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<マル激・前半>5金スペシャル・20世紀の知の巨人・チョムスキーとの対話
5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャル。
今週はジャーナリストの神保哲生が、「20世紀の知の巨人」として知られる言語学者のノーム・チョムスキー教授をアメリカに訪ね、ロングインタビューを敢行。その内容をスタジオで社会学者の宮台真司とともに徹底解説・議論した。
チョムスキー教授はトランプ政権の誕生を「予想外だった」としながらも、「アメリカ政治においては、メディアから支援され、富裕層や権力者の利益を守ると公言した億万長者が大統領選に勝利すること自体は、それほど驚くべきことではない」として、トランプの本質は既存の秩序の破壊者のような顔をしながら、その実は既得権益を守るだけの扇動家・誇大妄想家に過ぎないと喝破する。
また、トランプ政権の誕生やブレグジットに代表される右傾化やポピュリズムの台頭については、「40年にわたる新自由主義の台頭によって民主主義が繰り返し攻撃を受けてきたことに対する市民社会の反動」との見方を示した上で、今こそ真の民主主義の実現のために力を尽くすべき時だと語った。
チョムスキー教授はまた、核兵器の大量保有や温室効果ガスの大量排出によって人類が自らを含む地球の運命を左右するまでの力を持つようになった時代が、地質学上の「人新世」と呼ばれるようになっていることを重視した上で、「人新世」の人類の責任についても警鐘を鳴らした。
後半はこちら→so33788057
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>集団的自衛権合憲論の妥当性を問う/木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)
現行の憲法の下で集団的自衛権の行使は可能であり、安倍政権が進める安全保障関連法案も「合憲」と主張する憲法学者の西修駒沢大名誉教授と百地章日本大教授が6月19日、日本記者クラブで記者会見を行った。
両氏は、集団的自衛権の行使が合憲であることの理由として、日本も加盟している国連の国連憲章51条で集団的自衛権の行使が認められていることや、憲法には集団的自衛権の行使を禁止することが明文化されていないこと、砂川事件判決で最高裁が集団的自衛権の行使を否定していないことなどをあげた。
日本の憲法学者の間では絶対的な少数派と見られている集団的自衛権容認論者の西、百地両氏の主張を検証するとともに、その根拠をどう評価すべきかについて、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が、憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太氏と議論した。(木村氏は電話での出演。)
<マル激・前半>NATOの拡大で変わる欧州の安全保障と日本が考えるべきこと/遠藤乾氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
昨年のフィンランドに続き、スウェーデンが今年3月7日、NATO(北大西洋条約機構)に加盟した。200年以上も非同盟中立を守ってきたスウェーデンの方針転換はヨーロッパの安全保障のあり方を根底から変えるかもしれない。
元々ロシアのプーチン大統領にとって、ウクライナへの軍事侵攻はNATO東方拡大への対抗の意味合いを持っていた。しかし、結果的に侵攻によってNATOが益々拡大することになった。遂にNATOという軍事同盟は、フィンランドの1,500キロに及ぶロシアとの国境を隔てて、ロシアと直接向き合うことになってしまった。
東京大学大学院法学政治学研究科教授でヨーロッパの安全保障に詳しい遠藤乾氏は、ロシアによるウクライナ侵攻がなければスウェーデン、フィンランドがNATOに加盟することはなかったという意味では、ロシアのオウンゴールのようなものだという。その上で、ロシアと近接しながらこれまでNATOには加盟せずに「ノルディックバランス」を保ってきた両国が加盟に踏み切った最大の理由は、ウクライナに対するプーチンによる核の脅しだったという。核兵器の使用も辞さないプーチンの姿勢を目の当たりにして、もはやNATOの核の傘に入らなければ自国の安全を保てないとの確信を得たことが、NATOへの加盟を後押ししたと遠藤氏は指摘する。
