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猫又出現! 『徒然草 気まま読み』#34
今回扱うのは、第八十九段。
山奥に猫又という妖怪がいて、人を食うそうだとある人が言うと、またある人が、山奥でなくても、この辺でも年を取った猫が妖怪になって、人を食うらしいぞとある人が言う。
そんな話を聞いたある法師が、自分のように独り歩きをする者は気を付けないといけないぞと思っていたところ…
昔の話というなかれ。このような話が誰からともなく広がっていく様は、現在の「都市伝説」なんかにもそっくり。
そして、すっかり信じ込む人もいる一方で、兼好はじつに冷ややかな視線を向けている。
これも、今とあんまり変わらないようで…
子は不要 『徒然草 気まま読み』#33
今回扱うのは、第六段。
冒頭で「我が身のやんごとなからんにも、まして數ならざらんにも、子といふもの無くてありなん」
と言い切る兼好。
前回扱った段では「妻を持ってはならぬ」と断言し、さらにここでは、身分が高い人だろうと、取るに足らないものであろうと関係なく、「子は不要」だと断言する。
しかも、子は不要とする根拠が、功成り名を遂げた人の中で子のいなかった者の例ばかり集めてきたり、聖徳太子について史実ではない伝説のエピソードを持ってきたりと、こじつけ感がハンパない。
いったいどうしたんだ、兼好!?
しかしこれも徒然草の味わいの一つ。ここでこう言っているからと言って、それが絶対だと兼好自身も考えていたとは限らない。柔軟性を持って読んで行こう。
妻帯するな! 『徒然草 気まま読み』#32
今回扱うのは、第五十六段。
一部を紹介すると…
妻といふものこそ、男の持つまじきものなれ。「いつも獨り住みにて」など聞くこそ、心憎けれ。
「たれがしが婿になりぬ」とも、又、「いかなる女をとりすゑて、相住む」など聞きつれば、無下に心劣りせらるゝわざなり。異なることなき女を、よしと思ひ定めてこそ、添ひ居たらめと、賤しくもおし測られ、よき女ならば、此の男をぞ、らうたくして、あが佛と守りゐたらめ。
普段はなるほどと思わされる含蓄のある話ばかりの『徒然草』ではありますが、今回ばかりは「どうしたんだ、兼好!?」と思ってしまう一段。
とにかく男たるもの、妻だけは持ってはいけないと口を極めて罵る兼好。
大したことのない女を良いと思って妻にしている男はつまらない、と言うのはまだわかるけれども、素晴らしい女性に尽くされていても「その程度の男か」と言い放つ。女性に対して厳しい論調は以前にもあったけれども、ここまでくると、一体何があったの?と思ってしまう。
誤解がないようにと、高森氏が自身の結婚観などについても語ります!
話し方で人品が知れる 『徒然草 気まま読み』#31
今回扱うのは、第五十六段。
一部を紹介すると…
久しく隔たりて逢ひたる人の、わが方にありつる事、數々に殘りなく語り續くるこそあいなけれ。隔てなく馴れぬる人も、程経て見るは、恥しからぬかは。次ざまの人は、あからさまに立ち出でても、今日ありつる事とて、息もつぎあへず語り興ずるぞかし。
人と話をする時の態度で、その人が一流か二流かがわかると、何とも手厳しい分析をする兼好。
思わず「私は二流だ~」と嘆くもくれんさん。でも、これって誰にも覚えがあることでは?
それに、言ってることの中には、単に兼好の好みじゃないの?とか、それはいまの時代では違うんじゃないの?とか言いたくなるようなこともちらほら。
とはいえ、やっぱり耳の痛いところを突いているところがあって、思わず知らず反省会になってしまう一段。
旅の効用 『徒然草 気まま読み』#30
今回扱うのは、第十五段。
全文を紹介すると…
いづくにもあれ、暫し旅立ちたるこそ、目さむる心地すれ。
そのわたり、こゝかしこ見ありき、田舎びたる所、山里などは、いと目馴れぬことのみぞ多かる。都へたよりもとめて文やる。「その事かの事、便宜に忘るな」など、言ひやるこそをかしけれ。
さやうの所にてこそ、萬に心づかひせらるれ。持てる調度まで、よきはよく、能ある人・かたちよき人も、常よりはをかしとこそ見ゆれ。
寺・社などに、忍びてこもりたるもをかし。
普通なら、旅に出ることの目的は、行った先の珍しいものや風光明媚な景色など、普段触れることのないものを見て、そこに価値を見出すことにあると思うところだが、やはり兼好は違う。
兼好は、旅に出て日常から切断されることで、むしろ日常の価値を再発見するところに意味があるという。
言われてなるほどと思う、旅の値打ちとは?
