ラフマニノフ:交響曲第1番 ニ短調 作品13

ラフマニノフ:交響曲第1番 ニ短調 作品13

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=ffTel_kRaSI )。ラフマニノフが1895年に作曲した交響曲第1番 ニ短調 作品13は、2年後の1897年にペテルブルクでグラズノフの指揮により初演され、大失敗に終わったことが知られています。この結果については、ペテルブルクの保守的な聴衆が作品の斬新さを受けいれなかったこと、しかも指揮したグラズノフもそういった聴衆と同様に作品の本質を理解していなかったことが指摘されています。現在の視点から見ると、この作品はムソルグスキーに近い不気味な音響で満ちており、第4楽章で金管楽器や打楽器が大音量で鳴り響く曲想は、後年のラフマニノフの作品よりむしろストラヴィンスキーの初期作品に近い印象があります。当時の作曲家にとって「交響曲」の成功は作曲家としての成功と同義であり、そんなジャンルにおける最初の作品として20代のラフマニノフが作曲したのは、自らの才能を信じて、粗削りながらも個性を全開させた意欲作であったことがわかります。そして、そんな意欲作であった交響曲第1番が大失敗した結果、ラフマニノフはピアノ協奏曲第2番や交響曲第2番等のように、甘美でロマンティックな叙情にあふれる曲想を使うことに転換することとなります。とはいえ、その後もときおり、例えば交響詩「死の島」のように不気味で重苦しい曲も彼は作曲しており、交響曲第1番を作曲したラフマニノフの個性は消えていなかったことがうかがえます。ウラディミール・アシュケナージ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42573396