのか。それともテロの背景に目を向け、その解決に本気で踏み出すのか。テロとの戦いを描いた映画から見えてくるさまざまな問題を、ゲストのピーター・バラカン氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so25465588
<マル激・後半>5金スペシャル・映画が描くテロとの戦い/ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では「テロとの戦い」をテーマにした映画を取り上げながら、テロの背後にある貧困や歴史の問題やその対応の是非を議論した。
今回取り上げた作品は2013年に日本でも公開された、CIA女性分析官がオサマ・ビンラディンを追い詰めていく過程を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』、ジャーナリストの綿井健陽氏がイラク戦争とその後の混乱に翻弄される家族を10年間にわたり追い続けたドキュメンタリー映画『イラクチグリスに浮かぶ平和』、そして『スーパー・サイズ・ミー』で注目されたモーガン・スパーロック監督の『ビンラディンを探せ!~スパーロックがテロ最前線に突撃!』の3本。いずれもテロやテロリストをテーマに、その最前線や狭間で生きる人々を描いた作品だ。
9・11の同時テロ以前からテロリストの最大の標的となり、テロとの戦いの最前線に立ち続けるアメリカは、今もテロリストの掃討に血道をあげる。その甲斐あってか、9・11以降は大規模なテロの押さえ込みには成功しているように見える。しかし、その一方で、テロとの戦いは、イラクやアフガニスタンの一般市民や、掃討するアメリカ側にも多くの犠牲を生みながら、テロとの戦いは全く出口が見えてこない。同時に、テロとの戦いの当事国では一般市民の犠牲が増えるごとに、イスラム圏ではアメリカや西側諸国への怨念が強まり、それがまた新たなテロリストを生むという悪循環を繰り返している。そして、その悪循環は、遂に中東では「イスラム国」を名乗り、テロ行為を繰り返す擬似武装国家の登場まで許してしまった。
そして日本も遅ればせながら、イスラム国と戦う有志連合に名を連ね、今回の中東訪問でも安倍首相はISISとの戦う姿勢を明確に打ち出している。
確かに、先進国の平穏な市民生活を守るためにはテロリストに付け入る隙を見せてはならないだろうし、暴力には力で立ち向かうことが必要な時もあるだろう。しかし、現在のアメリカの「テロとの戦い」を続けることで、本当にテロを根絶することは可能なのか。
テロの背景にはオスマントルコ崩壊後の欧米諸国による中東地域の理不尽な統治の歴史や、その後の度重なる紛争とその結果生まれている貧困や絶望などが根強く横たわっていると言われる。そのような土壌の上で、アメリカや先進諸国が圧倒的な軍事力に物を言わせた掃討作戦などを強行した結果、イスラム諸国の市民生活が破壊され、一般市民に多くの犠牲者が出れば、それがまた次のテロリストを生んでしまう負のサイクルに陥ることは避けられない。
われわれはこれからも出口の見えない「テロとの戦い」を続けるのか。そして、日本はそこに全面的にコミットしていく覚悟があるのか。それともテロの背景に目を向け、その解決に本気で踏み出すのか。テロとの戦いを描いた映画から見えてくるさまざまな問題を、ゲストのピーター・バラカン氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so25416262
<マル激・後半>5金スペシャル・人工知能が閻魔大王になる日
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」の世界でいま何が起きつつあるのか、そしてそれがわれわれの社会にどういう影響を与えるのかを考えた。 いま、人工知能の研究・開発がブームを迎えているそうだ。 「人間の知能を代替するようなコンピューターのプログラム」を意味する人工知能は、1956年にアメリカのダートマス会議で初めて使われて以来、何度かのブームが到来したが、そのたびにその時々のコンピューターの性能の限界ゆえに、研究者たちは新たな壁にぶち当たってきたという。しかし、第3次のAIブームを迎えた今、少なくとも情報の処理能力にかけてはコンピューターの性能が人間の脳を遙かに凌ぐようになったことで、新たな地平が開けてきている。 