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te' - 言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ
te' 2nd SINGLE "言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ。" 収録。
優しくしないで を弾いてみた。【cinema staff】
cinema staffの優しくしないで をギターで弾きました。
辻さんパートのはずです。
再録演奏 sm24219738
マイリスト mylist/19366347
「桜雨」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「桜雨」
終わりが、始まった。
時計の針が12時を回って、少し。
「起きてる?」
そう、問いかけられた。
「起きてるよ」
答えたのは、私だ。この部屋には、二人しかない。二人だけで暮らしてきた、二人だけの静かなお城だ。
「ごめんね」
「なんで謝るの、ヤコ」
「マコのこと、追いてっちゃうから」
「そんなのどうってことないよ」
「だけど」
「大丈夫」
私は、精一杯強がって言う。
「ヤコのこと、信じているから。たくさん、綺麗な写真を撮るんでしょ。必ず、帰ってくるんでしょ。それまで、私、ここを守るから」
「……ありがと」
もうすぐ、朝が来てしまう。まだ真夜中だ、と思っていても、ちくたくと針は進んでいく。
しっとりとした春独特の夜は、なんだか物悲しい。
新しい芽吹きの香りを連れてくる夜を深く吸い込むと、その冷たさが凛と肺に染みた。
「もう起きたの、マコ」
「ヤコこそ、まだ4時半だよ」
「ふふ、なんだかそわそわしちゃって」
「どうせ楽しみなんでしょ、今日からだもんね」
「うん。女優さんは先に入っているから」
「ヤコたちが行けば撮影始まるんだよね」
「そう。マコってば、あたしよりもあたしのこと把握してない」
「そんなことないよ」
そう言って、私は目をそらした。
ヤコのことを、ヤコ以上に知っているのは、当然だとも言えた。ヤコのことを、私はずっと想ってきたのだから。
ずっと、ずっと。でも、それが恋とか愛とか、そういう感情ではないような気がして。ううん、そういう感情『ではない』とはっきりわかっていて。つまりは、ヤコと私は幼馴染で同居人である以上でも以下でもないのだ。
桜の花が、はらりとベランダに舞った。
私が一番に好きな花。でも、今はなんだか憎たらしかった。
新しい春は、終わりで、始まりだ。
私たちは同じ小学校、中学校で育ち、同じ高校に通って、同じ大学を受験し、違う学部で学んで、今の道に進んだ。
だから、ヤコは写真家として。私は画家として。今から新しいスタートを切るのだ。
この部屋に住み続けるには思い出が多すぎる。最初、引き払おうとヤコに相談したのだが、ヤコは「戻ってくる家と、マコのアトリエが欲しいから」と却下した。
「はい」
差し出されたのは、湯気の立つコーヒーだ。私たちが気に入るたびにおそろいで買ったマグカップ――その中でも、一番のお気に入りのもの――に、注がれている。
「ありがとう、ヤコ」
「あたし、絶対に有名になるからね」
「……私だって」
「あーあ。こんな春なんて、来なきゃよかったなぁ」
「どうして?」
「だって。マコと――」
そこまで言って、ヤコは口をつぐんだ。マグカップを包む手に、やりきれない気持ちが一緒に包まれていた。
「ヤコと、ずっと一緒がよかった」
「マコ」
「私。ここで待ってるから。ヤコが帰ってくる家にするから。だから、安心して」
私はそう言って、精一杯、笑って見せた。
頬を伝った雫を、二人とも見なかったふりをした。
結局、6時の新幹線に乗っていくヤコを見送るために、私もそのまま起きていた。
「忘れ物ない?」
「うん、大丈夫」
ヤコはきちんとした襟のシャツと、カジュアルすぎない、けれど綺麗なシルエットの上着を着ていた。
特別なおめかしというわけではないけれど、門出に相応しい格好だと言えた。
「ヤコ」
「なぁに」
「……ばいばい」
「ふふ、違うでしょ」
そして、ヤコは笑った。
「またね、だよ」
私は何も言えなくなって、ヤコのことをぎゅっと抱きしめた。最後にヤコは、また何かを言おうとして言わずに、私たちの終わりへ向かって走り出した。
桜の雨が、ヤコの姿をかき消す。私はそれを見送って、初めて気が付いた。
「……喉、渇いたなぁ」
私は呟いた。応えるものはなかった。
ケトルでお湯を沸かしながら、マグカップがたくさん並ぶ棚を目指して歩く。
ずらりと並んだマグカップには、全部、ぬぐい切れない思い出がある。私は、これらを抱えてヤコを待つ。そう決めたのだ。
それなのに、涙が出る。
いつも通りのブレンドコーヒーが、今日はやけに、苦かった。
原作 金森璋「桜雨」
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration & Movie 小猫まり https://twitter.com/mari_kosaji
「ひらひら」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
あなたはいつも まっすぐな
瞳で全てを 見ていた
怖くなるほどに純粋な
黒さを知った
何を抱えているの?僕に教えて
ダメならそんな顔見せるのはやめて
黙ったままじゃわからないよ
それはどっちなの?
