シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調「親愛なる声」作品56

シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調「親愛なる声」作品56

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=J5zlNd-djlw )。シベリウスは弦楽四重奏曲を4つ作曲しましたが、そのうち3つは、初めて作品番号を付けた変ロ長調(作品4)も含めて20代の作品で、それほど評価が高いわけではありません。彼の弦楽四重奏曲で最も評価が高く、現代でもレパートリーとして採り上げられているのは、1908~09年に作曲された弦楽四重奏曲 ニ短調 作品56になります。この頃、シベリウスは暴飲暴食や喫煙により悪化した喉の腫瘍を摘出する手術をたびたび受けており、自らの死を間近に感じる境遇に置かれていました。この体験はシベリウスに大きな影響を及ぼし、極めて内省的な響きを追求した作品が立て続けに作曲されることとなりました。その先頭を切ったのがこの弦楽四重奏曲で、シベリウス自身によりラテン語で「親愛なる声」「内なる声」を意味する「Voces Intimae」という題名が付けられました。そして初演は1910年1月6日にベルリンで行われ、たちまち大きな注目を集めることとなります。作品は5つの楽章が切れ目なく流れるように演奏され、死の予感に彩られた静謐な、しかし彼の交響曲に近い重厚な響きを聴くことができます。シベリウスの交響曲(本作の2年後に交響曲第4番が作曲されています)に比べると知名度は落ちますが、後期ロマン派とフィンランド国民楽派の音楽様式が高い次元で融合した、まぎれもない近代の弦楽四重奏曲の傑作といえます。ノルディック弦楽四重奏団

http://www.nicovideo.jp/watch/sm41615036