人工知能が専門の東京大学大学院の松尾豐准教授によると、人工知能研究において最大の課題は、今も昔も変わらず、コンピューターが自立的に「表現を獲得することが出来るかどうかだ」という、。そして、今、その問題をクリアするブレイクスルーが起きつつあるという。 人間の脳は電気信号によって刺激が伝達されるという仕組みだが、原理的にはその活動をコンピューターによって代替できない理由はないと松井氏は言う。しかし長らく人工知能には人間の脳が持つ認識・学習という機能が実現できないことが大きな壁だった。しかし、2000年代に入り、「ディープラーニング」と呼ばれるブレークスルーによって、コンピューター自身がビッグデータの情報を認識、整理しながら、個別の概念を抽出して学んでいくことが可能になりつつあるという。 その背景にはIT技術の発達が大きく寄与している。いまやパソコンですらギガバイト、テラバイトのハードディスクを備え、高度なCPUによって、かつては何年もかかった膨大なデータの処理が数秒で可能になった。さらにインターネットの普及で、ネット空間に膨大なデータが共有されるようになり、コンピューターが学ぶための環境が整った。。 現に、グーグルやフェイスブックなどのネット企業は、いち早く人工知能の研究に乗り出し、最先端企業や研究者を次々に買収したり、スカウトしたりしている。彼らの狙いは人工知能によって検索やデータ解析の精度をあげることで、広告収入をあげるところにあるのだろうと松尾氏は言う。 しかし、いくつか倫理的な問題が議論される必要がある。それは、まずそもそも人工知能の技術を、グーグルやフェイスブックなどの私企業が私物化し、われわれ一般市民の行動が彼らによってコントロールされることになる危険性はないのかという点が一つ。そして、もう一つは、仮にある領域まで発達した人工知能が、企業の私的な利益のためではなく、公共的な目的で使われるようになったとしても、果たしてそれはわれわれを幸せにするのかという点だ。 インターネットの普及とIT技術の進歩によって、人工知能研究が新たな次元に突入していることは、間違いなさそうだ。閻魔大王が現れる前に、倫理的な問題も含め、考えるべきことを考えておいた方がよさそうだ。人工知能の研究・開発の歴史や現状を参照しながら、ゲストの松尾豊氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so24818829
<マル激・前半>5金スペシャル・人工知能が閻魔大王になる日
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」の世界でいま何が起きつつあるのか、そしてそれがわれわれの社会にどういう影響を与えるのかを考えた。 いま、人工知能の研究・開発がブームを迎えているそうだ。 「人間の知能を代替するようなコンピューターのプログラム」を意味する人工知能は、1956年にアメリカのダートマス会議で初めて使われて以来、何度かのブームが到来したが、そのたびにその時々のコンピューターの性能の限界ゆえに、研究者たちは新たな壁にぶち当たってきたという。しかし、第3次のAIブームを迎えた今、少なくとも情報の処理能力にかけてはコンピューターの性能が人間の脳を遙かに凌ぐようになったことで、新たな地平が開けてきている。 人工知能が専門の東京大学大学院の松尾豐准教授によると、人工知能研究において最大の課題は、今も昔も変わらず、コンピューターが自立的に「表現を獲得することが出来るかどうかだ」という、。そして、今、その問題をクリアするブレイクスルーが起きつつあるという。 人間の脳は電気信号によって刺激が伝達されるという仕組みだが、原理的にはその活動をコンピューターによって代替できない理由はないと松井氏は言う。しかし長らく人工知能には人間の脳が持つ認識・学習という機能が実現できないことが大きな壁だった。しかし、2000年代に入り、「ディープラーニング」と呼ばれるブレークスルーによって、コンピューター自身がビッグデータの情報を認識、整理しながら、個別の概念を抽出して学んでいくことが可能になりつつあるという。 その背景にはIT技術の発達が大きく寄与している。