答えはひらひら遠く消えて
胸の高鳴り 響くほどに
静かな夜が僕らを
包み込んでいく
下手くそな嘘にホッとする
裏返した気持ち感じて
何かを求めるその姿
ずっと見ていたい
最初はどうでもいいような気がしてた
今では何も削れなくなっていた
困ったよこんな気持ち
必要無かったのに
さらけ出した今
見えたんだ
今までと違う世界の色に
きらきら眩しすぎるよ
消えてしまいそうだ
僕から手を振る
そんなこと考えた
弱さが棘になってしまう前に
ひらひら舞い落ちる
雫の理由はわかんないけど
あなたに見せはしないよ
かっこ悪いから
ひらひら遠く消える
花びらに背を向け歩き出す
静かな夜が僕らを
包み込んでいく
Produce 残響レコードボカロ制作部
https://twitter.com/zankyovocalo
Direction ピーナツバター校長
https://twitter.com/peanutsbtter
Music ドロップ
https://twitter.com/dropp_33
Illustration ハルイチ
https://twitter.com/srimerimer718
Movie 山田ななし
https://twitter.com/774VT
【the cabs】回帰する呼吸【クロスフェード】
2nd ミニアルバム「回帰する呼吸」
1.キェルツェの螺旋
2.camn aven
3.解毒される樹海
4.カッコーの巣の上で
5.skór
6.第八病棟
二月の兵隊PV→sm24782409
キェルツェの螺旋PV→sm24782555
1st ミニアルバム→sm24558015
1st フルアルバム→sm24552512
【たすくこま】Line of sight - 残響レコード【歌ってみた】
「しらスタレッスン ボカコレ出張版」にて課題曲として
おしらさんにレッスンしていただいた曲を歌ってみました!
● original:Line of sight / 残響レコード(so38587821)
● mix:イエティ吉澤 https://twitter.com/Yeti_Yoshizawa
● vocal:たすくこま https://twitter.com/kppkpp1
◾️『たすくこまCD・グッズ』ネット販売はこちらから!
https://tasukukoma.theshop.jp
◾️オリジナル楽曲配信中!!
・1st Album 『デブでもいいさ』
https://linkco.re/bzgqUT34
「キャンディー」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
何度も繰り返す
終わりのない罪と罰
両の手に残ったもの
冷え切った温もり
ゆらめく灯(ともしび)に
誘われ飛ぶのは
甘い蜜だけを求める
片翼の蝶
鬼さんこちらのその手拍子に
釣られたのは私
愛してしまったが故の切なさに
心まで溺れる前に
「もう一度だけ」と手を伸ばしてみる
後味の悪いキャンディーに
孤独を紛らわすように揺れるは心と影
艶(なまめ)かしい愛の熱が身体を満たすのさ
求めてない愛の形ばかりが
心を埋め尽くすから
乾ききったその舌に一粒の
病みつきになるキャンディーを
愛されてしまったが故の愉悦感を
身体が忘れる前に
もう一粒だけ貴方にあげるのさ
後味の悪いキャンディーを
Produce 残響レコードボカロ制作部
https://twitter.com/zankyovocalo
Direction ピーナツバター校長
https://twitter.com/peanutsbtter
Music SHAKE
https://twitter.com/takekou1010
Illustration ぐんじょう
https://twitter.com/nanashnojo
Movie First To Fight
https://twitter.com/FTF_CLOTHING
【弾いてみた】 österreich- 穏やかな地獄【ギター】
ギターを弾いてみました。東京喰種:reのOPまたはEDもösterreich希望です。
Summer of New York(200805@ShibuyaLUSH)
AFRICAEMO PROFILE2007年結成。6人組。まくしたてるようなRAP調Vo.を軸にpostrock/hiphop/electro/hardcore/discopunk/worldmusic等を融合し、今までにない、全く新しいダンスミュージックを生み出している。今年、初の自主音源"at lunch time”を発表。そしてこの夏、FUJI ROCK ’08 ROOKIE A GOGOに出演決定。http://africaemo.syncl.jp/http://www.myspace.com/africaemo/http://mixi.jp/view_community.pl?id=2790588
te' - 我々は希望に従って約束をし、恐怖にかられて約束を『果』たす。
LIVE(2008.04.25 Shibuya CLUB QUATTRO)
great escape を演奏してみた 【cinema staff】
cinema staffのgreat escape をギターで弾きました。
辻さんパートのはずです。
新しい演奏 sm24219738
マイリスト mylist/19366347
【the cabs】一番はじめの出来事【クロスフェード】
1st ミニアルバム「一番はじめの出来事」
1.チャールズ・ブロンソンのために
2.二月の兵隊
3.僕たちに明日はない
4.haiku about kdyla
5.nicol kills nicolas for nicola
二月の兵隊PV→sm24782409
キェルツェの螺旋PV→sm24782555
2nd ミニアルバム→sm24557917
1st フルアルバム→sm24552512
「白波」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
「白波」
私はある日、青い青い海を見下ろす。その海の底に、誰か優しい人影を見た。
「ああ、素敵な人だなぁ」
そう思った時には、もう遅かった。空の精霊は、紺碧の溟海に堕ちてしまったのだった。
海に沈んでいく身体を、止めることができない。どうしようもなく、堕ちていく。
果ての空、自分が帰るべき場所は遠く、青く、澄んでいる。どこまでも綺麗で、青い。どうして堕ちてしまったのか、何故こんな場所にいるのか。わからない。ひとつわかるのは、私の心の中に、不思議な気持ちがひとつ、産まれてしまったということだけだ。
足元の波。足元の波は、寄せては反し波を折っている。奇麗だけれど、青空と白雲に似ているけれど、どちらとも違う。やはり、海原と白波なのだ。
海月というものには骨がない。もしもあったとしても、こんな風にゆらゆらと気ままに水の流れに浮いている生き物の骨など、在って無いようなものだ。こんな、曖昧なものでさえ確認したくなる。
在っても無くても同じなら、確認なんかしなくてもいいじゃないか。
なのに、れに惹かれてしまう。
そう、私の気持ちにも。
ああ、疾れ! その人と相見えるその場所まで。あの人の心など、知ったことではない。私の、この気持ちが何なのか知りたいのだ。
あの人がどんな顔をしていようとも、私の気持ちを知っているはずに違いない。
だが……私の心を、代弁してはくれなかった。
ありとあらゆる言葉が頭の中で、まるで足元に拡がる海のように広がっている。この言葉の海の中から、私の心を、探す。
海の上でも、青嵐は立つ。懐かしい心地に、少し考え事をしてしまう。あの空の向こうには、私が望んだ暮らしがあったのだろうか。本当に、空の上にいることだけが幸せだったのだろうか。
もしも、あの人と永遠を暮らせるのであれば?
