Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=za3behE_Wpc )。ラヴェルの「ツィガーヌ」は現在ではヴァイオリンとピアノ伴奏、またはヴァイオリンと管弦楽伴奏により演奏されていますが、もともとラヴェルが設定していた伴奏用楽器は「ピアノ・リュテアル」でした。「ピアノ・リュテアル」とはフランス語で「リュート風のピアノ」という意味で、これは通常のグランド・ピアノにベルギーのオルガン技師が開発した「リュテアル」という追加パーツを設置したものです。これにより、鍵盤の上にあるツマミ(ストップ)を操作することでチェンバロやハープ、ツィンバロムのような音を出すことができました。ラヴェルは「ツィガーヌ」をハンガリー出身の女性ヴァイオリニスト、イェリー・ダラーニに献呈するつもりで作曲しており、彼女にちなんで作品をリストのハンガリー狂詩曲に近い構成にしていますが、伴奏する楽器もハンガリーの民族楽器ツィンバロムに近い音が出せるピアノ・リュテアルを採用しました。しかしリュテアルは構造が繊細で複雑すぎ、ひんぱんに技師の調整を必要としたため、ほどなくして廃れてしまい、長らく実音を聞く機会は失われていました。その後、21世紀になってブリュッセル音楽院に壊れた状態で1台だけ保管されていることが判明し、復元して実音を聞くことが可能になりました。これにより、リュテアルの実際の構造が判明したことで新たに製造・復元する試みが始まり、現在ではピアノ・リュテアルの伴奏による「ツィガーヌ」の演奏録音が少数ながら登場しています。シャンタル・ジュイエ(ヴァイオリン)パスカル・ロジェ(ピアノ・リュテアル)