いまやパソコンですらギガバイト、テラバイトのハードディスクを備え、高度なCPUによって、かつては何年もかかった膨大なデータの処理が数秒で可能になった。さらにインターネットの普及で、ネット空間に膨大なデータが共有されるようになり、コンピューターが学ぶための環境が整った。。 現に、グーグルやフェイスブックなどのネット企業は、いち早く人工知能の研究に乗り出し、最先端企業や研究者を次々に買収したり、スカウトしたりしている。彼らの狙いは人工知能によって検索やデータ解析の精度をあげることで、広告収入をあげるところにあるのだろうと松尾氏は言う。 しかし、いくつか倫理的な問題が議論される必要がある。それは、まずそもそも人工知能の技術を、グーグルやフェイスブックなどの私企業が私物化し、われわれ一般市民の行動が彼らによってコントロールされることになる危険性はないのかという点が一つ。そして、もう一つは、仮にある領域まで発達した人工知能が、企業の私的な利益のためではなく、公共的な目的で使われるようになったとしても、果たしてそれはわれわれを幸せにするのかという点だ。 インターネットの普及とIT技術の進歩によって、人工知能研究が新たな次元に突入していることは、間違いなさそうだ。閻魔大王が現れる前に、倫理的な問題も含め、考えるべきことを考えておいた方がよさそうだ。人工知能の研究・開発の歴史や現状を参照しながら、ゲストの松尾豊氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so24818839
<マル激・前半>5金スペシャル・カシミール、パレスチナ、世界の紛争の根っこにあるもの/伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きている武力紛争について、関連映画を参照しながら考えた。
インド、パキスタンの国境付近に位置するカシミール地方は、1947年にインドとパキスタンがイギリスから独立して以来、常に二国間の紛争の種だった。カシミールは住民の大半こそイスラム教徒だが、10以上の言語が存在し、中央アジア、特にアフガニスタンとの地域的な共通性を持っているなど、多様な文化が混在している地域だ。現在のカシミール紛争は、この地を治めていたヒンドゥー教徒の藩王(マハラジャ)が、独立に際してインド、パキスタンのいずれに属するかを明確にせず中途半端な状態にあったところ、イスラム教徒のパシュトゥーン人勢力に侵攻を受け、あわててインド側に帰属することと引き換えに武力による保護を求めたことが発端となっている。その後、カシミールはインド、パキスタンの独立後も3次にわたる印パ戦争の舞台となり、局地的な武力衝突も後を絶たない。最近ではイスラム原理主義勢力がカシミールのパキスタン側に入り、自爆テロなども起きるようになってしまった。…
ここで取り上げた映画『アルターフ 復讐の名のもとに』は、カシミールが舞台のインド映画だが、登場人物の背景を、カシミール情勢に照らして考えていくとまた違った見方が出来る作品だ。暴漢に家族を殺されたイスラム教徒の主人公は、事件の捜査を担当したヒンズー教徒の警察署長に引き取られて育てられていたが、ある日、その養父が自分の家族を殺した覆面の男だったことが分かり、復讐を誓ってテロを計画するという物語だが、そこにもカシミール情勢の複雑さが垣間見える。インド映画特有の踊りと音楽が取り入れられたアクション作品だが、登場人物の出自や立場をカシミール情勢と重ねて考えることで、また違った見方ができる作品でもある。
今回の5金スペシャルで取り上げたもう1つの映画は、パレスチナ人ラッパーの活動を取り上げたドキュメンタリー映画『自由と壁とヒップホップ』だ。パレスチナ人ヒップホップグループ「DAM」が、パレスチナ特有の困難や制約の中で活動する姿を追ったこの作品は、イスラエルとの対立構図だけではなく、パレスチナ人同士にも存在する互いの遠慮や差別、世代間の考え方の違いなどパレスチナ社会が抱える問題が描かれている。パレスチナ情勢は現在も短期間の停戦をはさみながら、イスラエル軍による空爆や、パレスチナ過激派によるテロが繰り返されているが、もはやユダヤ教とイスラム教の宗教対立という視点からだけでは捉えきれない複雑さが存在し、カシミールと同様に解決の糸口を見出すことが困難になっている。
