☆曲紹介1837年に作曲された、彼のノクターンの中でも非常に個性的で謎めいた作品です。 穏やかに始まる一方で、絶えず揺れ動く転調と、衝撃的なラストシーンを持つています。1. 楽曲の構成と特徴:静寂と衝撃この曲は、単なる美しい小品にとどまらない「劇的な物語」を秘めています。 主調(ロ長調)に留まることが少なく、次々に調性が変化します。これにより、夜の夢の中を彷徨うような浮遊感や、不安定な心理描写が生まれています。また曲の途中で何度も現れる「休符上のフェルマータ」が印象的です。音楽が途切れるこの一瞬に、何を思い、どう「音のない時間」を響かせるかがピアニストの腕の見せ所です。最大の特徴は、穏やかなロ長調で進んできた曲が、最後に突然、激しいフレーズに変わり、ロ短調(悲劇的な短調)で突き放すように終わる点です。まるで「幸せな夢から残酷な現実へ引き戻される」ような劇的な効果を生んでいます。2. 演奏のポイント繊細な歌い回しと、ラストに向けた感情のコントロールが重要です。常に「はっきりとした良い声」で歌うようなイメージが求められます。指一本ずつを丁寧に使い、伴奏の左手よりも浮き立たせるバランスを意識しました。最後のドラマチックな部分は、リズム通りに弾くのではなく、言葉を話すような自由なテンポ感で、重厚な和音を響かせるよう努力しました。☆録音までの道のり私は、1月初旬から2月まで入院をしておりました。CIDP(進行性慢性炎症性脱髄性多発神経炎)という病名です。発症率は、10万人あたり約0.36人という難病です。これまでも数回入退院を繰り返してきました。今回は、ピアノのペダルを踏む足に違和感を感じ、入院を決意しました。当時、主に弾いていたのは同じくショパンの「マズルカ」です。「あかね企画」さんの支援もあり、動画化したかったのですが、未完のまま家を離れることになりました。退院後、心機一転、今回の曲の練習に励むことにしたのです。☆選曲の理由これまで弾いた曲と、その音源は数多くあります。今回も以前の音源の使用も選択肢でした。しかし、心身ともにリハビリを進めるためには、現況からどれだけ回復したか確認しながら進んでいかなければなりません。私は、以前から「ピアノの演奏とは、暗譜でミスなく、演奏者の情感を表現して初めて成立するもの」という信条を持っています。情感の表現の重要性は、難易度とは無関係です。字数が尽きました・・