ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(管弦楽版 Hob.XX/1:A)

ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(管弦楽版 Hob.XX/1:A)

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=9EJLe94W1TM )。1786年、54歳のハイドンはスペインのカディス大聖堂から、教会で演奏するための音楽の作曲依頼を受けました。カディス大聖堂では聖金曜日(復活祭の前の金曜日で、イエス・キリストの受難と死を記念する日)において、十字架に架けられたイエスが最後に発した7つの言葉に基づく講話を行っており、1つの言葉と講話が終わってから観衆が瞑想する時間に音楽を演奏し、それを7つの言葉ごとに行うという条件が付けられていました。教会での瞑想の時間に演奏することから、7つの言葉に対応する音楽は全てアダージョで作曲されましたが、この作品の作曲について、後にハイドンは「7つのアダージョを、下敷きとなるテキストなしに、自由な想像力で、聴き手を疲れさせず、瀕死の救い主が語ったそれぞれの言葉の意味に潜むあらゆる感情を呼び覚ますように、互いに続かせることは、確かに最も困難な仕事のひとつだった」と回想しています。作品は上記の7つのアダージョ(全て「ソナタ」と命名されている)に、序章と終曲「地震」(イエスが息を引き取った直後に地震が発生したと「マタイによる福音書」に記されている)を加えた全9曲の構成となりました。こうして苦労の末に完成した「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」Hob. XX/1:Aは、おそらく1786年の聖金曜日にカディス大聖堂で初演され、たちまち評判となりました。作品はハイドンにとっても会心の出来であり、彼は後に「最も成功した作品のひとつ」と公言したと伝えられています。本作は管弦楽曲として作曲されましたが、翌1787年に楽譜が出版されたときにはハイドン自身の編曲による弦楽四重奏版が同時に出版され、同年のうちにハイドンの監修によるクラヴィーア版も出版されました。また、1796年には規模を拡大したオラトリオ版への編曲も行われています。「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」に基づく音楽作品は、ハイドン以前にはハインリヒ・シュッツやペルゴレージが、ハイドン以降ではグノーやフランク、ソフィア・グバイドゥーリナなどが手掛けていますが、その中でもハイドンの作品は最も頻繁に演奏される名作として高く評価されています。ウラディーミル・ユロフスキ指揮ベルリン放送交響楽団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm43224509