人の心のうつろい 『徒然草 気まま読み』#91

人の心のうつろい 『徒然草 気まま読み』#91

今回扱うのは、第二十六段。全文を紹介すると…風も吹きあへず移ろふ人の心の花に、馴れにし年月をおもへば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になり行くならひこそ、亡き人の別れよりも勝りて悲しきものなれ。されば白き絲の染まむ事を悲しび、道の衢(ちまた)のわかれむ事を歎く人もありけんかし。堀河院(ほりかはのいん)の百首の歌の中に、むかし見し妹が垣根は荒れにけり 茅花(つばな)まじりの菫のみして(=藤原公實の歌)さびしきけしき、さること侍りけむ。詩のように美しく、緊張感も漂っている一段。人の心が変わって離れていくことは、死別するより悲しいものだ。決して悟りすましていない兼好法師の傷つきやすい繊細な感覚と、ロマンチシズムにあふれた名文をじっくり味わってみよう。

http://www.nicovideo.jp/watch/so37232800