結果的にスウェーデンとフィンランドがNATOに加盟したことにより、バルト海はNATO加盟国に取り囲まれることになった。これまではEUには加盟してもNATOとは一定の距離を置いてきたスウェーデン、フィンランドの両国がNATOに加盟したことで、EUとNATOの版図がほぼ一致することになり、結果的に東西の境界がより鮮明になった。また、NATOという軍事同盟がNATOを脅威に感じるロシアと直接向き合うことになったことで、自ずと欧州の軍事的緊張は高まることが避けられない。
さらにここに来て大きな問題となっているのが、NATOの盟主であるアメリカが果たしてNATOにとどまり続けるかどうかが怪しくなっていることだ。11月の大統領選挙で実際に再選される可能性が出てきているトランプ前大統領は、度々NATOからの脱退も仄めかしてきた。NATOというアメリカを中心に形成された同盟体制が、スウェーデンとフィンランドの加盟でより盤石になったように見えても、アメリカが抜けてしまえば、すべての前提が崩れてしまう。
遠藤氏はアメリカ抜きのNATOで各国が足並みを揃えてロシアに太刀打ちすることは難しいだろうと語る。アメリカの動静次第では、欧州の安全保障が第二次大戦後もっとも視界不良な時代に突入する可能性が出てきているのだ。
一方で、今週、訪米中の岸田首相が米連邦議会で演説を行ったが、その中で首相は、日本がアメリカと肩を並べて世界秩序の維持に邁進する覚悟があると大見得を切った。また、日本はグローバルな秩序の維持にもアメリカと一緒になって取り組むとまで約束している。国賓待遇で歓待してくれているアメリカへのリップサービスの面があるにしても、いつ日本はそんなことを決めたのだろうか。そもそも憲法の制約がある中で、そんな空手形を切って大丈夫なのか。バイデン大統領から日本が最重要な同盟国などと持ち上げられて喜んでいる首相のはしゃぎ過ぎが心配だ。
欧州の安全保障も東アジアの安全保障も、結局のところ20世紀の大半で圧倒的な優位性を誇っていたアメリカの力が相対的に落ちているところに問題がある。そうした中で日本は引き続きアメリカ一辺倒の外交政策を続け、かつてアメリカが果たしてきた軍事的な役割を世界規模で肩代わりするところまでやるつもりなのか。その力が日本にあるのか。それが日本の真の国益に適うことなのか。今一度厳しく検証する必要があるだろう。
中立を保ってきた北欧諸国が軍事同盟に参加することで欧州の軍事バランスはどう変わるのか。「もしトラ」が実現しアメリカが再び極端な孤立主義路線に転じた時、欧州や日本の安全保障はどうなるのかなどについて、東京大学大学院法学政治学研究科教授の遠藤乾氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so43655579
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>こんな総裁選をやっていて自民党は変われるのか/角谷浩一氏(政治ジャーナリスト)
事実上次の総理大臣を選ぶことになる自民党の総裁選は10日、国民の間で人気の高い河野太郎ワクチン担当相が正式に出馬を表明し、既に出馬を表明している岸田文雄元外相、高市早苗元総務相を含め3人の候補者が出揃った。
各候補とも記者会見で自らの政策を語ったが、安倍政権以来の課題となっている森友・加計学園問題や桜を見る会の再調査の必要性については、いずれも否定的な考えを示した。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は党の主流派の支持を得るために、各候補とも自説を封印しており、候補者間の政策の違いが見えなくなっているとした上で、過去2代にわたり政権が倒れた直接の原因となっているコロナ対策と党改革について、どの候補も踏み込んだ主張ができていないと指摘する。
メディア上で異なる主張を展開している石破茂元幹事長は、依然として出馬については沈黙を続けている。
自民党総裁選の見通しについて長年総裁選を取材してきた角谷氏にジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
