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<マル激・前半>5金スペシャル 非日常から日常を見つめ直すために/寺脇研氏(映画評論家)
5週目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする恒例の5金スペシャル。2011年最後の放送回となる今回は、こんな1年だったからこそ、映画評論家の寺脇研氏をゲストに、あえて映画特集を組んでみた。
2011年は東日本大震災と福島第一原発事故で、日本全体が一瞬にして非日常に突き落とされた年だった。幾多の深刻な問題を抱えながら、なんだかんだとごまかしながらこの20年あまり、この日常がいつまでも続くかのようなふりをし続けてきた日本だったが、いよいよ今年の3・11にその時はやってきた…。
非日常から日常を見つめる上でのヒントを与えてくれそうな6本の映画を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が寺脇氏と語り合った。後半はこちら→so16560473
マル激トークオンディマンド「映画特集!Twitter特集!」【コメ付】①
2010/04/30(金)18:40より生放送された、マル激トーク・オン・ディマンド「映画特集!Twitter特集!」~宮台・神保がアバター×ハートロッカーを語る!~ lv16030014のタイムシフト試聴録画分です。
【内容】
第1部18:40 ニュースコメンタリー
郷原信郎弁護士が,小沢氏問題等について
TOPIC=事業仕分けについて(尾立源幸衆議院議員・電話出演),小沢氏・一連の報道,司法への市民の参加,検察審査会が持つ感情へのブレーキを用意しない不作為,特捜部はダルビッシュ etc.
【出演者】(敬称略)
1部・2部共通
神保哲生(ビデオニュースドットコム)
宮台真司(社会学者)
1部 郷原信郎(弁護士) 2部寺脇研(映画評論家)
②(2部)→sm10644993
ビデオニュースドットコム・5金(4/30)=http://www.videonews.com/on-demand/0471480/001421.php
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集・映画が描く「絶望」の質が変わってきているのはなぜか
月の5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお送りする5金スペシャル。今年最後の5金となる今回は、マル激の5金では定番となった映画特集をお送りする。
今回とりあげた映画は宮台真司が選んだ「解放区」「よこがお」「ジョーカー」「アナイアレイション」の4作品。
「解放区」は新進気鋭の太田信吾監督による初の長編劇映画で、半人前のドキュメンタリー作家がさしたる計画もないままいきなり大阪・西成のドヤ街に飛び込んで取材を始めた結果、そこに巣くう数々の闇に引き込まれていく様を描いた衝撃作品。大阪市からの助成金の返還を余儀なくされたことでも話題となった。
「よこがお」は「淵に立つ」「海を駆ける」の深田晃司監督による社会の不条理ぶりを問う作品で、訪問看護婦の主人公が理不尽な理由から自分の人生が破滅へと追い込まれていく様が描かれている。
「ジョーカー」はこれまでハングオーバーシリーズなど娯楽作品を手掛けてきたトッド・フィリップス監督による話題作で日本でも広く劇場公開されているが、ホアキン・フェニックス演じる寂しい中年男が、本来は悪人ではないにもかかわらず偶然の出来事をきっかけに悪のカリスマへと変貌していく。その様は、善人と悪人を分かつ線が非常に脆弱であると同時に、実は単なる偶然の産物に過ぎないことを痛感させる。
「アナイアレイション」は「ザ・ビーチ」や「エキス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督によるネットフリックス配信の作品でベストセラーとなったSF小説「サザーン・リーチ」を実写映画化したもの。主演のナタリー・ポートマン演じる生物学者が突如出現したエリアXという未知の空間に足を踏み入れると、そこではこの世の終わりを予言させる現象が展開されていた。この作品にはこの世の終わりが描かれているにもかかわらず、それをありきたりの恐怖感や絶望感をもって迎えるのではなく、「それもありかも」と思わせるような問題提起が行われている。
長らく映画は善玉と悪玉を明確に識別可能な状態を作った上で、最後は必ず善が勝利する勧善懲悪ものが基本だった。また、この世の終わりというのも、悲惨で悲しいものとして描かれてきた。しかし、ここに取り上げた作品に共通して言えることは、善と悪などそう簡単に識別できるものではないし、割りきれるものではないということではないか。善は悪であり、悪は善でもある。この世の終わりでさえ、必ずしも悪いものとは限らない。世の中も生態系も非常に複雑であり、善悪など簡単に審判することはできないが、それでもその中で人々は生きていかなければならないし、人類も生態系も地球もその矛盾の中で存在し続ける。そうした矛盾した不条理な世界との向き合い方を考える上で、今回の4作品はさまざまなヒントを提供してくれているのではないだろうか。
今回のマル激5金スペシャルでは、なぜ今、善悪やこの世の終わりとの向き合い方が変わってきているのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so36023661
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
マル激トークオンディマンド「映画特集!Twitter特集!」【コメ付】②
2010/04/30(金)18:40より生放送された、マル激トーク・オン・ディマンド「映画特集!Twitter特集!」~宮台・神保がアバター×ハートロッカーを語る!~ lv16030014のタイムシフト試聴録画分です。
【内容】
第2部 20:00 映画特集!Twitter特集!
