この曲は、なんらの標題も用いられていないにもかかわらず、全曲が「別れ」や「死」のテーマによって貫かれていることが印象づけられる。その理由として、終楽章の最後の小節に、マーラー自身がersterbend(死に絶えるように)と書き込んでいることがある。技法的には、これまでの諸作品の集大成であることを超えて、新たな境地を開こうとする意欲が認められる。多くの場合、音楽とテーマの普遍性、独自性、書法の大胆さ、表現の崇高さなどにおいて第9番はマーラーの最高傑作と見なされている。このため、演奏・録音機会が多いだけでなく、指揮者やオーケストラがなんらかの節目や記念的な行事の際の演奏曲目としてしばしば採り上げられる。