マル激(2009年05月30日)
NEWS部分のみ 本編は ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ (公式HPにて無料放送中)
<ニュース・コメンタリー>あれだけの不祥事があっても検察はまったく変わっていなかった・元検事郷原信郎氏が美濃加茂市長を起訴した検察を厳しく批判
元検事で現在弁護士として活動している郷原信郎氏は、古巣の検察をこよなく愛している。しかし、その郷原氏の目から見ても、このたびの藤井浩人美濃加茂市長の逮捕・起訴は一度動き出したら「引き返すことができない検察」の姿を如実に現しているという。残念ながら検察は変わっていなかった。
愛知県警と名古屋地検は、史上最年少の市長として全国的に名を知られる30歳の藤井浩人美濃加茂市長を収賄容疑で逮捕・起訴し、現職の市長ながら62日間にわたって勾留した。しかし、藤井氏の主任弁護人に就いた郷原氏は、その容疑はあまりにも裏付けが弱く、とてもではないが現職の市長を逮捕、起訴することが正当化される類いのものではないと言い切る。
警察・検察が描く事件の構図はこうだ。
藤井市長が市議だった2013年、氏の強い働きかけにより、藤井氏の出身中学校に雨水濾過機設置が設置された。あくまで社会実験ということで、市から料金の支払いなどは行われていないが、それを納入した名古屋市の浄水設備業者「水源」の中林正善社長は、それをモデル事業として提示することで、全国の自治体に雨水濾過装置の営業をかけていたという。
その中林社長が2014年の2月と3月に別の詐欺容疑で逮捕され、その取り調べの過程で藤井市長に賄賂を渡していたと供述した。これを受けて愛知県警・岐阜県警による合同捜査本部は藤井氏が市議時代に中林氏から現金30万円を2回に分けて受け取った疑いがあるとして事前収賄容疑などで逮捕した。
藤井市長自身は市の担当課長に浄化設備の導入を促していたことなどは認めているが、金銭の授受は一切なかったと主張している。藤井氏自身が東日本大震災で被災地が水に困っている様を見て、雨水濾過装置は非常時に市民の役に立つものと考え、その導入を積極的に働きかけたことは認めているので、この事件での唯一の争点は金銭の授受の有無ということになる。・・・
裁判の結果がどうなるかは判決まではわからない。しかし、郷原氏によると公判前整理手続きでは、これといった決定的な証拠は検察側からは一切提示されなかったという。現金の授受が行われたとされる藤井氏と中林社長とのファミリーレストランでの会食の同席者が、自分は一度もトイレにも行っていないと主張すると、警察・検察は「ドリンクバーにドリンクを取りに席を立ったことはあった」というストリーを無理矢理に作り、何とか金銭の授受が可能だったとする供述を引きだそうとしたという。
美濃加茂市長収賄事件の主任弁護人を務める郷原信郎氏と、美濃加茂市長収賄事件の問題点と日本の刑事司法に蔓延る病理を議論した。
<ニュース・コメンタリー>美濃加茂市長収賄事件・何の証拠もない事件でも無罪を勝ち取るのは容易ではなかった/郷原信郎氏(弁護士)
「被告人を無罪とします」
3月5日午後2時、名古屋城にほど近い名古屋地裁の2号法廷で鵜飼祐充裁判長から藤井浩人美濃加茂市長に対して、「無罪」が言い渡された瞬間、法廷内を一瞬、静寂が襲った。公判をフォローしてきた関係者の間では無罪を予想する向きが多かったが、それでも実際に現職首長を逮捕し、62日間にもわたり勾留した汚職事件で、本当に無罪判決が言い渡されるかどうかについては、「何があっても不思議ではない感」がぎりぎりまで法廷を覆っていた。…
これはいずれも藤井氏が希に見る幸運の持ち主だったことを示している。報道レベルでは無罪判決が当然のような論評もあるようだが、実際はこうした幸運がなければ、藤井氏が無罪を勝ち取ることができたかどうかはわからない。少なくとも裁判所が無罪判決を書くことを、より強く躊躇したことは間違いないだろう。
また、この事件では首長としては日本最年少となる30歳の藤井市長が、62日間の勾留とその間の高圧的な取り調べに耐え、虚偽の自白を行わなかったからこそ、無罪判決を勝ち取ることができた事件でもあった。郷原氏も、もし藤井氏が供述段階で現金の授受を認めていたら、どんなに証拠が希薄であっても、無罪を勝ち取ることは難しかっただろうと語っている。