それはきっと、幸せなことなのではないだろうか。
わからない。わからない。わからない。
海の底には、鳥なんていない。当然だ。私がこんな気持ちを持つことさえも、それくらいにありえないことだ。私は、乙女でなければならない。身も、心も
空に捧げなくてはならないのだから。
それなのに、そんな「ありえない」感情に、惹かれ合っていく。
いや――疾れ! あの人に巡り合ってしまった運命に、意味なんて要らない。必要ない。何故なら、私のこの気持ちにも意味なんてないからだ。
意味がないものに、振り回されてたまるものか。だから、あの人を追い立てて名前を教えてもらおうじゃないか。
雷の落ちるようなこの気持ちには、まだ、名前などない。
その日、あの人に会うことはできなかった。
それだけですごく、すごく苦しい。息ができない。空の上のような、軽やかな呼吸ができない。海の中だということを差し引いても、ひどく胸が痛い。
生と死の狭間の海を漂えば、泡沫のように消えてしまえるだろうか。どうせなら、消えてしまいたい。だって、この気持ちはとても苦しい。こんな気持ちなど、どこかへやってしまえばいい。そうだ。どこか、知らない場所へ、仕舞ってしまえ。
滄海の、遺珠になってしまえ――
――いいや、そんなのは嫌だ、疾れ!
巡り合ったんだ、こんな運命に意味など要らない、ならば、意味があっても良いじゃないか。
この、雷のように降ってきた気持ちに名前を付けよう。この人ならば、名付けてくれるに違いない。
――疾れ! あの人のもとまで。再び相見えれば、あの人の顔はすっかり笑顔になっていた。私も、つられて笑う。
この人の心の中なんて、知らなくてもいい。きっと同じ感情を持っているはずだから。
「この気持ちは何ていうの」
「それはね、〈あい〉という気持ちだよ」
ああ、そうか。私はそんなの、とっくに知っていた。
この不思議な心の色は――藍の色、だ。
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration & Movie ササオカ https://www.instagram.com/kakiko_kakikakiko/
「灰になる」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
「小林優奈」さん歌唱版
→https://nico.ms/so38609246
「灰になる」
君の欠けらはちっぽけだ。
僕は納棺された彼を見送った。
納骨は家族だけで、と言われてしまい、僕は締め出されて葬儀場の外にいる。
あとほんの少しだけ早く見つかっていたら、助かっていたかもしれないと。そう聞いた。それほどに病気の進行状態は微妙で、手術も難しいものだと聞いた。
結果、開けてみたら中は大惨事。無事なものを見つけるほうが難しいくらいだったらしい。
彼は、僕の大好きな友人であり戦友であり好敵手であり――恋人だ。
結婚ができない二人を果たして恋人というくくりで結んでいいのかという問いかけは今でも老人たちの害ある論争としてあるけれど、僕と彼は、いつでも手をつないで笑い合う仲だった。
僕たちの結びつきを切り離したのは論争でも思想でもない。病魔だった。
家族だけで、と言われたとき、僕はあまりの悲しさに自分が崩れ落ちてしまうかと思った。
いつもそうだ。
入院の時も。
絶命の時も。
退院の時も。
納骨の時も。
僕はいつだって彼から引きはがされる。
絶命の瞬間に、立ち会えないことが一番、辛かった。彼の中の21gのことを、見送ることすらできないのだ。
雲ひとつない、五月晴れの空に煙が昇っていく。見上げると、陽光が僕の視界を遮った。
太陽でさえも僕のことを嘲笑い、彼との思い出を奪っていく。
桜を見れたら素敵なことだね、と話したのはもう一か月以上前のことなのか、と。絶望に似た感情を抱く。
最後に意識を持って話したのは、そのときじゃないだろうか。
彼は、言った。
「俺を、海に還してほしい」
そう、言った。
この街は海が近い。切り立った山に囲まれ、少ない平地に人々が暮らし、そのすぐ東側は海の岸壁や砂浜が広がっている。そんな街だ。
海に辿り着くことに不自由はしない。
どうして、と問いかけた。僕は、ずっと彼を手元に置いておきたい。可能ならば、彼の遺骨を僕の棺に入れてほしいくらいだ、と考えていた。
けれど、彼は。
「俺はもっと、いろんな場所を見たかったから。お前と、一緒に見たかったから。海や風になったら、叶うかもしれないだろ。だから」
にこりと笑った顔は細くやつれていたが、確かに彼のものだった。
だから、僕は決意した。
手に渡されたのは、小さなカプセル状の遺骨入れだ。本来であれば身に着けておくのを前提として作られているのか、酷く小さい。
