地方自治体の契約は競争入札が原則だが、一定金額以下の小規模な案件については、特定の業者と直接契約できる「少額随意契約」制度が認められている。令和7年3月25日の閣議決定により、近年の物価上昇を背景として、この基準額が半世紀ぶりに約1.6倍引き上げられた。この規則改正は議会の議決を要さず、区長の判断で決定できるため、運用の透明性が問われる。 少額随意契約には「事務手続きの迅速化や作業の軽減」という大きなメリットがある一方、以下の四つのデメリットが存在する。 一つ目は、競争機会の減少と地元企業との契約が少なくなることである。基準額の引き上げにより、本来なら競争入札されるべき案件が直接指定に切り替わる。発注の利便性のみを優先し、大手ネット通販等に過度に依存すれば、地域経済を支える地元事業者への発注機会が失われる。 二つ目は、価格の適正性確保が困難になる。競争原理が働かないため、市場価格よりも割高な条件で契約が結ばれるリスクがある。 三つ目は、新規参入の障壁と癒着の懸念である。 特定の業者への発注が慣習化(固定化)することで、意欲ある新規事業者の参入が阻害される。こうした馴れ合いが続けば、行政と特定の業者との間に癒着を生む温床となる。 四つ目は、一般競争入札を回避する目的で、一つの業務を意図的に小分けにして契約する「分割発注」の懸念だ。東京都荒川区の学校施設工事で、1642件の契約について一般競争入札を避けるために分割発注していたと報道があった。「意図的な分割発注の禁止」を明文化することが必要である。 これらのデメリットの対策として、下記の二点に取り組みたい。 一つ目は、原則オープンカウンター方式での対応をする。 広く見積もりを募る「オープンカウンター方式」を導入し、随意契約の迅速さを保ちつつ、事実上の競争環境を構築すべきだ。不特定多数の事業者が参加できる仕組みを作ることで、適正価格の維持が可能となり、新規事業者の参入も容易になる。 二つ目は、情報の公表である。ある一定の額(例:30万円)を超える物品購入などの場合、区のホームページ等で公表する。