藤井氏は警察の取り調べで「美濃加茂市を焼け野原にしてやる」とか「こんなはなたれ小僧を市長に選んで」などと、高圧的で暴力的、かつ侮辱的な取り調べを受けたことを証言している。
つまり、この事件は希薄な証拠でも、若い市長を引っ張って締め上げ、周囲の支援者や関係者も軒並み選挙違反で挙げていけば、藤井氏はいずれ自白するだろう。そうすれば、証拠が弱かろうが何だろうが有罪にできるだろうと、警察や検察が、当初は安直に考えていた結果、取り返しの付かないような重大な事態に至ってしまった事件だった疑いが否定できない。安直に考えていた事件が、予想外の市長の頑張りに加え、検察の手の内を熟知する元特捜検事の郷原氏が弁護人に就いたことで、当初の目論み通りにいかなくなった。それでも検察は入手した証拠に合わせて中林氏に証言をさせるべく、「証人テスト」と称して「連日朝から晩まで」(郷原氏)打ち合わせを繰り返したが、結局、後付けのストーリーでは弁護側の立証を覆すまでには至らなかった。
藤井氏に対する高圧的な取り調べも、検察と中林氏との「連日朝から晩まで」の「証人テスト」と称する打ち合わせも、取り調べが可視化されていれば、いずれも容易に防ぐことができるものだ。しかし、法制審議会の答申に基づいた取り調べの可視化案では、可視化の対象は全体の2%に過ぎない裁判員裁判対象事件と特捜事件に限られるため、今回のような汚職事件は可視化の対象にすらなっていない。
さまざまな面で現在の刑事司法制度の問題点を露わにしたこの事件の教訓を、主任弁護人の郷原氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
<マル激・前半>裏金が作り放題の政治資金規正法の大穴を埋めなければならない /上脇博之氏(神戸学院大学法学部教授)、郷原信郎氏(弁護士、元検事)
政界を揺るがしてきた一連の裏金疑獄は、これから最も重要な局面を迎える。そもそも不正を引き起こした法律上、制度上の原因を探り、必要となる法改正をめぐる議論が国会で始まったからだ。
今回の裏金問題は元々、神戸学院大学の上脇博之教授が赤旗の取材を受けた際に、自民党の各派閥が政治資金パーティの収入を正しく報告書に記載していないことを知り、自らも調査を発展させた上で刑事告発したことが全ての発端だった。東京地検特捜部が捜査に着手すると、単なる派閥によるパーティ券収入の不記載や虚偽記載にとどまらず、多額の裏金が議員に還流されていたことがわかり、一大スキャンダルに発展していった。
その上脇氏は、現行の政治資金規正法に基づいて政治家や派閥、政党、政治団体などが提出している政治資金収支報告書は、その中身をチェックすることがとても困難なことを、自らの経験に基づいて強調する。総数にして数百万ページはあろうかという収支報告書はウェブ上で閲覧が可能になっているが、一つ一つのページがデータ化されていないPDF形式で公開されているため、検索をかけたりソート(並び替え)などができない。驚いたことに現行制度の下では、政治資金規正法が守られているかどうかをチェックするためには、数十万から数百万ページはある報告書を一枚ずつ手繰っていくしかないのだ。
上脇氏は膨大な時間をかけて、報道などで各派閥のパーティ券を大量に買っていそうな政治団体の支出と、パーティ券を売っている派閥の収入を突き合わせることで、辛うじて4,000万円あまりの記載漏れがあることを突き止め、これが今回の刑事告発につながった。しかし、赤旗による地道な調査報道と上脇氏による刑事告発がなければ、今も当たり前のように還流や裏金作りが粛々と行われていたことになる。実際、パーティ券の売り上げの還流による裏金作りは少なくとも2005年には始まっていたことが、共同通信によって報道されている。
また、収支報告書は監督する権限を与えられた省庁や第三者機関が存在しないため、実際は報告内容が正確かどうかを誰もチェックしていない状態にあるというのも驚きだ。法律に基づいてどんな規制が設けられていようが、更にその規制をどれだけ強化しようが、最終的にそれが遵守されているかどうかを誰もチェックしていないし、したくてもそれが物理的に困難ということでは、そのような法律は法の体を成していないと言わざるを得ない。これは「ザル法」だとか「抜け穴」だとか以前の問題だ。