ありがとうございます、と伝えたが、彼の親類である老婆は気味悪そうな顔をして去っていった。
僕にとっては、それくらいが好都合だ。
暑苦しいスーツを脱いで右肩にひっかけ、黒いネクタイをゆるめる。
このまま東にぶらりと歩けば、彼の望んだ海に着く。
嫌だな、と。素直に思った。なるだけゆっくり歩いた。
死人に口なし、と言うくらいなのだから、彼の言うことなど聞かずこのままこの遺骨入れを、肌身離さず持っていようかとも考えた。
でも、そんなことを、彼は望まないから。
よく、ここに釣りに来ていた。革靴と靴下を脱いで、スーツとともに置き去りにする。スラックスの裾を無理やりまくって、岸壁を降りる。テトラポッドをいくつか渡れば、海面にごくごく近い場所までたどり着ける。
僕は、そっと遺骨入れから『彼』を取り出した。
手に乗せて、香りを嗅ぐ。
君がよく着けていた香水の香りが、したような気がした。きっとそれは幻覚だろう。
ちょっと焦げた香りが、風に溶けていく。
手に乗せていた『彼』を、風と、波の間にさらりと落とした。
ああ、言わなくちゃならないな。
君に会いに行くのは、まだもう少し先だから。
だから、今は――
――さよなら。
原作 金森璋「灰になる」
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration 前バ! https://twitter.com/maeba865
Movie ササオカ https://www.instagram.com/kakiko_kakikakiko/
「ハートディストーション」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】
自分守るため 得意の愛想笑い
沈黙貫いて「人見知り」それでいいの?
たったワンステージ それだけで何が分かる?
一人の人生だ 一瞬で語れるの?
ほら まだ まだ まだ 死んでやしないだろ?
その弦が錆びる前に 鳴らせ 君の音
12インチを震わせろ 歪んだその心
君がしたい事って何だ 問えよその心に
見失ったら大混乱 明日はどっちだ
My life is produce by me
脚本なんてない
自分のイメージを 他人に任せるな
正しさなんてもの 誰一人持ってやしない
人にすがるなよ 教科書なんてない
想像する 未来の自分
そこではもう人気者
創造する 明日の自分
取り戻せよ 理想を
その弦が錆びる前に 鳴らせ 君の音
12インチを震わせろ 歪んだその音で
君がしたい事って何だ 問えよその心に
見失ったら大混乱 明日はどっちだ
迷うな永遠に
▼offvocal
https://www.dropbox.com/sh/nyt212h381drq90/AADaf1lSEmB83beIiU9QE8I7a?dl=0
Produce 残響レコードボカロ制作部
https://twitter.com/zankyovocalo
Direction ピーナツバター校長
https://twitter.com/peanutsbtter
Music SHAKE
https://twitter.com/takekou1010
Illustration ぐんじょう
https://twitter.com/nanashnojo
Movie First To Fight
https://twitter.com/FTF_CLOTHING
https://firsttofight.jp/
「痛いんだ。」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
失恋を、した。
あまりにも悲しい恋だった。
もう二度と、こんな思いはしたくないと願うほどに痛い。
胸の痛みは、一生消えないんじゃないかな。
なんとなくだけれど、そう思った。
『見えないもの』とか、『愛』とか、なんとか。
そんなものにすがって生きるのが、馬鹿らしくなった。
私くらいの年頃なら、きっとこの先も恋とか愛とかより取り見取りだろう。
けれど今はそんなものに興味がわかないどころか、ちょっと、嫌気さえもさしてる。
それくらい、好きだった。
あの日、入学式に君と出会ってから、毎日がドキドキして、ふわふわして、ちょっとしたことが幸せだった。
登校するのが楽しみだった。となりの席にならないか、席替えのたびに期待した。学級委員になった君は、とっても魅力的だった。
――卒業式だから。
だから、告白したんだ。
それなのに、な。
ああ、痛い。
「痛いよ……」
ずきずきと心が痛む。
『見えないもの』に価値があるなんて言った人は、何を思ってそんなことを言ったんだろう。