映画評論家の寺脇研氏をゲストに迎え、宮台・神保が、「アバター」「ハートロッカー」等について語ります。町山智浩氏も電話にて出演しています。
【出演者】(敬称略)
1部・2部共通
神保哲生(ビデオニュース・ドットコム)
宮台真司(社会学者)
1部 郷原信郎(弁護士) 2部寺脇研(映画評論家)
①(1部)→sm10644437 ③→sm10645220
ビデオニュースドットコム・5金(4/30)=http://www.videonews.com/on-demand/0471480/001421.php
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・どれだけ社会が壊れても、やっぱり答は「愛」だった
月の5回目の金曜日に無料で特別企画をお届けする5金スペシャル。今回は映画特集をお送りする。
今回取り上げた映画は『ア・ゴースト・ストーリー』、『ブリグズビー・ベア』、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』、『愛しのアイリーン』、『教誨師』の5作品。5作品に共通するテーマは「本物の愛」と「『われわれ』と『彼ら』の境界線とは何か」だ。
『ア・ゴースト・ストーリー』は10万ドル(約1100万円)という超低予算の作品ながら、深い感動を与える秀作。交通事故で死亡した男性が幽霊となって妻を見守る様子を描いた、切ないラブストーリーだ。シーツを被っただけの、小学校の学芸会を彷彿とさせるようなゴーストが、時空を越えて愛を完結させていくというもの。
『ブリグズビー・ベア』も『ア・ゴースト・ストーリー』に劣らないほど強く心を揺さぶる作品だ。赤ん坊の時に誘拐され隔離された環境で、着ぐるみの熊「ブリグズビー」が実在の正義の味方だと信じ込まされて育った主人公のジェームスが、25歳にして普通の世界に引き戻された時、そこで生じるさまざまな軋轢や摩擦を半分冗談のようで実は大真面目に描いた作品。誘拐されたまま世界から隔絶されて育った、本来であれば悲劇の主人公になるはずのジェームスの澄み切った純粋な心が、周囲に感染していく様が清々しい。
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は2017年のカンヌで最高賞のパルムドールに輝いたスウェーデン映画。現代美術館でキュレーターとして働くクリスティアンが、すべての人が平等の権利を持ち公平に扱われる正方形「ザ・スクエア」を地面に描いて展示する企画を考案するが、同時進行で展開する事件が、実はそのクリスティアン自身が強い差別意識の持ち主だったことを露わにしていく。「平等」や「公平」という言葉が持つ意味を深く考えさせられる作品だ。
『愛しのアイリーン』は嫁のなり手がいない日本の農村で、フィリピン人の妻を迎えた42歳のダメ男が、異国から来た幼い妻と、息子を溺愛する母親や村社会との狭間で翻弄される様を描く。愛のない結婚として始まった夫婦関係が、時間を経る中で本物の愛に変わっていく過程を通じて、真実の愛とは何かを問う。
『教誨師』は大杉漣の遺作となった作品。大杉が演じるプロテスタントの牧師・佐伯保が、教誨師として刑務所で6人の死刑囚と対話を重ねながら聖書の言葉を伝えるうちに、死刑囚の心に変化が生じ、自らの罪と向き合い始めるというもの。
優に年100本を越える映画を見る隠れ映画ファンでジャーナリストの神保哲生と、映画批評家を自任する社会学者の宮台真司が、5つの作品が描く世界と議論した。
後半はこちら→so34255323
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集・「罪」と「責任」の違いと韓国ドラマのすごさ
月の5回目の金曜がある週に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今週は劇映画を1本、アニメを1本、テレビドラマを1本取り上げたのに加え、マル激史上では初となる韓国ドラマ大特集をお送りする。
最初に取り上げた映画は7月30日公開の『アウシュヴィッツ・レポート』。
ホロコーストをテーマにした映画は毎年のように作られるが、この映画はスロバキア、チェコ、ドイツ3か国の合作によるもので、歴史を記録し伝え続けることの重要さを、実話を基に力強く表現した作品だ。
本編で描かれている、アウシュヴィッツに収容された2人のスロバキア系ユダヤ人の命を賭した行動と、彼らを逃がすためにいかなる懲罰をも厭わない勇気ある囚人仲間達の犠牲がなければ、今日われわれは「ホロコーストなどフィクションだ」といった言説に容易に流されてしまっていたかもしれない。それを身を以て痛感させてくれる。
ナチス政権下のドイツは歴史上類を見ない非人道的罪を犯したが、単に一度謝罪して当事者が訴追されればその罪から開放されるのではなく、未来永劫その責任(responsibility)を取り続ける姿勢を見せることによってのみ、自分たちの過去から解放され、国際社会の尊敬を集めることができると説いたワイツゼッカー元大統領の演説の意味を想起した時、こうして毎年のように質の高いホロコースト映画が作られ続けていることの意味を日本人としても改めて考え直してみたい。
その他、今人気公開中の『竜とそばかすの姫』、元々テレビで放送され現在Netflixで公開されている『微笑む人』を通じて、日本のアニメやドラマの現在地を確認した。
さらに今回はマル激としては初めて、韓国ドラマを取り上げた。コロナの「ステイホーム」によって自宅で映画を見る習慣が急速に広がった2020年、Netflixで人気トップ10に何と韓国ドラマが5作品もランクインした。『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』、『青春の記録』、『キム秘書はいったい、なぜ?』の5つだ。2021年の通年ランキングはまだ出ていないが、今年に入ってからも既に『ヴィンチェンツォ』、『わかっていても』などが大ヒットを飛ばしていてランク入りは間違いない状況だ。韓国語をマスターしていない日本人にとって韓国ドラマは字幕を読む手間もかかる。Netflix上には欧米、とりわけ今や大物俳優を惜しみなく起用するようになったハリウッド映画も数多くあがっている。もちろん日本でヒットしたテレビドラマなども多数ある。そうした中にあってなぜ韓国ドラマがこれほどまでに人気を博しているのか。