他にも現行の政治資金規正法に基づく制度の中で、「最低でもこれだけは変えなければならない」ことを列挙したものが、上脇氏が理事を務める公益財団法人政治資金センターとビデオニュース・ドットコムの人気番組『ディスクロージャー・アンド・ディスカバリー』の司会を務める三木由希子が理事長を務める情報公開クリアリングハウスから「政治にかかわる資金の透明性確保を求める意見書」という形で公開されているが、その内容を見ると、これまで政治資金規正法がいかにザル法だったかを痛感せずにはいられない。
その上で、政治資金の野放図な実態を熟知している上脇氏は、事実上の企業・団体献金の抜け穴となっている政治資金パーティも禁止すべきだし、政党交付金も廃止すべきだと主張する。企業・団体献金そのものには賛否両論があるが、上脇氏が問題にするのは、企業は政治資金収支報告書の提出義務がないため、受け取った派閥や政治団体側が正直にパーティ券収入を報告しない限り、その実態を知る術がないことだ。どこかの企業が記載義務が生じる20万円以上のパーティ券を買っていても、あるいは150万円の上限を超えて購入していても、受け取った側がそれを記載せずにすべて裏金に回していても誰にもわからないことになる。
また政党交付金については、そもそも政治資金の規律を全く守れない政党や政治家に100億円単位の交付金を渡すことは、「盗人に追い銭」であり「依存症患者に麻薬を渡すようなもの」に他ならないからだ。
検事時代に政治家の裏金問題を捜査した経験を持つ弁護士の郷原信郎氏は、今回有権者の期待とは裏腹に裏金を貰っていた議員の摘発が3人にとどまった理由を、「政治資金規正法の真ん中に空いた大穴のため」と説明する。複数の政治団体を持っている政治家が、裏金をどの団体に入れたのかを明確にしない限り、検察は「起訴状が書けない」という刑事訴訟法上の問題が生じる。そのため政治家が政治資金の受け皿として使える団体を一つに限定するなどの法改正が必須だと指摘する。
国会では政治資金規正法の改正案の審議が始まろうとしているが、これまで与党側が出してきた改革案はあまりにもいい加減なものばかりだ。有権者がよほどしっかりしなければ、「私たちはこれからも裏金作りに勤しみます」と宣言されているような改革案でお茶を濁されて終わってしまいかねない。
政治資金規正法はその第一条で、政治を国民の「不断の監視と批判の下」に置くことがその目的であると宣言しているが、上脇氏や郷原氏が提唱する法律の改正案はいずれもそれを実現するためには不可欠なものばかりだ。現行の法律は不断の監視はおろか、まったく監視ができない代物になっている以上、抜本的な改正が待ったなしだ。一刻も早く「金のための政治」を終わらせ、国民のために働く政治を取り戻すためには、有権者のわれわれ一人ひとりが、まずは現行制度の問題点を知ることで、デタラメな改革案に騙されないようにすることではないか。
今回の自民党裏金問題の発端となった告発をした上脇氏と、弁護士の郷原氏、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が、日本の政治に先進国として当たり前の透明性を持たせるために最低限必要となる施策とは何かを議論した。
後半はこちら→so43683908
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>タブーに挑まずに何のためのメディアか/岡留安則氏
タブーなき反権力スキャンダル誌『噂の真相』の休刊から6年。沖縄に居を移した編集長・岡留安則氏は、普天間問題に揺れる沖縄をどう見るか。
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・映画は「時間」をどう描いてきたか
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
3月以来3か月ぶりの5金となる今回は、映画の中で描かれた「時間」の概念に着目し、社会の変化とともに人間にとっての「時間」の概念が変わりつつあることや、そこから見えてくる、これからの時代を生き抜くためのヒントなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
今回、取り上げた映画は以下の9本。
・メッセージ(2017年アメリカ)
・彷徨える河(2015年コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン)
