エルガー:ピアノ五重奏曲 イ短調 作品84

エルガー:ピアノ五重奏曲 イ短調 作品84

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=hOpiAxga3Ts )。1918年、健康状態を損ねたエルガーは、静養のためサセックス州ブリンクウェルズに滞在しました。これが功を奏してエルガーは健康状態を回復させるとともに、室内楽曲を3曲書き上げます。これらはどれもエルガーの代表作になるほどの出来栄えでした(妻のキャロライン・アリスは日記に「素敵な新しい音楽を書いている」と記しています)が、その中で最も大規模な作品がピアノ五重奏曲 イ短調 作品84です。本作はエルガーが健康を完全に回復させた翌1919年に完成し、5月21日に初演されて成功を収めました。マンチェスター・ガーディアン紙はピアノ五重奏曲について「抒情的かつ情熱的で(略)偉大なオラトリオにも引けを取ることのない理想的な室内楽曲の見本である」と激賞しました。作品は3楽章構成ですが、各楽章は10分以上の長大なもので、他の作曲家の4楽章構成によるピアノ五重奏曲と同程度の演奏時間となっています。また、作曲当時は第一次世界大戦が終わろうとする時期であり、更にエルガーだけでなく妻キャロライン・アリスの健康状態も悪化しつつあった(キャロライン・アリスは初演の翌年に病没)こともあって、作品全体に重苦しい要素が随所に聴かれます。しかし、同時に「威風堂々」などで聴かれるイギリス的勇壮さ(第1、第3楽章)やイギリスののどかな田園風景を連想させる緩やかな旋律(第2楽章)も兼ね備えており、エルガーの室内楽曲の代表作としてふさわしい一品です。イアン・ブラウン(ピアノ)ソレル弦楽四重奏団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm38769458