実際にこれらの作品を見てみると、単純に作品としての完成度が高いことに加え、ストーリー構成の巧みさ、一見くだらなそうに見えて誰もが思わず笑ってしまうようなギャグの挟み方の絶妙さ等々、確かに韓国ドラマのレベルは高い。問題はなぜ韓国がここまで質の高いコンテンツを提供できているのに、日本がそれに太刀打ちできる魅力的な作品を作れていないのかだ。2020年のNetflixのランキングを見ても、トップ10入りした日本の作品は「嵐」の活動を追ったプロモーショナルなドキュメンタリーとアニメ3作品と「テラスハウス」だけで、ドラマや映画は一つも圏内に入っていない。
今週の5金スペシャルではジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、『アウシュヴィッツ・レポート』、『竜とそばかすの姫』、『微笑む人』の3作品と、韓国ドラマ特集として『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『ヴィンチェンツォ』の3作品を取り上げて、それぞれの作品の評価と日本の映画やドラマの現在地について議論した。
また番組冒頭では、感染者数がこれまでの最多記録を塗りかえた新型コロナの最新状況と五輪の関係、基準さえ曖昧な「感染者数」のみを発表し続け、これに一喜一憂するメディアの愚、「緊急事態宣言が出ても感染者が減らない以上、政府に強制力のある権限を与えるべき」とする主張の欺瞞などについても議論した。
前半はこちら→so39111336
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル 課題ははっきり見えてきた
年末恒例のマル激ライブ。今年も東京・新宿のライブハウス『ロフト・プラスワン』で、神保哲生、宮台真司が、1年を振り返るとともに、今年明らかになった来年の課題などについて議論した。
2010年は民主党政権の迷走と沖縄米軍基地問題の泥沼化、前代未聞の検察不祥事、尖閣ビデオやウィキリークスに見られる国家や既存メディアの信頼の失墜など、既存の秩序の崩壊を実感させる出来事が相次いだ……。
しかし、こうした一連の崩壊劇はある意味では、未来に向けた朗報と見ることもできる。なぜならば、これらはわれわれが2011年に何をしなければなければならないかを明確に示してくれているからだ……。
2010年の最後を飾るマル激は、そのような問題意識を念頭に置きつつ、神保哲生と宮台真司が1年を振り返るとともに、次の1年の課題を議論した。
後半はこちら→so13176267
<ニュース・コメンタリー>マイナンバー制度の暴走を防げるのは有権者だけだ
政府の情報公開に取り組むNPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長と、10月5日に施行されたマイナンバー制度の問題点と、昨年7月に内閣法制局が集団的自衛権の容認を決定した際に、その議事録を作成していなかったとされる問題について、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。
マイナンバーは先の国会で改正マイナンバー法が可決し、10月5日から実際に番号の送付が始まっている。マイナンバー自体は当初は税と社会保障番号という位置づけで始まり、基本的にはその目的でしか使われないものという誤った認識があるように見える。
しかし、法律の条文を見る限り、国民一人ひとりに一生変わらない一つの番号を割り当てるマイナンバーは、すでに決まっている用途だけでも税と社会保障の範囲を大きく超えている。また今後、その活用範囲を広げていくことも法律に明確に謳われていて、知らない間にとてつもない大量の個人情報が、あらゆる用途に使われるようになってしまう危険性が十分にある。
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、マイナンバーという制度のそもそもの目的と理念が明確になっていないところに、大きな問題と危険性が潜んでいると指摘する。あえて理念を明確にしないことで、どんな目的にでも使えることを狙っているとのうがった見方もあるが、それを許すも許さないも、有権者の我々の意思にかかっている。
今一度ここで立ち止まり、国民の背番号化が暴走し始める前に、マイナンバー制度のあり方や、そこにどのような制限をかける必要があるかなどを議論すべきではないか。
また、2014年7月1日、安倍内閣は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定し、集団的自衛権の行使が憲法の範囲内で可能との判断を下しているが、前日の6月30日、内閣法制局は内閣官房国家安全保障局から審査のため案文を受領し、閣議決定当日に内閣に対して「意見はない」と電話で回答したことが明らかになっている。
しかし、内閣法制局がどのような審査を行ったのか、また内閣官房国家安全保障局から審査依頼に際してどのような書類が提出されたのかなど、その判断に係る情報が開示されていないため、内閣法制局が合憲と判断した根拠やその経緯をわれわれは知ることができない。
三木氏の情報公開クリアリングハウスはそうした文書の存在の有無も含め、その実態を調査し公表するよう求める要望書を、9月30日付で内閣法制局に提出したが、今のところ法制局からは何の返信もないという。
先の国会で可決した安保法制は内閣法制局の審査を経て行われた2014年7月1日の閣議決定を前提としている。法律の正統性にも関わる重要な問題が、文書が作成されたかどうかも明らかにされないまま、手つかずになっているのだ。
<マル激・前半>5金スペシャル・映画は歴史的悲劇をどう描いたのか/倉沢愛子氏(慶應義塾大学名誉教授)、吉田未穂氏(シネマアフリカ代表)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きた虐殺の悲劇を描いた映画を取り上げる。
最初に取り上げたのは、いま話題のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』。この映画ではインドネシアで1965年に起きた「9.30事件」の虐殺当事者が登場する。
「9.30事件」とは、クーデター未遂事件に端を発し、その後3年間にも及ぶ共産主義者の大虐殺を指す。あるクーデター未遂事件をきっかけに共産主義に寛容だった当時のスカルノ大統領が失脚し、代わって実権を握り第2代大統領の座に就くスハルト少将(当時)の下で、民兵組織や一般市民による凄惨な共産主義者への迫害が行われた。少なくても50万人、一説によると300万人もの共産主義者やその疑いをかけられた市民が虐殺されたとされる。当時インドネシアには350万人もの党員を抱える合法的なインドネシア共産党があったが、共産主義者は神を信じない輩として、イスラム教徒が多数を占めるインドネシアではそれを殺害することが正当化されていた。…