倹約を旨とすべし 『徒然草 気まま読み』#29
今回扱うのは、第二段。
全文を紹介すると…
いにしへの聖の御代の政をも忘れ、民の愁へ、國のそこなはるゝをも知らず、萬にきよらを盡して、いみじと思ひ、所狭きさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。
「衣冠より馬・車に至るまで、あるにしたがいて用ゐよ。美麗を求むることなかれ」とぞ、九條殿の遺誡にも侍る。順徳院の、禁中の事ども書かせ給へるにも、「おほやけの奉物は、おろそかなるをもてよしとす」とこそ侍れ。
ここに出てくる「順徳院」の教えは、現在に至るまで、歴代天皇が守ってきたことである。
それがこの時代には、貴族の間にも共有されていたことになる。
いや、兼好がわざわざ書いているということは、実際には守られていないという現状があったということか?
完全でないことが良い 『徒然草 気まま読み』#27
今回扱うのは、第八十二段。
兼好は二人の友人の話から、日本人の独特の美意識について語る。
新品で綺麗なものよりも、少し古びてきたもののほうが味わいがある。
完全に揃っているよりも、いくらか欠けている方が趣がある。
何事につけても、整っているものはよくない。いくらかし残したところがある方が、面白いのである、と兼好は綴っている。
わび・さびなどにも通じる美意識を自覚的に語っているのである。
その一方で日本には、全く清浄なものがよいという感覚もあるのだということも補足でつけ加えて、日本人の多面的な美意識について考える。
孤独こそ良い 『徒然草 気まま読み』#26
今回扱うのは、第七十五段。
つれづれわぶる人は、いかなる心ならむ。紛るゝ方なく、唯一人あるのみこそよけれ。
この冒頭部分に、言いたいことが凝縮されている。
孤独で退屈な状態でいることを嫌がる人は、どういう心境なのだろう、その気が知れない。たった一人でいることこそがいいのだと兼好は言う。
世に従い、人に交われば、それに迎合し、自分自身を失うというのである。
兼好はその生き方を貫き、自分を通したからこそ『徒然草』を後世に残した。
兼好の生きた時代ですら、このようなことを批判しなければならなかったのである。
それならば、SNSによって、とにかく人と繋がりたい、人の評価を受けたいという意識が強迫観念にまでなっているような現代を兼好が見たら、一体何を思っただろうか…?
親しき人を見直す 『徒然草 気まま読み』#25
今回扱うのは、第三十七段。
全文を紹介すると…
朝夕へだてなく馴れたる人の、ともある時に、我に心をおき、ひきつくろへる様に見ゆるこそ、今更かくやはなどいふ人もありぬべけれど、猶げにげにしく、よき人かなとぞ覺ゆる。
疎き人の、うちとけたる事などいひたる、また、よしと思ひつきぬべし。
この段では、人間関係の距離感の取り方について考察する。
一見、今さら気を使わなくてもいいじゃないかと思えるような間柄の相手でも、その時に合わせて、しかるべき時に然るべき態度を取れるかどうかというのは重要なこと。
そこに、他人を他人として尊重した上で親しんでいるのか、そうではないのかということが表れる。
短い表現の中に、現在にも通用する教訓が語られている。
栗ばかり食べる娘 『徒然草 気まま読み』#22
今回扱うのは、第四十段。
短いので全文を紹介すると…
因幡(いなば)の國に、何の入道とかやいふものの女、かたちよしと聞きて、人あまたいひわたりけれども、この娘、ただ栗をのみ食ひて、更に米(よね)のたぐひを食はざりければ、「かゝる異様のもの、人に見(まみ)ゆべきにあらず」とて、親ゆるさざりけり。
さてこの話、一体何を言おうとしているのか?