ないものなんて、『ない』って言ってしまった方が楽じゃないか。
恋心なんていう見えない、なんだかよくわからないものだって、『ないもの』にしてしまえばよかったんだ。
だったら、きっと。
こんな思いをしなくてすんだ。
もうそんなものに価値なんてつけたくない。
胸が痛む、だけ、だから。
~♪
携帯電話が震えて、着信音が鳴る。
メッセージアプリを開いてみると、それは私の失恋相手からだった。
「今、ちょっとだけ時間いい?」
私は返信に困った。
既読をつけてしまった以上、無視することはできない。少なくとも、したくない。
なんとなくでいいんだ。
私が思うだけの言葉を、書き込めばいい。
「大丈夫。どうしたの?」
「いや、酷いことしちゃったな、って思って」
「やだ、そんなこと思ってたの?」
「だって、俺、女の子フッちゃうとか初めてだったし」
「そう、だったんだ」
「そうだよ。そんな酷いこと、したくないもん。だから、謝りたいって思って」
「なんで? 何も悪いことしていないよ」
「嫌だ。謝らせて」
「ダメ!」
そこまで打って、私は携帯を放り投げた。
これ以上、傷を広げたくなかったから。
次の日、私は家族の前でにこにこと笑って過ごした。
ちくり、ちくり、と胸は痛むけれど。
君はそんなこと知らないままでいるんだろうな、と思うと、その度に絶望が襲ってきた。
お風呂に入っても、ベッドに入っても、君のことを思う気持ちが消えない。もう、傷つきたくはないのに。
恐る恐る、携帯のメッセージアプリを開く。
どうしても――君を思う気持ちが消えなかったから。
そうしたら、君との部屋に未読の文字がついていて、やっぱり怖くなった。
けれど、『ないもの』にするのが嫌だった。
そっと開いてみる。
「お前のこと、嫌いだなんて嘘なんだ。あのとき……みんな、俺のこと見張っていて。好きだって言ったら馬鹿にされると思って、言えなかった。裏切ったって、思われるのが怖かった。本当にごめん。許して、なんて言えないし、言いたくない。でも、俺も」
そこで、一行区切ってあった。
数分、時間をおいて。
「俺も、好きだよ」
と、書かれていた。
私の瞳から、涙があふれた。どうしてかはわからないけれど、ぼろぼろと、まるで子供のように泣いてしまった。
そうなんだ。私は、ただ、君のとなりにいることだけが望みだったんだ。
傷つきたくはないけれど、それでも、君のとなりにいるのが幸せだったんだ。
それなら、伝えなくちゃ。
「私もね、好きだよ。君のこと」
見えないふりなんて、していちゃいけない。
君のこと、ずっと見ていたから。
それでも見えないものはたくさんあるけれど。
そんなものに価値があるって、どこかのエライ人は言っていたじゃない。
「君が、好きなんだ」
ぼろぼろ、涙が零れる。
あんまりにも涙が零れるから、最後には画面がうまく見えなくなった。
でも、どうしても言いたかったから。
無理やり打った。
――あいしてる。
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction とわいらいと
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration & Movie ひなかわ https://twitter.com/hinakawasann
perfect piano lesson/heart & heart (Bonus Track) feat. texas pandaa
from/Wanderlust いい曲です
chouchou merged syrups. - 白昼夢は色彩の無い
from "clepsydra" (2014)
「砂礫」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「冷えますね、夜は」
その人はいつの間にか、そこにいた。
驚いて声も出せずにいると、その人はにっこりと笑った。
「ああ、いえ、驚かすつもりはありませんでした。本当ですよ、信じてください」
そう言って、その人は僕のことをなだめた。
ハスキーな声は女性のように思えるし、透き通った声は男性のようにも思えた。
顔に時折、刻まれる笑みでできるしわは年齢を感じさせるし、張りのある肌と艶のある髪は若々しさを感じさせた。
しかし、ぼくはそんなところに対して驚いたのではない。
ここは、〈砂漠〉なのだ。
何もかもを飲み込む砂の濁流。それも、夜になれば酷く狂暴な翼竜族や大型歩行獣などが現れるような砂漠だ。
乗り越えることは困難で、ときに咎人がこの砂漠の端に捨てられるようなことさえあるくらいだ。
それなのに、何故?
