エルガー:オルガンソナタ(第1番)ト長調 作品28

エルガー:オルガンソナタ(第1番)ト長調 作品28

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=ojEg2dBm1R8 )。1895年、イギリスのウスター大聖堂にアメリカからオルガン奏者の一団が訪問することとなり、大聖堂のオルガン奏者ヒュー・ブレアは彼らを歓迎するため、新進気鋭の作曲家であったエルガーに新規ののオルガン作品作曲を依頼します。エルガーの父は約40年間にわたってウスターのセントジョージ・カトリック教会でオルガン奏者を務めた人物であり、息子のエルガーもオルガンに慣れ親しんでいて、優れた作品を作曲できると見込まれて依頼されたと思われます。しかし、依頼は5月のことで初演まで約2か月の期間があったにも関わらず、エルガーの作曲は遅々として進まず、締め切り間近になって約1週間でようやく4楽章から成る作品を書き上げて、ブレアに楽譜が渡されたのは7月3日でした。これは初演予定日の5日前であり、ブレアが楽曲の充分な練習・分析を行うには期間が短すぎたため、予定通り7月8日に行われた初演は批評家から「彼が曲を勉強していないか、もしくは浅はかな気持ちで行事に臨んでいたかのどちらかであることがわかる」と書かれる有様で、大失敗に終わりました。実際、本作の第1楽章主題は直前に作曲されたカンタータ「黒騎士」の冒頭に似ているという指摘があることや、エルガーは本作以外にオルガンのための作品をほとんど作曲していないことから「エルガーはオルガン作品の作曲が不得手で、旧作の旋律までも参考にしてどうにか作品を完成させた」という見方もあるようです。それでも、作品そのものはイギリスのロマン派作曲家が手掛けた独自のオルガン作品として高く評価され、イギリス国内では演奏機会の多い作品となっています。なお、エルガーが手掛けたオリジナルのオルガンソナタはこの1曲のみですが、彼がブラスバンド大会の課題曲として作曲した「セヴァーン組曲」を、アイヴァー・アトキンスが1930年に編曲して「オルガンソナタ第2番」と名付けたため、両者を区別するために本作を「オルガンソナタ第1番」と呼ぶ場合もあります。ジョン・スコット(オルガン)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm41152570