・生まれてこなかった男(1963年アメリカ)
・アバウト・タイム~愛おしい時間について~(2013年イギリス・アメリカ)
・スライディング・ドア(1998年イギリス・アメリカ)
・ランダム(2013年アメリカ)
・残響のテロル(2014年日本)
・龍の歯医者(2014年日本)
・魔法少女まどか☆マギカ(2011年日本)
『マル激トーク・オン・ディマンド』は、ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』が毎週放送するニュース番組。毎回、各界のキーパーソンをスタジオに招き、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司との間でニュースの核心部分を徹底的に掘り下げるところが最大の特徴。2001年4月の第1回放送より続く長寿番組で、その放送回数はこの7月で850回を数える。『マル激トーク・オン・ディマンド』は通常、毎週金曜に収録し土曜日に更新されているが、金曜が5回ある月に限り「5金スペシャル」と称して特別企画を無料で放送している。
後半はこちら→so31493137
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル SEALDsが日本社会に投げかけた素朴な疑問/奥田愛基氏(SEALDs・明治学院大学4年)、福田和香子氏(SEALDs・和光大学4年)
5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では安保法制に反対する国会前デモで一躍注目を浴びた学生グループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーを迎えて、彼らシールズの活動を通じて見えてきた日本の実相への素朴な疑問について、大いに語ったもらった。
ラップ音楽に乗った「コール」で、安保法制に反対するデモをリードしてきたシールズ(SEALDs:Students Emergency Action for Liberal Democracy-s = 自由と民主主義のための学 生緊急行動)は、2013年に成立した特定秘密保護法に反対する学生団体サスプル(SASPL: Students Against Secret Protection Law = 特定秘密保護法に反対する学生有志の会)をその前身に持つ。
東日本大震災と原発事故後の政府の対応や特定秘密保護法、安保法制の制定過程などを通じて、日本の民主主義の在り方に対する根本的な疑問を持つ人が増える中、実際にその影響を最も強く受けることになる若者、とりわけ学生たちにも、その危機感は十二分に共有されていた。しかし、民主主義や民主主義を守るために立ち上がった学生たちと聞くと、従来の学生運動を思い起こす人も多いに違いない。ましてやその中心メンバーとなれば、さぞかし意識の高い若者たちなのだろうと思いきや、その一人、奥田愛基さんは、今回の安保法制への反対運動を始めるまでは、ほとんどデモに参加したこともなく、特に特定の政治問題に対するスタンスを公言したこともなかったという。・・・・
分からないこと、おかしいと思うことがあれば、声を上げるのが当たり前の社会への第一歩を踏み出す先鞭をつけた学生グループのシールズが、その活動を通じて見たもの、感じたことを、その中心メンバーの奥田愛基さん、福田和香子さんと、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。後半はこちら→so27491771
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・遠隔操作ウィルス事件続報
問われるべきリーク報道の責任・福島原発訴訟で不起訴処分
検察は本当に捜査を尽くしたのか
<マル激・後半>5金スペシャル 映画特集 豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか/寺脇研氏
5週目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする恒例の5金スペシャル。今回は、映画評論家の寺脇研氏をゲストに迎え、映画特集を生放送でお送りした。