「ははは、すみません。言えないんですよ。私には〈名前が無い〉ので」
名前がない……。
そんな人物がいるのだろうか。僕はさらに疑わしくなって、いぶかしげな表情でその人のことを見る。
その人は、旅人にしては装飾の多い服を着ているが、それらが薄汚れているのを見るとここまで旅してきたというのも本当なのだろう。
「あなたは、どうしてここに?」
僕は、この場所にとある少女を探しに来たのだと言った。
罪も咎も犯したことのない、無垢な少女――僕の妹。
彼女を探すために、ここまで、幾度となく危険にさらされようとも旅を続けている。
そう説明した。
「それは、文字通り砂漠の中から一本の針を見つけるようなものなのではないでしょうか」
そうかもしれない。けれど探さないという選択はないのだ。
「なるほど。――では、この砂時計はあなたに相応しいものかと」
言って、その人はひとつの砂時計を出してきた。
砂は、紅い。錆のような色。濁った鉄のような色。
綺麗という印象は持たなかった。粒も大きく、さらさらとはしていない。けれど何故か目を離せなくなった。
「素敵でしょう。とある少女のものです」
とある、とは。
「少しお話をしなくてはなりませんかね――
――この場所に、数年前。もっと昔かもしれません。ある少女が贄として捧げられました。
その少女に名前を問うと『そんなものは要らない』とそっけなく言いました。
どうしてそんなことを言うの、と問うと『そんなことは知らない』と突っぱねるように言いました。
少女は私に心を開いてくれなかったのです。どうしてか、心を歪めてしまっていたのです。
どうしてそんなに歪んでいるの、と聞いたらば。
『ヒズンデイルのはアナタのほうでしょ?』
と、異国の訛りが混じった言葉を口にしました。それが最初で最後の〈意思の疎通〉でした。
その日から少女は徐々に壊れていきました。
何もさせないことが苦痛のようでした。
何もされないことが悲劇のようでした。
食べられないことが不思議なようでした。
呑まれないことが不可思議なようでした。
それも、そうでしょうね。何故なら――私が、こんな姿だから」
そこまで言うと、その人は大きく姿を変えた。
とかげのような尻尾が長く伸び、刺々しい四肢が生え、口が狼の口のように割れる。
見る間に、その人はこの砂漠の中で何よりも危険な翼竜に姿を変えた。
「――――――……!」
大きな、咆哮を上げる。
ああ、そうか。さっきの少女が誰か、なんて。うすうす感づいていた。
見覚えがあったはずだ。あの色は、確実に彼女の身体の中に流れていたはずじゃないか。
僕の、妹の中に。
翼竜は翼を羽撃かせ、僕を睨む。
剣を構えた。構えただけだった。次の瞬間、に、は、もう……
ごめんね、×××
翼竜の腹に呑まれるその瞬間。
最後に喧嘩をしたあの日の涙とは違う滴を、瞳から流した。
金森璋「砂礫」 https://twitter.com/akillernovels
offvocal→https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124
Movie Rerere
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
「形骸」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
僕はどこにいるんだろう。
空っぽの空間の中で、そう思う。
実際には、空っぽなんかではない。駅前の雑踏の中を僕は歩いているし、頭の上では電子公告がうるさく鳴り響いている。
巨大な広告板では「はばたけ、未来」とかなんとか謳って、清涼飲料がPRされている。
僕の手にはその清涼飲料があった。なんだかそれを持っているのも馬鹿らしくなって、ぐいとあおって中身を空にして、駅構内のゴミ箱に叩き込んだ。
こんな、いつもの日常。『僕』の全てはこの中にあると言っていい。
だが、『僕』は『日常』の中にあるだろうか。例えば、僕が僕でなくなって、『存在X』なんかになったとする。そうしたら、『日常』ってやつは崩壊するのだろうか、それとも、そんなのお構いなしにありつづけるのだろうか。
駅のホームに立つと、電源の入っていないホームドアが虚しく並んでいた。まだ運用を始めていないようだ。もちろんだがドアは開けっ放しで、飛び込もうと思えば簡単に身を投げることができる。
通過電車が走り抜けるというアナウンスが流れ、僕たち人間は一歩、下がる。
その中で、たった一人だけ逆方向に動く人間がいた。
電車は容赦なく通り過ぎる。その人は『人』から『存在X』になり、生きることをやめる。
ひそひそとそれを非難する声や迷惑そうに苛立つ声があちこちから聞こえて、そのうち駅員の大声がそれらを切り裂く。
僕は、あーあ、とだけ呟いて。
何もしなかった。
教室に入ると、男子の集まりが雑誌を持ってぎゃあぎゃあと騒いでいた。
どうやら、めくったページに載っている娘の誰が好みなのか、という話で盛り上がっているらしい。
僕は遠巻きにそのページを見てみたが、どれもこれも同じ顔、同じような体型、同じような化粧――全く同一とは言えずとも、ほとんど同じと言って差し支えない。
その集まりに合流することなく、僕は自席に座る。
窓の外を見ると、何かの光が反射した。女子の持っているスマートフォンの画面のようだった。
反射している女子の姿をよく見ると、スマートフォンを指し、にやにやと笑っている。0と1で出来た電気信号はそんなに楽しいのだろうか。
そんな奴らにボーダーを引く。
僕はあんな奴らとは違うんだ。じっとりと横線は僕を見つめる。
間違った認知が、僕の中でまっすぐに立つ。
毎日、毎日、こんなことの繰り返しだ。何があっても、時計は進む。
どこでだって同じようなことが起こっているし、どこかでは起こっていないのだろう。
ああ、授業中だというのにうるさいなあ。
後ろを振り向くと、にやついた男子たちが僕を見ていた。
僕はすぐに右手を挙げて、講師に保健室に行きたいという旨を伝えた。またか、と言われたがすぐに許可された。
あんな奴らと同じ人間だと思われたくない。そう思いながら、保健室の鏡を覗く。
くたびれた制服に包まれた男子生徒がそこには立っていた。
「お前は、誰だ」
口に出してみるが、応えることはない。虚像なのだから当たり前だ。
「正解って、なんだろうな」
鏡から目を離して、自分の右手を見つめる。握って、開いて。また握る。
きちんと動作しているのだから、僕は『存在X』なんかではないのだろう。
つまり――僕は、僕だ。
僕は、ここにいるじゃないか。現実感を持って、事実を受け入れて、生きていけばいいじゃないか。
「なあ、僕はここにいるだろう?」
鏡に映った僕は、何も答えなかった。
原作 金森璋「形骸」
オケ→ https://www.dropbox.com/sh/28s5sal1dd...