続いて取り上げたのは1994年のルワンダ虐殺を描いた『100DAYS』(邦題:ルワンダ虐殺の100日)。この5月は1994年のルワンダ虐殺からちょうど20年目にあたる。1994年4月6日にルワンダのハビャリマナ大統領が乗った飛行機が撃墜されたのをきっかけに、ルワンダで多数派のフツ族が、少数派のツチ族と穏健派フツ族を手当たり次第に鉈などで殺戮した虐殺事件では約100日間で80万とも、100万とも言われる市民が市民の手によって殺害されたという。
ルワンダ虐殺を扱った映画は『ルワンダの涙』、『ホテル・ルワンダ』、『四月の残像』などが有名だが、シネマアフリカ代表でアフリカの映画事情などに詳しいゲストの吉田未穂氏は、『100DAYS』こそが、こうしたルワンダ虐殺映画の原型となった作品で、ルワンダ人のプロデューサーが犠牲者の視点から悲劇を描いたものだと言う。映画では、国際社会がいかに無力だったか、頼りにしたキリスト教の教会、神父がいかに犠牲者らを欺いていたかが描き出される。しかし、表現のトーンはあくまでも淡々としていて、それがかえって欧米からみるとセンセーショナルな虐殺の悲劇が、ルワンダ人にとっては当たり前の史実であるという認識の差、受け取り方の温度差を突きつけてくる。
吉田氏は現在のルワンダ社会は20年前の悲劇を少しずつだが総括しつつあり、女性の社会進出も目覚ましく、首都のキガリには高層タワービルやショッピングモールなども建ちはじめているという。ただ、映画で虐殺者側の視点からあの悲劇を取り上げた作品も出始めているとは言え、インドネシアのケースと同様に、当時の虐殺の当事者がルワンダ社会の中枢に多く残っている今、虐殺のような歴史的な悲劇を総括することは容易ではない。
今回の5金スペシャルでは、第1部で『アクト・オブ・キリング』を通してインドネシアの「9.30事件」から現在までの実相を、そして第2部では『100DAYS』から見えてくるルワンダ虐殺を取り上げて、それぞれのゲストともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so23675906
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・「罪」と「責任」の違いと韓国ドラマのすごさ
月の5回目の金曜がある週に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今週は劇映画を1本、アニメを1本、テレビドラマを1本取り上げたのに加え、マル激史上では初となる韓国ドラマ大特集をお送りする。
最初に取り上げた映画は7月30日公開の『アウシュヴィッツ・レポート』。
ホロコーストをテーマにした映画は毎年のように作られるが、この映画はスロバキア、チェコ、ドイツ3か国の合作によるもので、歴史を記録し伝え続けることの重要さを、実話を基に力強く表現した作品だ。
本編で描かれている、アウシュヴィッツに収容された2人のスロバキア系ユダヤ人の命を賭した行動と、彼らを逃がすためにいかなる懲罰をも厭わない勇気ある囚人仲間達の犠牲がなければ、今日われわれは「ホロコーストなどフィクションだ」といった言説に容易に流されてしまっていたかもしれない。それを身を以て痛感させてくれる。
ナチス政権下のドイツは歴史上類を見ない非人道的罪を犯したが、単に一度謝罪して当事者が訴追されればその罪から開放されるのではなく、未来永劫その責任(responsibility)を取り続ける姿勢を見せることによってのみ、自分たちの過去から解放され、国際社会の尊敬を集めることができると説いたワイツゼッカー元大統領の演説の意味を想起した時、こうして毎年のように質の高いホロコースト映画が作られ続けていることの意味を日本人としても改めて考え直してみたい。
その他、今人気公開中の『竜とそばかすの姫』、元々テレビで放送され現在Netflixで公開されている『微笑む人』を通じて、日本のアニメやドラマの現在地を確認した。
さらに今回はマル激としては初めて、韓国ドラマを取り上げた。コロナの「ステイホーム」によって自宅で映画を見る習慣が急速に広がった2020年、Netflixで人気トップ10に何と韓国ドラマが5作品もランクインした。『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』、『青春の記録』、『キム秘書はいったい、なぜ?』の5つだ。2021年の通年ランキングはまだ出ていないが、今年に入ってからも既に『ヴィンチェンツォ』、『わかっていても』などが大ヒットを飛ばしていてランク入りは間違いない状況だ。韓国語をマスターしていない日本人にとって韓国ドラマは字幕を読む手間もかかる。Netflix上には欧米、とりわけ今や大物俳優を惜しみなく起用するようになったハリウッド映画も数多くあがっている。もちろん日本でヒットしたテレビドラマなども多数ある。そうした中にあってなぜ韓国ドラマがこれほどまでに人気を博しているのか。
実際にこれらの作品を見てみると、単純に作品としての完成度が高いことに加え、ストーリー構成の巧みさ、一見くだらなそうに見えて誰もが思わず笑ってしまうようなギャグの挟み方の絶妙さ等々、確かに韓国ドラマのレベルは高い。問題はなぜ韓国がここまで質の高いコンテンツを提供できているのに、日本がそれに太刀打ちできる魅力的な作品を作れていないのかだ。2020年のNetflixのランキングを見ても、トップ10入りした日本の作品は「嵐」の活動を追ったプロモーショナルなドキュメンタリーとアニメ3作品と「テラスハウス」だけで、ドラマや映画は一つも圏内に入っていない。
今週の5金スペシャルではジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、『アウシュヴィッツ・レポート』、『竜とそばかすの姫』、『微笑む人』の3作品と、韓国ドラマ特集として『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『ヴィンチェンツォ』の3作品を取り上げて、それぞれの作品の評価と日本の映画やドラマの現在地について議論した。
また番組冒頭では、感染者数がこれまでの最多記録を塗りかえた新型コロナの最新状況と五輪の関係、基準さえ曖昧な「感染者数」のみを発表し続け、これに一喜一憂するメディアの愚、「緊急事態宣言が出ても感染者が減らない以上、政府に強制力のある権限を与えるべき」とする主張の欺瞞などについても議論した。
後半はこちら→so39111337
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>「結婚は個人の尊厳に関わる基本的な権利」