その他、世界にはカシミールやパレスチナのような地域紛争が無数にある。冷戦が終わり、より豊かな世界が実現するはずだった21世紀になっても、紛争は一向に減らないばかりか、ますます増え続けている。なぜ紛争はなくならないのか。冷戦というイデオロギー対立が終結した今、世界の紛争の根本にあるものは何なのか。ゲストの伊勢崎賢治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so24356555
<マル激・後半>5金スペシャル・カシミール、パレスチナ、世界の紛争の根っこにあるもの/伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きている武力紛争について、関連映画を参照しながら考えた。
インド、パキスタンの国境付近に位置するカシミール地方は、1947年にインドとパキスタンがイギリスから独立して以来、常に二国間の紛争の種だった。カシミールは住民の大半こそイスラム教徒だが、10以上の言語が存在し、中央アジア、特にアフガニスタンとの地域的な共通性を持っているなど、多様な文化が混在している地域だ。現在のカシミール紛争は、この地を治めていたヒンドゥー教徒の藩王(マハラジャ)が、独立に際してインド、パキスタンのいずれに属するかを明確にせず中途半端な状態にあったところ、イスラム教徒のパシュトゥーン人勢力に侵攻を受け、あわててインド側に帰属することと引き換えに武力による保護を求めたことが発端となっている。その後、カシミールはインド、パキスタンの独立後も3次にわたる印パ戦争の舞台となり、局地的な武力衝突も後を絶たない。最近ではイスラム原理主義勢力がカシミールのパキスタン側に入り、自爆テロなども起きるようになってしまった。…
ここで取り上げた映画『アルターフ 復讐の名のもとに』は、カシミールが舞台のインド映画だが、登場人物の背景を、カシミール情勢に照らして考えていくとまた違った見方が出来る作品だ。暴漢に家族を殺されたイスラム教徒の主人公は、事件の捜査を担当したヒンズー教徒の警察署長に引き取られて育てられていたが、ある日、その養父が自分の家族を殺した覆面の男だったことが分かり、復讐を誓ってテロを計画するという物語だが、そこにもカシミール情勢の複雑さが垣間見える。インド映画特有の踊りと音楽が取り入れられたアクション作品だが、登場人物の出自や立場をカシミール情勢と重ねて考えることで、また違った見方ができる作品でもある。
今回の5金スペシャルで取り上げたもう1つの映画は、パレスチナ人ラッパーの活動を取り上げたドキュメンタリー映画『自由と壁とヒップホップ』だ。パレスチナ人ヒップホップグループ「DAM」が、パレスチナ特有の困難や制約の中で活動する姿を追ったこの作品は、イスラエルとの対立構図だけではなく、パレスチナ人同士にも存在する互いの遠慮や差別、世代間の考え方の違いなどパレスチナ社会が抱える問題が描かれている。パレスチナ情勢は現在も短期間の停戦をはさみながら、イスラエル軍による空爆や、パレスチナ過激派によるテロが繰り返されているが、もはやユダヤ教とイスラム教の宗教対立という視点からだけでは捉えきれない複雑さが存在し、カシミールと同様に解決の糸口を見出すことが困難になっている。
その他、世界にはカシミールやパレスチナのような地域紛争が無数にある。冷戦が終わり、より豊かな世界が実現するはずだった21世紀になっても、紛争は一向に減らないばかりか、ますます増え続けている。なぜ紛争はなくならないのか。冷戦というイデオロギー対立が終結した今、世界の紛争の根本にあるものは何なのか。ゲストの伊勢崎賢治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so24356550
<マル激・前半>5金スペシャル・映画は歴史的悲劇をどう描いたのか/倉沢愛子氏(慶應義塾大学名誉教授)、吉田未穂氏(シネマアフリカ代表)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きた虐殺の悲劇を描いた映画を取り上げる。
最初に取り上げたのは、いま話題のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』。この映画ではインドネシアで1965年に起きた「9.30事件」の虐殺当事者が登場する。
