ルイ・シュポーア:クラリネット協奏曲第1番ハ短調 作品26

ルイ・シュポーア:クラリネット協奏曲第1番ハ短調 作品26

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=xxAzo2LC1Ck )。1808年、ドイツの初期ロマン派の作曲家・ヴァイオリニストであったルイ・シュポーア(1784 - 1859)は、当時のドイツにおいて最高のクラリネット奏者と高く評価されていたヨハン・ジモン・ヘルムシュテット(1778 - 1846)と共演して(シュポーアはヴァイオリン担当)モーツァルトのクラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581を演奏しました。ヘルムシュテットの卓越した技量で演奏されたモーツァルト晩年の傑作に初めて接し、たちまちクラリネットの響きに魅了されたシュポーアは、演奏会の後ただちにクラリネットのための作品の作曲に取り掛かりました。そして翌1809年1月、クラリネット協奏曲第1番ハ短調 作品26が完成します。ただ、シュポーアはクラリネットの音域は正確に知っていたものの、その演奏法の限界までは認識しないまま作曲しており、出来上がった作品は当時の普通のクラリネット奏者なら演奏不可能に思われるものでした。これは当時のクラリネットが5鍵しかなかったことが主な原因であり、シュポーアは出来上がった作品をヘルムシュテットに確認してもらい、必要とあれば修正するつもりでした。しかし、楽譜を推敲したヘルムシュテットは作品を気に入り、楽譜通りに演奏するためにクラリネットを12鍵に改造するという予想外の方法で対応します(このときのクラリネットの改造が、後のエーラー式クラリネットの源流になったと推測する人もいます)。こうして1809年6月に行われたクラリネット協奏曲の初演は大成功を収め、観衆・評論家の双方からクラリネット協奏曲の新たな傑作と高く評価されました。シュポーアはヴァイオリン協奏曲を15曲作曲するなど、本質的にはヴァイオリンを得意とする作曲家でしたが、本作の成功によってヘルムシュテットとの親交を深めた彼は更に3曲のクラリネット協奏曲を作曲することとなり、後世ではそれらの方がヴァイオリン協奏曲よりも高く評価されています。ポール・メイエ(クラリネット、指揮)ローザンヌ室内管弦楽団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm37277551