結婚は個人の自律と尊厳に関わる基本的な権利。同性というだけでこれを認めないことは、憲法の平等原則に反する。
最高裁判所が6月26日、すべての州で同性同士の結婚を正式な婚姻と認める判断を言い渡して以来、アメリカでは同性婚カップルの結婚ラッシュが起きているという。
それまでも全米50州のうち37州とワシントン特別区(DC)では法的に同性婚が認められていたが、残る13の州では同性婚は禁じられていた。
この日の判決でオハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシーの4つの州の同性婚を禁じる州法が違憲と判断されたことで、アメリカでは全州が同性婚を法的に認めることが義務づけられることになった。
最高裁は9人の判事のうち5人が、州法で同性婚を禁じることは、法の正当な手続き(Due Process of Law)によらずに、いかなる個人の生命、自由または財産を奪ってはならないことを定めた合衆国憲法第14修正条項に違反するとものと判断した。・・・・
米最高裁はどのような法理をもって、同性婚を合憲と判断したのか。日本にも影響を及ぼし得る米最高裁の歴史的判断の背景について、憲法学者の木村草太とジャーナリストの神保哲生が議論した。
<マル激・後半>日本の何が揺らいでいるのか
今週のマル激は、被災地を取材中の神保哲生に代わり青木理と宮台真司が司会を務め、前半は識者の電話出演を交えた福島原発事故の解説、後半は神保の被災地現地報告の二部に分け、東北関東大震災の最新情報を18日22:50より生放送でお伝えした。
原子力工学、原子力政策に詳しいNPO環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、使用済み燃料を水中に沈めるのが肝心であり、自衛隊の放水は外から水を掛けるだけのため、「壮大な焼け石に水作戦」で茶番だと言う……。
前福島県知事の佐藤栄佐久氏は、地震・津波による被害は天災としか言いようがないが、原発事故は「人災」だと断じる。
前半はこちら→so13897973
<ニュース・コメンタリー>岐路に差し掛かった今こそ地域密着型発電の推進を
福島第一原発の事故を受けて、再生可能エネルギーを推進する目的で設置された固定価格買い取り制度が、大きな岐路に差し掛かっている。
先月、九州電力など電力5社が突然、大規模太陽光発電所などとの契約手続きの中断を発表した。事業者に対する説明会では、唐突な決定に怒号が飛び交うなど、混乱の様相を呈した。
そうした事態を受けて、経産省が10月15日、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の抜本見直しに向けた素案を有識者会議に示すなど、波紋が広がる一方だ。
混乱の背景には、特に九州や北海道で、当初の予定を大きく上回る量の再生可能エネルギーの発電事業が起ち上がったために、送電網の独占を前提に電力の買い取りを義務づけられた電力会社の対応能力を超えてしまったという事情がある。
電力会社は天候や時間によって大きく変動する再生可能エネルギーの比率が多くなり過ぎれば、系統と呼ばれる送電網が不安定になり、停電などの問題が生じかねないと主張するが、とはいえ日本における再生可能エネルギーの全電力に占める比率はせいぜい3%程度。再生可能エネルギーのシェアが2割ほどあるドイツやスペインの系統では問題が起きていないにもかかわらず、なぜ日本だけが僅かな変動電源を消化できないのか。
公共学が専門で地方自治体の再生可能エネルギー推進を手がける元千葉大講師の馬上丈司氏は、今こそ、日本は何のために再生可能エネルギーを推進してきたのかを再確認すべきだと主張する。
馬上氏に5電力の買い取り保留の問題点と、今後の展望を聞いた。
【4月20日】ニュース探究ラジオ Dig【コメ付】①
2010/04/20(火)21:30より、ビデオニュースちゃんねるch444にて放送された、同タイトル生放送lv15409737録画分です。
概要:前半=枝野行政刷新担当大臣、事業仕分け目前にして、事業仕分け対談。
後半=河野太郎自民党衆議院議員、おだち源幸民主党参議院議員仕分け人担当、山田宏杉並区長・日本創新党党首、事業仕分け対談。
Dig | TBS RADIO 954kHz=http://www.tbsradio.jp/dig/2010/04/post-22.html
枝野幸男オフィシャルサイト=http://www.edano.gr.jp/
行政刷新会議=http://www.shiwake.go.jp/
河野太郎=http://www.taro.org/
おだち源幸=http://odachi.info/
山田宏杉並区長公式ブログ=http://www.yamadahiroshi.com/blog.shtml
②→sm10546174
仕分けタイムシフト=Aグループlv15364353、Bグループlv15364715
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・13年度版自殺対策白書
若者の自殺を減らしていくには
・いじめ防止対策推進法は「いじめ隠ぺい促進法」だ
<ニュース・コメンタリー>福島第一原発は今どうなっているのか/田中三彦氏(元国会事故調委員・科学ジャーナリスト)
原発がなかなか総選挙の争点になりにくいと言われる。その理由として、有権者の多くが、目先の景気や雇用、社会保障といった生活に直結する問題により大きな関心を寄せるためだ、と説明されることが多い。
しかし、同時に3年前の事故直後には原発についてあれだけ多くの情報がもたらされ、自ずと原発問題への関心は高まった。ただ、事故を起こした福島第一原発も収束とは程遠い状態にあり、依然として12万人もの人々が避難生活を強いられている状況が続いているにもかかわらず、マスメディアが原発の問題を取り上げる機会は日に日に減ってきている。世論調査で総選挙の争点を問うた時、原発への関心が低いには、ある意味で当然の結果と言えるだろう。
そこで総選挙を約1週間後に控えた今、ビデオニュース・ドットコムではあえて「原発問題の現状」を取り上げることにした。
その一環として、そもそも福島第一原発が今どのような状態にあるのかを、元福島第一原発電所4号機の原子炉圧力容器の設計者で、その後、国会事故調の委員を務めた科学ジャーナリストの田中三彦氏にジャーナリストの神保哲生が聞いた。
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・電気事業会計の改正は粉飾以外の何物でもない
電話:大島 堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)、
