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ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(弦楽四重奏版)作品51 Hob.III 50~56
Youtubeからの転載です(https://www.youtube.com/watch?v=Jq5k3-J-sGY)。
1786年、54歳のハイドンがスペインのカディス大聖堂からの依頼によって作曲した「十字架上のキリスト
の最後の7つの言葉」は元々は管弦楽のための作品ですが、1787年にアルタリア出版社は本作を出版するに
あたって、ハイドンに演奏編成を小規模化した弦楽四重奏のための編曲を依頼します。アルタリアとしては
「楽譜の売上を増やすためには少人数で演奏可能な楽譜が必要」という純粋な商売上の意図があったと推測
されていますが、この作品が会心の出来であると確信していたハイドンは「作品普及のために必要なこと」
と了承して弦楽四重奏版を作成しました。この編曲版には作品番号「51」が付けられ、管弦楽版と同時に楽
譜は出版されました。
楽譜出版後はアルタリアとハイドンの意図は見事に的中し、本作は現代にいたるまで弦楽四重奏版での演奏
が数多く行われました。ただし、この編曲版は基本的にオリジナルの管弦楽版から管楽器のパートを省いて
弦楽器のパートのみを残した形になっており、後に「管弦楽版と比較して不充分な編曲である」として独自
の編曲版を作る演奏家もいます。
ギドン・クレーメル、トマス・ツェートマイアー(ヴァイオリン)
キム・カシュカシャン(ヴィオラ)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(管弦楽版 Hob.XX/1:A)
Youtubeからの転載です(https://www.youtube.com/watch?v=9EJLe94W1TM)。
1786年、54歳のハイドンはスペインのカディス大聖堂から、教会で演奏するための音楽の作曲依頼を受け
ました。カディス大聖堂では聖金曜日(復活祭の前の金曜日で、イエス・キリストの受難と死を記念する
日)において、十字架に架けられたイエスが最後に発した7つの言葉に基づく講話を行っており、1つの言葉
と講話が終わってから観衆が瞑想する時間に音楽を演奏し、それを7つの言葉ごとに行うという条件が付け
られていました。
教会での瞑想の時間に演奏することから、7つの言葉に対応する音楽は全てアダージョで作曲されました
が、この作品の作曲について、後にハイドンは「7つのアダージョを、下敷きとなるテキストなしに、自由
な想像力で、聴き手を疲れさせず、瀕死の救い主が語ったそれぞれの言葉の意味に潜むあらゆる感情を呼び
覚ますように、互いに続かせることは、確かに最も困難な仕事のひとつだった」と回想しています。作品は
上記の7つのアダージョ(全て「ソナタ」と命名されている)に、序章と終曲「地震」(イエスが息を引き
取った直後に地震が発生したと「マタイによる福音書」に記されている)を加えた全9曲の構成となりまし
た。
こうして苦労の末に完成した「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」Hob. XX/1:Aは、おそらく1786年
の聖金曜日にカディス大聖堂で初演され、たちまち評判となりました。作品はハイドンにとっても会心の出
来であり、彼は後に「最も成功した作品のひとつ」と公言したと伝えられています。本作は管弦楽曲として
作曲されましたが、翌1787年に楽譜が出版されたときにはハイドン自身の編曲による弦楽四重奏版が同時
に出版され、同年のうちにハイドンの監修によるクラヴィーア版も出版されました。また、1796年には規
模を拡大したオラトリオ版への編曲も行われています。
「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」に基づく音楽作品は、ハイドン以前にはハインリヒ・シュッツ
やペルゴレージが、ハイドン以降ではグノーやフランク、ソフィア・グバイドゥーリナなどが手掛けていま
すが、その中でもハイドンの作品は最も頻繁に演奏される名作として高く評価されています。
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ベルリン放送交響楽団