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Director みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124
Movie Rerere
「幽庵」feat.vflower【残響レコードボカロ制作部】
これは、どんな悪夢だ。
どうかこれは、夢であってほしい。そう、願うことしかできない。
何故、私の胸の中で愛する人が命を失っているのか。
何故、私の腕の中であたたかな光が失われていくのか。
理解ができない。理解したくない。理解できない。
あまりの惨劇に、私は空を見る。
空には弧月が輝いている。しかし、それ以上に恐ろしいものが舞い散り、輝いている。
――火花
木片や水滴を弾き燻らせる音を立てながら、私達の周りの花畑を囲いこんで浸食している。
私もこの中で、と。嫌な想像が頭に巡る。
「ねえ、起きてよ」
私は脱力した恋人の身体をゆする。恋人の胸には深々と短刀が刺さっている。これを抜かない限り、心臓は動きを始められないが、抜いた瞬間に赤が飛び散るだろう。
ああ、私は大切なものを喪ったのだ。
やっと理解し始めた。それでもまだ信じられない。
これは迷夢なんじゃないのか。
まだそんなことを思っている。
どんどんと炎は浸食していく。
それなのに私は動けない。この人を置いていくわけにはいかない。
この人を置いていくくらいなら、私は、いっそ。
轟――
音が大きくなって、一層、火の粉が空を舞う。
もう助けを乞うだけの気持ちは残っていない。
でも、恋人は言ったのだ。
私に「生きろ」と。
どうして、と問うても、あなたは笑うだけだった。きっと、この終わりをわかっていたのだ。
私は、あなたを喪った世界で生きていけるだろうか。
そんな運命を、受け入れられるだろうか。
泣き疲れてしまった。私は、もう、泣くのをやめたくなってきた。けれど、心の奥から涙が溢れて止まらないのだ。
子供のようだ、と、自分でも思う。まるで、己の楽園を壊された子供のようだと。
俯けば、あなたの顔が目に入る。
仰向けば、紅い夜空が目に入る。
どちらを見ても、地獄だった。
何も見たくない。
そう思って、目を閉じた。
とくん。
心音が響く。私は、生きているのだ。まだ生きているのだ。
生きるというのは残酷だ。嫌な運命を背負っていかなくてはならないから。
どうせ、生きなければならないのなら、こんな記憶たちをここに棄てていってしまえたら。
そう思っても、実行なんてできるはずがない。
あなたとの思い出は、この脳髄に染み渡り、抜けようものなら私はからっぽになってしまうから。
「ねえ、起きてよ」
涙が枯れかけ、声もしゃがれて。それでも、私は諦めることができなかった。
どんどんと、恋人は冷たくなっていく。甲冑の隙間から、命が零れ落ちていく。
また私の瞳から、涙が零れ落ちていく。どれだけ、私が涙を流しても、恋人の命を埋めることはできない。
どれくらい、時間が経っただろうか。
私がふと、上を向いたとき。
一滴の雫が私の顔に落ちた。
朝つゆが、私の肌を濡らしたのだ。
気が付けば、朝が来ていた。
一晩中、泣き明かして。それなのにまだ、未練がましく恋人を抱きしめている。
桜が、そばにあることに気が付いた。紅い花ばかりだと思っていたが、それは炎のせいで、実際は薄紅の花も舞っていたらしい。
幹は少し焦げている。枝も、じりりと傷んでいる。
けれど、凛と立つことをやめていない。
「私も――」
そっと、恋人のことを腕から下ろした。桜の樹の下に、寝かせる。
短刀を抜き捨てても、もう赤色は流れださなかった。私が着けていたペンダントを握らせて、少しの間、祈る。
どうか、この人にも安寧を。
私は歩き出す。
弱々しい足取り。だが、一歩ずつ、歩く。
兎角、歩き出さなければならない。
私はここに――二度と、帰れない。
原作 金森璋「幽庵」
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration 魚住山椒 https://twitter.com/since20191124
Movie Rerere
ナギノエナ「キャンディー」【残響レコードボカロ制作部】
原曲 「「キャンディー」feat. 初音ミク【残響レコードボカロ制作部】」
https://nico.ms/so38620980
歌 ナギノエナ
https://twitter.com/naginoena
https://www.instagram.com/naginoena
何度も繰り返す
終わりのない罪と罰
両の手に残ったもの
冷え切った温もり
ゆらめく灯(ともしび)に
誘われ飛ぶのは
甘い蜜だけを求める
片翼の蝶
鬼さんこちらのその手拍子に
釣られたのは私
愛してしまったが故の切なさに
心まで溺れる前に
「もう一度だけ」と手を伸ばしてみる
後味の悪いキャンディーに
孤独を紛らわすように揺れるは心と影
艶(なまめ)かしい愛の熱が身体を満たすのさ
求めてない愛の形ばかりが
心を埋め尽くすから
乾ききったその舌に一粒の
病みつきになるキャンディーを
愛されてしまったが故の愉悦感を
身体が忘れる前に
もう一粒だけ貴方にあげるのさ
後味の悪いキャンディーを
Produce 残響レコードボカロ制作部
https://twitter.com/zankyovocalo