細野祐二氏(公認会計士)
・消費税増税前にやるべきことはどうなった
<ニュース・コメンタリー>最高裁裁判官国民審査のポイント/木村草太氏(首都大学東京教授)
10月22日は衆議院の総選挙と同時に、最高裁判所の裁判官の国民審査が行われる。
制度上、最高裁の裁判官は、任官後の最初の選挙で審査にかけられることになっているため、十分な判断材料が揃っていない裁判官も少なくない。
とは言え、今回は選挙の直前の9月27日に最高裁が参議院の一票の格差で「合憲」の判断を下しており、今回審査対象となっている裁判官はいずれもこの判決に関与しているので、こと一票の格差問題を争点に判断をするのであれば、非常にわかり易い判断材料がある。
この判決では、今回審査対象となっている裁判官の中では、外務省出身で学者枠の林景一裁判官のみが、「違憲状態」の判決を下している。審査対象となっている他の裁判官はいずれも多数意見に従う「合憲」判断だった。
もっとも、今回審査対象となっていない山本庸幸裁判官はこれまでの一票の格差訴訟同様に堂々と「違憲・無効」判決を書いているので、それと比べれば林裁判官の「違憲状態」も甘い判決と言えないことはない。とは言え、他の裁判官が3倍を超える投票価値の差を「合憲」とする多数意見に従っているのに比べれば、投票価値の差は2倍を超えるべきではないとの考えを意見書で明確にしている林裁判官の立場は、審査の対象となる裁判官の中では際立っていた。
その他、今回の番組では「2015年参院選の一票の格差」、「2014年衆院選の一票の格差」、「民法の夫婦同姓規定」、「民法の6か月の再婚禁止期間」、「令状なしのGPS捜査」、「厚木基地騒音飛行差止請求」、「森友学園問題の電子データ保全請求」、「辺野古埋め立て承認取り消し」などの判決を取り上げ、各事件の争点と判決内容を解説するとともに、今回の審査対象となっている裁判官の立場を明らかにした。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>ガザのジェノサイドを黙殺してはならない/岡真理氏(早稲田大学文学学術院教授)
ガザで今、何が起きているかを知りながら何もしないことは、加害者に加担することと同じだ。アラブ文学が専門でパレスチナ情勢に詳しい早稲田大学文学学術院教授の岡真理氏がこう語り、日本のマスコミ報道や市民社会の姿勢に対する苛立ちを露わにする。
実際、ガザでは毎日100人以上の一般市民がイスラエル軍によって殺されている。そしてその大半は何の罪もない子どもたちだ。
しかも、イスラエルによる電気や水、食料などの封鎖により、230万人のガザの市民生活は崩壊の淵に瀕している。パレスチナ自治区ガザ地区の保健省は3月21日、昨年10月戦闘開始以降のガザ側の死者が3万1988人にのぼると発表した。また、国連の世界食糧計画(WFP)は3月18日、ガザの人口の半分に相当する111万人が飢餓のリスクに晒されるとの見通しを明らかにしている。
にもかかわらず、日本ではガザの惨状はほとんど報道されなくなっている。メディアはドジャースの大谷翔平の通訳の賭博問題に多くの時間を割く一方で、爆撃のみならず栄養失調や劣悪な衛生環境が原因で日々、多くの子ども達が死んでいる現実をほとんど報じていない。
しかし、岡氏が指摘するように、イスラエルは意図的にすべてのインフラを停止し、病院を次々と爆撃して破壊している。パレスチナの市民を根絶やしにしようとしているとしか思えない。これは21世紀のジェノサイドに他ならない。ジェノサイドを放置することは、人類史に汚点を残すことになる。
イスラエルは10月7日のハマスの「テロ行為」に対する報復を主張し、西側先進国は自衛権を理由にイスラエルの攻撃を容認してきた。しかし、そもそもこれが10月7日のハマスによる攻撃の報復であるという受け止め方自体が、パレスチナの歴史をまったく理解していないことの反映だと岡氏は言う。
元々イスラエルは建国当初から、パレスチナの地からパレスチナ人を放逐して、ユダヤ人だけの国家建設を目指していた。それが今日、665万人ものパレスチナ難民を生んでいた。更にイスラエルは2007年、ユダヤ人入植者とイスラエル軍をガザから完全撤退すると同時に、ガザを完全封鎖した。以来ガザは「世界最大の野外監獄」と言われるような状態が続き、ガザの人々は自治権を認められないまま、生殺与奪をイスラエルに握られた中で暮らしてきた。元々農業や漁業で生計を立てる人が多い地域だったが、農産物の域外への販売は制限され、漁業水域も大幅に限定されたため、ガザは経済的に成り立たない状態に陥った。失業率も46%にのぼる。
まさに生き地獄と表現されるような状況の下で、しかも国際社会がまったく助けてくれない中、侵略者イスラエルに対する抵抗権の行使としてハマスは奇襲攻撃を行った。それに対する報復が今も続いているイスラエルのガザに対する軍事攻撃だ。
今回のハマスの奇襲攻撃とイスラエルによる軍事侵攻を正しく認識するためには、そもそもイスラエル建国時の1947年の国連分割決議の矛盾点にまで立ち返る必要があると岡氏は言う。
ナチスのホロコーストを生き延びたものの帰るところがなくなったユダヤ人難民が戦後、ヨーロッパに大量に生まれた。戦争に勝利して新たな国際秩序を構築しなければならない連合国側にとっては、彼らをどうするかが戦後処理の最大の課題の一つだった。そこで連合軍や国連は、パレスチナの地に帰ろうというパレスチナ人のシオニズム運動を利用しようと考え、1947年11月、国連総会でパレスチナの土地を2つに分割し、イスラエルに57%の土地を与える決議が採択された。それが1948年のイスラエル建国につながっていった。しかし、これはホロコーストを止められなかったことの贖罪とヨーロッパのユダヤ難民問題の解決を、まったく関係のないパレスチナ人に全て押し付けることを意味していた。
国連決議当初から、このような分割案は決してうまくいかないという批判があった。特に、このような案ではパレスチナ側の生存権が守られないとの指摘が根強かった。しかし、世界が冷戦体制に突入する中、アメリカとソ連はパレスチナ問題やユダヤ難民問題に深く関与している余裕はなく、結果的にすべての負担をパレスチナに押し付けることで、無理矢理この問題の解決を図ってしまった。
国連安保理は3月22日、アメリカが提案したパレスチナ自治区ガザの即時停戦を呼びかける決議案を中国、ロシアの拒否権によって否決した。結局、イスラエルの軍事行動はまだ止まらないということだ。そして、ガザの市民の犠牲はこの先も増え続けることになる。
