ドビュッシー:燃える炭火に照らされた夕べ

ドビュッシー:燃える炭火に照らされた夕べ

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=XnnEiBb7Dyg )。1917年の冬、ドビュッシーは末期の直腸がんに苦しむ闘病生活を送っていました。しかし、当時のフランスは第一次世界大戦による総力戦体制のため多くの物資が欠乏しており、特にこの冬は暖炉にくべるための石炭が不足していました。幸い、ドビュッシーの名声を知る石炭屋が彼の家に便宜を図ったため、冬を越せるだけの石炭を得ることができましたが、その見返りとして石炭屋はドビュッシーに曲を注文しました。それに応じて作曲されたのが「燃える炭火に照らされた夕べ(Les soirs illuminés par l'ardeur du charbon)」です。この長い題名はボードレールの詩集「悪の華」に収められた詩「バルコニー」からの一節によるもので、石炭屋から依頼を受けたため「燃える炭火に(par l'ardeur du charbon)」という箇所を含んだ一節を選んだと考えられています。全体で23小節、約2分30秒の小品で、楽譜に指示された強弱記号もpp, mp, pの弱音のみの静かな雰囲気を漂わせており、晩年のドビュッシーの心境をうかがわせるものとなっています。この曲の存在は長い間知られていませんでしたが、2001年にアメリカで自筆譜が発見されました。そして研究の結果、従来ドビュッシー最後の完成作とされていたヴァイオリンソナタより後に作曲されたことが判明しています。つまり、本作がドビュッシー最後の完成作品となります。ジャン=エフラム・バヴゼ(ピアノ)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm33204912