Direction ピーナツバター校長
https://twitter.com/peanutsbtter
Music SHAKE
https://twitter.com/takekou1010
Illustration ぐんじょう
https://twitter.com/nanashnojo
Movie First To Fight
https://twitter.com/FTF_CLOTHING
「夜桜」feat. vflower【残響レコードボカロ制作部】
「夜桜」
春、疾風が吹く。黄昏から宵に至る風は強い。空を見ても月はなく、辺りは暗い。星明りと、家々から洩れるほんの少しの明りだけが、頼りだ。
そんな中、涙とともに桜を散らす。
どれだけ泣いたって変わりはしない。だからいっそ、嘆く声を殺し、彼の人を思う。
彼の人は、英雄になるはずだった。先の大乱で、「素晴らしい成績」を残したにもかかわらず、「多くの人を殺した鬼」として幽閉されてしまった。
幽閉されてしまった彼の運命には、ただの良家のお嬢様である私には抗うことすらできない。
暗い暗い、闇の中は静かで、そこに咲く桜は美しい。
思い切り声を出してみたいと思った。しかし、この声は届かないと、もう、識っている。
霞の中で桜が舞っている。温い空気と花の香りが混じる春荒れの中、私は立ち尽くした侭、独りきりで貴方のことを待った。
桜の花に色めく夜。遠いところで花の宴の音も聞こえる。けれど、私は独りだ。
泡沫のように時間は刻々と過ぎていく。薄紅は狂ったように舞い踊る。待てども待てども、此処に貴方が来ることは無い。
丹色が、あの人の頭の中にこびりついていることだろう。どれだけ、人を殺めたのだろうか。私には想像もつかない。けれど、永遠に幽閉されるだけのことを犯したのだろう。ならばきっと、私のあげた紺碧の守り石さえも色あせてしまっただろう。
夜明けが遠ざかっていく夜に、私は彼の人が幽閉されているという建物の入口に立ってみた。門番がいる。私の気配には気が付いていないらしい。
たったこれだけの扉のせいで。恨んでも、開かぬことに変わりはない。
春の夜中に、ひとことだけ問うた。「ねえ、どうして」それに応えなどなく、顔を臥せることしかできない。
想いはまだ伝えきれていない。実るどころか、花すらも咲いていない。
――もう、泣くことはやめよう。
涙を呑み、暗い空を見上げた。
さあ、全てを灰燼に帰そう。
薄暗い、まだ明けさえもしていない夜の中。桜の花が三月の終わりを染め上げる。
幾星霜、貴方を想わない日は無かった。それでもまだ、逢えない。逢えないけれど、それでも。
想い続け、行動すれば、変わる。
それも、識っている。
春疾風が吹き終わる。夜は逆巻き、夜明けを呼び起こす。
月のない夜に、桜の花を血で濡らす。
悲鳴に色めく夜。泡沫の刻に私は、狂う。
この狂った世の中を変えるために、私が狂おう。そうして、貴方に逢えるというのなら。
この塀の向こうに、あなたはいるのだろう。
「もうすぐ逢える」
そのときには、まだ、夜は明けていないはずだ。
雲の隙間から、春の薄い月が照らし、辺りの惨劇を明るくする。
その中に――
Produce 残響レコードボカロ制作部 https://twitter.com/zankyovocalo
Direction みっどないと https://twitter.com/Midnight_Dir
Lyric 金森璋 https://twitter.com/akillernovels
Illustration 粉蜜めま https://twitter.com/in_dreams127
【ノイズ】ハイライト【音量注意してね】
使用機材:ラジオコンポ 50円で売ってもらったマルチエフェクタ(ボタンが取れてる)ヘッドフォンの方は音量に注意してね。mylist/18007192【追記12/12】コミュニティができました co1440889
「黒塗りの傘」feat. 滲音かこい【残響レコードボカロ制作部】
週末の起抜け、読切り。
「最悪の」「不慮の」事故に
また救われたよ。
彼らの業が、戒めが、宗教たらしめる。
どうせまた、横切っていく。
知らない顔して守られ
傷付けてまた守られていく
畜生にも守られ
生活に脅かされて、、、
そう言えば「良い」と思うんだろう。
小さな蟲の羽音に結べばいいんだろう。
彼らの業が、戒めが、宗教たらしめる。
どうせ、また忘れてる。
ほら剥がれてきてる。
粉を吸い込んでいる。
海はいいな。鳥はいいな。
成れるなら生りたかった。
「当たり前」に成りたかった。
「当たり前」を塗りたくって、
あなたのことまた汚して、
汚れたあなた、守られていく
あなたはまたこわして、
守られてこわされていく
あなたはまたこわして、
守られてこわされていく
生活にも守られ、
生活に脅かされて、、、
Produce 残響レコードボカロ制作部
https://twitter.com/zankyovocalo
Music 四月
https://twitter.com/sjshuji
Arrangement けいや
https://twitter.com/keiyaHNQ
Illustration 森 数機
https://twitter.com/morikazukisan
Movie Ramma Takahashi
http://dengekizoo.net