「9.30事件」とは、クーデター未遂事件に端を発し、その後3年間にも及ぶ共産主義者の大虐殺を指す。あるクーデター未遂事件をきっかけに共産主義に寛容だった当時のスカルノ大統領が失脚し、代わって実権を握り第2代大統領の座に就くスハルト少将(当時)の下で、民兵組織や一般市民による凄惨な共産主義者への迫害が行われた。少なくても50万人、一説によると300万人もの共産主義者やその疑いをかけられた市民が虐殺されたとされる。当時インドネシアには350万人もの党員を抱える合法的なインドネシア共産党があったが、共産主義者は神を信じない輩として、イスラム教徒が多数を占めるインドネシアではそれを殺害することが正当化されていた。…
続いて取り上げたのは1994年のルワンダ虐殺を描いた『100DAYS』(邦題:ルワンダ虐殺の100日)。この5月は1994年のルワンダ虐殺からちょうど20年目にあたる。1994年4月6日にルワンダのハビャリマナ大統領が乗った飛行機が撃墜されたのをきっかけに、ルワンダで多数派のフツ族が、少数派のツチ族と穏健派フツ族を手当たり次第に鉈などで殺戮した虐殺事件では約100日間で80万とも、100万とも言われる市民が市民の手によって殺害されたという。
ルワンダ虐殺を扱った映画は『ルワンダの涙』、『ホテル・ルワンダ』、『四月の残像』などが有名だが、シネマアフリカ代表でアフリカの映画事情などに詳しいゲストの吉田未穂氏は、『100DAYS』こそが、こうしたルワンダ虐殺映画の原型となった作品で、ルワンダ人のプロデューサーが犠牲者の視点から悲劇を描いたものだと言う。映画では、国際社会がいかに無力だったか、頼りにしたキリスト教の教会、神父がいかに犠牲者らを欺いていたかが描き出される。しかし、表現のトーンはあくまでも淡々としていて、それがかえって欧米からみるとセンセーショナルな虐殺の悲劇が、ルワンダ人にとっては当たり前の史実であるという認識の差、受け取り方の温度差を突きつけてくる。
吉田氏は現在のルワンダ社会は20年前の悲劇を少しずつだが総括しつつあり、女性の社会進出も目覚ましく、首都のキガリには高層タワービルやショッピングモールなども建ちはじめているという。ただ、映画で虐殺者側の視点からあの悲劇を取り上げた作品も出始めているとは言え、インドネシアのケースと同様に、当時の虐殺の当事者がルワンダ社会の中枢に多く残っている今、虐殺のような歴史的な悲劇を総括することは容易ではない。
今回の5金スペシャルでは、第1部で『アクト・オブ・キリング』を通してインドネシアの「9.30事件」から現在までの実相を、そして第2部では『100DAYS』から見えてくるルワンダ虐殺を取り上げて、それぞれのゲストともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so23675906
<マル激・後半>5金スペシャル・映画は歴史的悲劇をどう描いたのか/倉沢愛子氏(慶應義塾大学名誉教授)、吉田未穂氏(シネマアフリカ代表)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きた虐殺の悲劇を描いた映画を取り上げる。
最初に取り上げたのは、いま話題のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』。この映画ではインドネシアで1965年に起きた「9.30事件」の虐殺当事者が登場する。
「9.30事件」とは、クーデター未遂事件に端を発し、その後3年間にも及ぶ共産主義者の大虐殺を指す。あるクーデター未遂事件をきっかけに共産主義に寛容だった当時のスカルノ大統領が失脚し、代わって実権を握り第2代大統領の座に就くスハルト少将(当時)の下で、民兵組織や一般市民による凄惨な共産主義者への迫害が行われた。少なくても50万人、一説によると300万人もの共産主義者やその疑いをかけられた市民が虐殺されたとされる。当時インドネシアには350万人もの党員を抱える合法的なインドネシア共産党があったが、共産主義者は神を信じない輩として、イスラム教徒が多数を占めるインドネシアではそれを殺害することが正当化されていた。…