なぜ兼好法師は、この話を『徒然草』の一段に加えたのか?
実はこれ、未だにどの研究者も解明しておらず、有力な説さえ現れていない謎なのです!
拙きものは女なり 『徒然草 気まま読み』#21
今回扱うのは、第百七段。
今だったら炎上必至?の、凄まじい女性論。
まず前半では、京都の朝廷に務める男たちの間では、女性からの評価や視線が非常に重んじられているという状況が記される。
それを受けた後半で、兼好は女性とはどういうものであるかについて、ボロクソに語っていく。
「すなおならずして、拙きものは女なり」と、ものすごい断言。返す刀で、そんな女の歓心を買おうとする男も斬って捨てている。
一体何があった、兼好!?
そこまで言う理由が、最後にちょっとほの見えて、兼好法師のまだ悟ってなさそうな人間像が浮かび上がる。
勅書を持たる者は下馬せず 『徒然草 気まま読み』#19
今回扱うのは、第九十四段。
短いので全文を掲げると…
常磐井相國、出仕したまひけるに、勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬よりおりたりけるを、相國、後に、「北面なにがしは、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。
勅書を馬の上ながら捧げて見せ奉るべし、下るべからずとぞ。
朝廷のトップである太政大臣・西園寺実氏が朝廷に出てきた時、上皇の手紙を持った武士が乗った馬と出会った。武士は馬から降りて礼儀を示したが、その行為がけしからんと、西園寺はその武士の職を解いてしまった。それはなぜか?
天皇・上皇の権威とはどのように担保されてきたのかがうかがえるエピソード。
珍しすぎる宝物 『徒然草 気まま読み』#17
今回扱うのは、第八十七段。
短いので全文を掲げると…
或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、ある人、「御相傳浮けることには侍らじなれども、四條大納言撰ばれたるものを、道風書かむこと、時代や違ひはべらむ、覺束なくこそ」といひければ、「さ候へばこそ、世に有り難きものには侍りけれ」とていよいよ秘藏しけり。
まるで落語みたいなエピソード。
特に何の教訓にもなりそうにないけれど、何か現代でも似たようなことがありそうな。『徒然草』には、こんなのもあるのです。
高名の木登り 『徒然草 気まま読み』#16
今回扱うのは、第百九段。
今回はお試し版無料公開。扱うのは、教科書にもよく掲載された「徒然草」でも特に有名な段。
名高い木登りという男が人に指示をして、高い木に登らせて梢を切らせたところ、高い場所でとても危険に見えたときには声をかけることもなく、降りてきて軒の高さぐらいになって「怪我をするな。気をつけておりなさい」と声をかけた。それはなぜかと兼好が問うと…。
厳しい身分社会の中にありながらも、身分の低い者の言葉といえども聴くべきものを逃さずに記し、評価した兼好の見識にも注目!
保守の神髄 『徒然草 気まま読み』#14
今回扱うのは、第百二十七段。
全文を紹介すると…
改めて益なきことは、改めぬをよしとするなり。
これだけ。これで全文である。
だが、このワン・センテンスに、「保守の神髄」が語られている!
このわずかな文章の中に、いろんな含みがあり、単に頑迷固陋に古いものを固守することを推奨しているわけでもないし、その一方で、予測不可能な未来に対しては慎重に臨むべきだと諭す意味も含まれている!
果たしてそれを、読み取れるか?
賢人とは? 『徒然草 気まま読み』#13
今回扱うのは、第八十五段。
世の中には、賢人もいれば愚者もいるが、圧倒的に多いのは凡人。
しかし、凡人は賢人にもなれるし、愚者にもなる。
果たして、その分かれ目はどこにあるのか?