「われわれに何ができるか」との問いに、岡氏は「できることは何でもしなければならない」と答えた。罪のない人命が失われていることを知りながら、これを黙って見ていることは、われわれが何よりも大切にしなければならない人権という価値観を自らの手で日々、破壊していることになる。
まずはガザで今何が起きているのかを知り、そのような惨劇が起きている歴史的な背景を知った上で、日本が、そしてわれわれ一人一人が何をすべきかなどについて、岡真理氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の吉見俊哉が議論した。
後半はこちら→so43565914
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・立憲主義と「決めるのは私」の問題点
・人質司法が変わるまで死刑の執行は停止すべき
<マル激>沖縄密約と普天間移設問題の接点/我部政明氏(琉球大学法文学部教授)
日米密約問題に関する外務省有識者委員会の調査報告書が9日に公表され、4つの密約のうち3つが「密約」と認定された。今回確認された沖縄返還の際の現状回復費負担をめぐる密約の存在を最初に暴き、沖縄密約訴訟原告団の一人でもある琉球大の我部政明教授に、日米密約と沖縄の基地問題の深い関わりを聞いた。
警視庁公安部資料の拡散はいかにして起きたか/高木浩光氏(産業技術総合研究所主任研究員)インタビュー
海上保安官による尖閣ビデオ流出問題に注目が集まっていた10月末、警視庁公安部外事三課、警察庁、愛知県警が作成したと見られる文書114点がインターネット上に流出した。国際テロ組織の調査やテロの未然防止を担当する警視庁公安部外事三課の資料と見られる文書には、捜査員の顔写真や捜査協力者の氏名などの個人情報、監視対象とその記録など秘匿性の高い情報が含まれていた。本来外に漏れることがあってはならない機密文書の流出、拡散はいかにして起きたのか。
当初、これはウイルス感染などによりファイル共有ソフトWinnyのネットワークに流出した「事故」だと見られたが、事故の際に起きる特徴が見られないことから、「意図的な流出」であるという見方が強まった。さらに、産業技術総合研究所の高木浩光主任研究員の解析では、そもそも文書を入手した経路は不明だが、故意に文書を流出させた人物は、ルクセンブルクのサーバを経由してWinnyに接続して流出できるようにし、さらに「WikileaksJapan」と名付けたブログを開設してファイルを転載、Twitterのアカウントも作成し、ファイルの存在を知らせようとしていることがわかった……。
情報セキュリティの専門家である高木氏に、史上最悪の事態ともいわれる警視庁の内部情報がいかに拡散していったか、その経緯を神保哲生が聞いた。
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・「左翼のクソ」に「シャラップ」
日本で要人の失言が相次ぐわけ
・混合診療の解禁はいいことずくめか
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・3事故調の元委員長が揃って政府の原発政策を批判
・遠隔操作ウイルス事件続報
見えてきた検察の作戦と裁判所がそれに取り込まれる危険性 ・3事故調の元委員長が揃って政府の原発政策を批判
・遠隔操作ウイルス事件続報
見えてきた検察の作戦と裁判所がそれに取り込まれる危険性
<マル激・前半>5金スペシャル・映画が描く人工知能と人間のこれからの関係/栗原聡氏(電気通信大学大学院教授)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回は「人工知能」をテーマにした映画を取り上げながら、急速に進歩する人工知能(AI)がわれわれ人間の未来にどのような影響を与えるかを考えた。
今回取り上げた作品は、日本では今春公開される『オートマタ』、2014年公開の『トランセンデンス』、同じく2014年公開で『her 世界でひとつの彼女』の3本。いずれも人工知能の進歩によって、人間の社会や日々の生活が大きく影響を受けている様子を描いている作品だ。
2044年の未来を舞台に、人工知能と人類のサバイバルを賭けた戦いを描いたアントニオ・バンデラス主演の『オートマタ』は、人工知能ロボット「オートマタ」の製造時に、「人間への危害を加えないこと、ロボットを改造しないことの2条件をプログラムに組み込むことで、ロボットが自らを進化させ、やがては人間に歯向かうような事態は避けられるはずだった。そのおかげで、人工知能が人間の仕事の多くを代替するようになり、一見、人間とロボットの平和な共存が確立されているように見えた。
しかし、自らを改造する能力を持ったロボットが出現し、物語はその改造主が誰かを突き止めていくというストーリーに沿って展開する。
ロボットが人間にとって脅威とならないことを確実なものにするためには、ロボットのプログラムに組み込む2条件のセキュリティを、決して人間の力では破られないような強固なものにしなければならない。そのために人間はどうしてもロボットの力を借りる必要があった。そこに大きな落とし穴があった。・・・・
人工知能の進歩は人間の社会をどのように変えるのか。人間よりも優れたロボットの登場で、人間らしさの意味は変わるのか。人工知能をテーマに描かれた『オートマタ』、『トランセンデンス』、『her 世界でひとつの彼女』の他、『2001年宇宙の旅』、『Lucy』なども参照しつつ、ゲストの栗原聡氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。後半はこちら→ so28112088
<マル激・後半>5金スペシャル 自分探しを始めたアメリカはどこに向かうのか/町山智浩氏(映画評論家)
今回の5金は久々の映画特集。ゲストに町山智浩氏を迎え、「ウインターズ・ボーン」「アザー・ガイズ」「フェアゲーム」「カンパニーメン」の4本のアメリカ映画を通じて見えてくる、アメリカの今とその向かう先を議論した。
1本目は宮台氏イチオシのウインターズ・ボーン。アメリカの山岳地帯に今も残るヒルビリーと呼ばれる人々が住む隔絶された部族社会の中で、17歳の少女が家族を守るために、村の掟に背いて姿を消した父を捜し求め、戦い続ける姿を感動的なタッチで描いたもの。叩かれても叩かれても挫けない少女の逞しさに、現在の経済的な逆境に立ち向かうアメリカの意気込みが重なる。
2本目はアザー・ガイズ。一見、刑事モノのドタバタ喜劇のようだが、よく見ると随所に既存の刑事映画の揶揄がちりばめられていたりする。TVの人気お笑い番組「サタデーナイト・ライブ」の名コンビであるアダム・マッケイ監督と主演のウィル・フェレルによる一段上の笑いを誘ってくれる作品だが、悪者には拳銃をぶっ放しておけば事が済んでいたこれまでのアメリカからは、一皮剥けた、あるいは一皮剥けようとしている印象が伝わる…。