続いて取り上げたのは1994年のルワンダ虐殺を描いた『100DAYS』(邦題:ルワンダ虐殺の100日)。この5月は1994年のルワンダ虐殺からちょうど20年目にあたる。1994年4月6日にルワンダのハビャリマナ大統領が乗った飛行機が撃墜されたのをきっかけに、ルワンダで多数派のフツ族が、少数派のツチ族と穏健派フツ族を手当たり次第に鉈などで殺戮した虐殺事件では約100日間で80万とも、100万とも言われる市民が市民の手によって殺害されたという。
ルワンダ虐殺を扱った映画は『ルワンダの涙』、『ホテル・ルワンダ』、『四月の残像』などが有名だが、シネマアフリカ代表でアフリカの映画事情などに詳しいゲストの吉田未穂氏は、『100DAYS』こそが、こうしたルワンダ虐殺映画の原型となった作品で、ルワンダ人のプロデューサーが犠牲者の視点から悲劇を描いたものだと言う。映画では、国際社会がいかに無力だったか、頼りにしたキリスト教の教会、神父がいかに犠牲者らを欺いていたかが描き出される。しかし、表現のトーンはあくまでも淡々としていて、それがかえって欧米からみるとセンセーショナルな虐殺の悲劇が、ルワンダ人にとっては当たり前の史実であるという認識の差、受け取り方の温度差を突きつけてくる。
吉田氏は現在のルワンダ社会は20年前の悲劇を少しずつだが総括しつつあり、女性の社会進出も目覚ましく、首都のキガリには高層タワービルやショッピングモールなども建ちはじめているという。ただ、映画で虐殺者側の視点からあの悲劇を取り上げた作品も出始めているとは言え、インドネシアのケースと同様に、当時の虐殺の当事者がルワンダ社会の中枢に多く残っている今、虐殺のような歴史的な悲劇を総括することは容易ではない。
今回の5金スペシャルでは、第1部で『アクト・オブ・キリング』を通してインドネシアの「9.30事件」から現在までの実相を、そして第2部では『100DAYS』から見えてくるルワンダ虐殺を取り上げて、それぞれのゲストともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so23675896
<マル激・前半>5金スペシャル・政治権力による放送の私物化を許してはならない/永田浩三氏(武蔵大学社会学部教授・ 元NHKプロデューサー)
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。今回はNHK新会長の発言問題を取り上げる。2001年の「ETV番組改編問題」の渦中にいた元NHKプロデューサーの永田浩三氏(現在は武蔵大学社会学部教授)をゲストに迎えて、なぜ時の政権による放送局への介入がそれほど重大な問題なのかを議論した。
安倍政権が送り込んできた新しい経営委員らの後押しを受けてNHKの新会長に就任した籾井勝人氏は、その就任記者会見の場で従軍慰安婦や靖国、秘密保護法などに対する持論を披歴した。確かに、籾井氏の歴史認識については初歩的な誤解や誤認も多く、NHKの会長としての資質に疑問が呈されるのは避けられないかもしれない。…
日本が公共放送のお手本とするイギリスのBBCでは、政治介入を防ぐための手立てが多重的に講じられている。フォークランド紛争の際に、サッチャー政権からイギリス軍を「我が軍」と呼ぶように求められてもそれをはねつけ、あくまで「イギリス軍」と呼び続けたBBCは、NHKと同様にBBCトラストと呼ばれる経営委員会によって運営されている。このBBCトラストの委員は大臣の助言のもと女王が任命するが、その過程では公募制を取り、委員になる人物の能力や資格の明確化や選任プロセスの文書化と透明化、選任プロセスへの外部監査など厳しい外部チェックを受けることで、党派性や偏りを排除し、適性に疑問のある委員の選出を防ぐような手立てがとられている。同じ経営委員会でも、時の政権の意向に沿う形で密室の中で意味不明の基準に基づいて委員が選ばれている日本との違いはあまりに顕著だ。
実はイギリスでBBCトラストの委員の公共性、中立性、そして適性を外部的に審査する公職任命コミッショナーはBBCトラストの委員のみならず、政府のあらゆる審議会や委員会の委員の人選も監査の対象としている。日本ではほとんどすべての政府系の委員会や審議会が、時の政権や官僚の御用委員会と化していることは今更指摘するまでもないが、この問題もまた、NHKの経営委員会問題とも根っこは同じなのだ。