それは、実際に賢人を見た時の態度によって決まる。
兼好法師の分析は、現代にも当てはまる。
そして現代は、愚者になることを自ら選ぶ凡人が増大している時代なのかもしれない。
仏はどこから来たのか 『徒然草 気まま読み』#11
今回扱うのは、第二百四十三段。
徒然草最後の段ですが、順不同で取り上げているので、これが最終回ではありません。
兼好が8歳の時、父親に「仏とはどういうものなのでしょうか」と尋ねた。
父親は、「仏は人がなったものだ」と答えたので、さらに兼好は「人はどうやって仏になったのか」と尋ねる。
父親が「仏の教えによるものだ」と答えると、さらに兼好は「その仏は何が教えたのか」と問いを重ねる。そしてついに答えきれなくなった父親は…
ちょっと微笑ましくもある、子供時代の思い出話。
嘘をめぐる十タイプ 『徒然草 気まま読み』#9
今回扱うのは、第百九十四段。
嘘をつかれた人は、その時どんな反応を示すか?
兼好はそのリアクションを、10の類型に分類している。
その観察力、分析力はさすがという他ないが、もしかして、ここに出てくる「嘘つき」は兼好で、兼好自身が人に嘘をついてみて、その反応を観察していたんじゃないかという疑念も。
それはともかく、いろんな人の反応の様は、今でもありそうで笑ってしまう。
達人の人を見る眼は、少しも誤るところはない。
自分の分際を知る 『徒然草 気まま読み』#6
今回扱うのは、第百三十二段。
全文は、こちら。
貧しきものは財をもて禮とし、老いたるものは力をもて禮とす。
おのが分を知りて、及ばざる時は速かに止むを智といふべし。許さざらんは、人の誤りなり。分を知らずして強ひて勵むは、おのれが誤りなり。
貧しくして分を知らざれば盜み、力衰へて分を知らざれば病をうく。
当たり前といえば当たり前なのだけれども、なかなかそれができない、自分の「身の程」を知るということ。
兼好法師は漢籍を踏まえつつ、これを自分なりにアレンジして説いている。
賤しげなるもの 『徒然草 気まま読み』#5
今回は、第七十二段をご紹介。
全文は、こちら。
賎しげなるもの。居たるあたりに調度の多き、硯に筆の多き、持佛堂に佛の多き、前栽に石・草木の多き、家のうちに子孫(こうまご)の多き、人にあひて詞の多き、願文に作善多く書き載せたる。
多くて見苦しからぬは、文車の文(ふみ)、塵塚の塵(ちり)。
枕草子にも同じく「賤しげなるもの」について書かれていて、それを意識したとも思えるが、さすがに兼好法師と清少納言の視点は全く異なり、読み比べても面白いかも。
いかにも兼好法師らしさを感じる、ちょっとひねった感覚も入った「賤しげなるもの」とは?
いい男の条件『徒然草 気まま読み』#3
『徒然草』は、どのような男性像を描いているのか。
出家身分の兼好法師が、あるべき男の姿とはこうだと描いているのが、第三段。
どんなに学問があろうと、人格者であろうと、男はこれがなければ物足りない、というものがある。
ここでは俗世に生きる人間の心情を思ったことを語っているが、続く第四段には、更にそれを超越した境地を、短い文章で表している。
このあたりにもまた、徒然草の妙味を味わうことができるのでは?
友達とは何か『徒然草 気まま読み』#2
「持つべき友」とはどういうものか。
友との関係は、どうあるべきなのか。
そういうことを、兼好法師はどのように語っているのか。
117段には、「友とするに悪き者、七つあり」「善き友三つあり」として具体例を挙げている。
だがそれがあまりにもあけすけというか、身も蓋もないというかの内容で、兼好法師って、友達がいなかったんじゃないかと思わされる。
だがその一方で、難解と言われる12段にはそれとはまた違った側面が見られる。
果たして、兼好法師が友に求めたものとは何か?
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なんだここ
長いぞ!!! part11⇒sm8042728/マイリスmylist/13173063/
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光明が見えてきた!
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連続で撮ったら、パート10だけ消えていました…
なので、はおだけ再収録になりました
かなりテンション低く出来上がっていますm(_ _)m
eazyモードで最初からやったので、パート10のイベントのためだけの回になります…
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