政治、経済、社会の各方面でいま懸命に自分探しをするアメリカの姿を浮き彫りにする4作品を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、映画評論家の町山智浩氏と語り合った。
前半はこちら→so15782327
<マル激>普天間問題のボタンのかけ違いはここから始まった/大田昌秀氏
沖縄県知事時代、米軍用地の強制収容の代理署名を拒否して沖縄の意思を明確に示した大田昌秀氏。しかし、普天間移設問題はその後迷走を始める。なぜ普天間の返還問題がこのようにこじれたのか。
普天間返還合意の舞台裏とその底流にある中央政府と沖縄の微妙なパワーポリティクスの実情を聞く。
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・安倍政権中枢による暴言が止まらない
・エネルギー基本計画案は自民党の選挙公約を満たしているか
河野太郎衆院議員に聞く
・ロシアは日本の友好国になり得るか
パンクバンドの抗議行動にムチで制裁
<ニュース・コメンタリー>裁判に負けてでも外務省がどうしても隠したかったこと/三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス理事長)
日米地位協定の運用方法を協議する秘密会議「日米合同委員会」の議事内容の情報公開請求をめぐる争いが、予想外の展開を見せ、関係者を驚かせている。
日米合同委員会に関連した情報の公開を求め、国と争ってきたNPO「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、2018年3月2日、司法記者クラブで記者会見を行い、国が日米合同委員会の議事録を公開できない根拠としてきた、米政府側から議事録を非公開とするよう要請があったとする主張を撤回したことを明らかにした。
三木氏によると、撤回の理由として国は、議事録の非公開を求める米側からのメールの提出を裁判所から命じられる可能性があり、それを回避するためにはその主張自体を取り下げる必要があると判断したためと説明しているという。
日本の国内法の適用が免除されている在日米軍の軍人やその家族、軍属の法的地位は、日米地位協定によって規定されている。しかし、実際の運用に際しては、彼らの超法規的な地位と、日本の法律に拘束される日本国民との間に様々な矛盾や利害衝突が生じることが多い。そのため、地位協定の具体的な運用方法を日米の代表者間で協議する目的で、1960年の地位協定の発効と同時に設けられた場が、日米合同委員会だった。
日米合同委員会は、日本側は外務省北米局長が、米側は在日米軍副司令官が代表を務め、その下に在日米軍と日本政府のエリート幹部らが36の分科会や委員会に分かれて協議の場が設けられている。月2回のペースで外務省本庁と都内の米軍施設「ホテルニュー山王」で交互に開催され、その内容は非公開とされ秘密のベールに包まれている。しかし、政府が国民に説明したものとは異なる「密約」が多く含まれていることが、米側で情報公開請求を行った研究者らによって明らかにされており、問題となっている。
情報公開クリアリングハウスは2015年4月、国に対し、日米合同委員会の議事録が非公開とされる根拠となっている日米間の合意文書の開示を求め、情報公開請求を行った。それを非公開としていることの根拠が公開されなければ、そもそもそのような合意が存在すること自体が確認できないからだ。
少しややこしい言い回しになるが、「非公開とされている根拠を公開せよ」と求めたわけだ。日米合同委員会では日米間の安全保障に関わるデリケートな問題も議論されていると考えられるため、議事録全ての公開は無理だとしても、安全保障と直接関係がなく、日本国民の生活への影響が大きな分野での合意までが完全に非公開とされていることに違和感を覚えるのは自然なことだろう。・・・
国はなぜ裁判に負ける危険を冒してまでメールの提出を拒むのか。そもそも会議の実質的な内容とは関係のない、形式的な文書さえ頑なに公開を拒む国の姿勢の背景には何があるのか。日本では「アメリカから言われたこと」の方が、裁判所からの命令よりも優先するのか。情報公開クリアリングハウスはなぜ、国を相手取り情報公開請求や国家賠償請求を行うのか、などについて、三木氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。6月以来の3か月ぶりとなる今回は、前半で解散総選挙や民進党の事実上の解党に揺れる政局を議論し、後半にこのロクでもない世界を描いた映画を5作品取り上げた。
前半は民進の希望合流でポッカリと空いた穴は誰が埋めるのかについて議論した。今回は政治の立ち位置を縦軸に自由と再配分を上下に、横軸には市民参加と権威主義を左右に配置したマトリックスを描いた上で、その4象限の上で民進党の希望の党への合流がどこからどこへの移動を意味するかなどについて考えた。
これは世界的な潮流でもあるが、日本の政治もいよいよ、再配分をしない権威主義、すなわち上記の4象限の右上の象限に政治勢力が固まってきてしまったようだ。問題は元々左下、すなわち再配分と市民による参加主義を謳ってきた民進党が、自民党と同じ右上に位置する希望の党に吸収されることで、左下、すなわち弱者への再配分を主張し、何事も政府主導で決めるのではなく、市民参加を促す象限に位置する政治勢力が事実上いなくなってしまうことだ。辛うじて社民党と自由党がそのような主張をしているが、如何せん政治勢力としては弱小すぎる。
ちなみに自民党はかつては再分配を謳う権威主義政党だったが、小泉改革以降は小さな政府を謳い再分配に消極的な権威主義という意味で、右下から右上に移動している。また、共産党は再分配は主張するが、横軸では権威主義側に位置付けられる。左上の政府の権威も認めず、再分配も求めない象限はリバタリアンとなる。
民進党の希望への事実上の吸収合併は、左下のいわゆるリベラル勢力と呼ばれる勢力が日本の政治から消えることを意味する。これは日本の政治にどのような影響を与えることになるかをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半は、ロクでもない世界を独自の視点から描いた「サーミの血」「エル ELLE」「三度目の殺人」「砂上の法廷」「散歩する侵略者」の5つの映画作品を取り上げた。
後半はこちら→so32014553
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)