2001年のETV番組改編事件を見るまでもなく、これまで放送局はことごとく権力の介入に甘んじてきた。権力にとっては世論を左右する放送に対する影響力はあまりに美味しい権限だ。制度がそれを可能にする以上、そうならない方が不思議と言っていいだろう。しかし、ここにきて安倍政権がこれまで以上に露骨な形で放送への介入を行ってくれたおかげで、国民の公共的な利益を守る立場にあるはずの放送が、実は時の権力に完全に隷属してしまっている実態が、期せずして明らかになった。この際、イギリスの公職任命コミッショナー制度などを参考に、放送行政のあり方、引いては委員会、審議会のあり方を抜本的に見直すべき時がきているのではないだろうか。
NHKに代表される時の政治権力とわれわれが守るべき公共性との関係などについて、ゲストの永田浩三氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so22792981
<マル激・後半>5金スペシャル・政治権力による放送の私物化を許してはならない/永田浩三氏(武蔵大学社会学部教授・ 元NHKプロデューサー)
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。今回はNHK新会長の発言問題を取り上げる。2001年の「ETV番組改編問題」の渦中にいた元NHKプロデューサーの永田浩三氏(現在は武蔵大学社会学部教授)をゲストに迎えて、なぜ時の政権による放送局への介入がそれほど重大な問題なのかを議論した。
安倍政権が送り込んできた新しい経営委員らの後押しを受けてNHKの新会長に就任した籾井勝人氏は、その就任記者会見の場で従軍慰安婦や靖国、秘密保護法などに対する持論を披歴した。確かに、籾井氏の歴史認識については初歩的な誤解や誤認も多く、NHKの会長としての資質に疑問が呈されるのは避けられないかもしれない。…
日本が公共放送のお手本とするイギリスのBBCでは、政治介入を防ぐための手立てが多重的に講じられている。フォークランド紛争の際に、サッチャー政権からイギリス軍を「我が軍」と呼ぶように求められてもそれをはねつけ、あくまで「イギリス軍」と呼び続けたBBCは、NHKと同様にBBCトラストと呼ばれる経営委員会によって運営されている。このBBCトラストの委員は大臣の助言のもと女王が任命するが、その過程では公募制を取り、委員になる人物の能力や資格の明確化や選任プロセスの文書化と透明化、選任プロセスへの外部監査など厳しい外部チェックを受けることで、党派性や偏りを排除し、適性に疑問のある委員の選出を防ぐような手立てがとられている。同じ経営委員会でも、時の政権の意向に沿う形で密室の中で意味不明の基準に基づいて委員が選ばれている日本との違いはあまりに顕著だ。
実はイギリスでBBCトラストの委員の公共性、中立性、そして適性を外部的に審査する公職任命コミッショナーはBBCトラストの委員のみならず、政府のあらゆる審議会や委員会の委員の人選も監査の対象としている。日本ではほとんどすべての政府系の委員会や審議会が、時の政権や官僚の御用委員会と化していることは今更指摘するまでもないが、この問題もまた、NHKの経営委員会問題とも根っこは同じなのだ。
2001年のETV番組改編事件を見るまでもなく、これまで放送局はことごとく権力の介入に甘んじてきた。権力にとっては世論を左右する放送に対する影響力はあまりに美味しい権限だ。制度がそれを可能にする以上、そうならない方が不思議と言っていいだろう。しかし、ここにきて安倍政権がこれまで以上に露骨な形で放送への介入を行ってくれたおかげで、国民の公共的な利益を守る立場にあるはずの放送が、実は時の権力に完全に隷属してしまっている実態が、期せずして明らかになった。この際、イギリスの公職任命コミッショナー制度などを参考に、放送行政のあり方、引いては委員会、審議会のあり方を抜本的に見直すべき時がきているのではないだろうか。
NHKに代表される時の政治権力とわれわれが守るべき公共性との関係などについて、ゲストの永田浩三氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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