番組の前半で取り上げたのは、今年の米アカデミー賞で元夫婦監督による対決が話題を集めた『アバター』(ジェームズ・キャメロン監督)と『ハート・ロッカー』(キャスリン・ビグロー監督)……。
後半のテーマは打って変わって今の日本が抱える問題について議論。現在公開中の日本映画『ソラニン』(三木孝浩監督)に見る、日本の若者たちの閉塞感、先の見えない不安感はどこから来るものなのか。韓国映画の『息もできない』(ヤン・イクチュン監督)とメキシコ映画の『闇の列車、光の旅』(キャリー・ジョージ・フクナガ監督)と対比しながら、日本映画の貧しさを通して、社会が豊かになることで失われていくものについて考えてみた。
前半はこちら→so10599610
<マル激・後半>5金スペシャル・政治権力による放送の私物化を許してはならない/永田浩三氏(武蔵大学社会学部教授・ 元NHKプロデューサー)
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。今回はNHK新会長の発言問題を取り上げる。2001年の「ETV番組改編問題」の渦中にいた元NHKプロデューサーの永田浩三氏(現在は武蔵大学社会学部教授)をゲストに迎えて、なぜ時の政権による放送局への介入がそれほど重大な問題なのかを議論した。
安倍政権が送り込んできた新しい経営委員らの後押しを受けてNHKの新会長に就任した籾井勝人氏は、その就任記者会見の場で従軍慰安婦や靖国、秘密保護法などに対する持論を披歴した。確かに、籾井氏の歴史認識については初歩的な誤解や誤認も多く、NHKの会長としての資質に疑問が呈されるのは避けられないかもしれない。…
日本が公共放送のお手本とするイギリスのBBCでは、政治介入を防ぐための手立てが多重的に講じられている。フォークランド紛争の際に、サッチャー政権からイギリス軍を「我が軍」と呼ぶように求められてもそれをはねつけ、あくまで「イギリス軍」と呼び続けたBBCは、NHKと同様にBBCトラストと呼ばれる経営委員会によって運営されている。このBBCトラストの委員は大臣の助言のもと女王が任命するが、その過程では公募制を取り、委員になる人物の能力や資格の明確化や選任プロセスの文書化と透明化、選任プロセスへの外部監査など厳しい外部チェックを受けることで、党派性や偏りを排除し、適性に疑問のある委員の選出を防ぐような手立てがとられている。同じ経営委員会でも、時の政権の意向に沿う形で密室の中で意味不明の基準に基づいて委員が選ばれている日本との違いはあまりに顕著だ。
実はイギリスでBBCトラストの委員の公共性、中立性、そして適性を外部的に審査する公職任命コミッショナーはBBCトラストの委員のみならず、政府のあらゆる審議会や委員会の委員の人選も監査の対象としている。日本ではほとんどすべての政府系の委員会や審議会が、時の政権や官僚の御用委員会と化していることは今更指摘するまでもないが、この問題もまた、NHKの経営委員会問題とも根っこは同じなのだ。
2001年のETV番組改編事件を見るまでもなく、これまで放送局はことごとく権力の介入に甘んじてきた。権力にとっては世論を左右する放送に対する影響力はあまりに美味しい権限だ。制度がそれを可能にする以上、そうならない方が不思議と言っていいだろう。しかし、ここにきて安倍政権がこれまで以上に露骨な形で放送への介入を行ってくれたおかげで、国民の公共的な利益を守る立場にあるはずの放送が、実は時の権力に完全に隷属してしまっている実態が、期せずして明らかになった。この際、イギリスの公職任命コミッショナー制度などを参考に、放送行政のあり方、引いては委員会、審議会のあり方を抜本的に見直すべき時がきているのではないだろうか。
NHKに代表される時の政治権力とわれわれが守るべき公共性との関係などについて、ゲストの永田浩三氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so22792942
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・都知事選勝利で安倍政権の原発推進に拍車
・立憲主義を否定する首相が「憲法を解釈するのは私だ」
・遠隔操作ウイルス事件続報
第一回公判から見えてきた事件の核心的争点
マル激トーク・オン・ディマンド 472 「映画特集!Twitter特集!」 3/3
~宮台・神保がアバター×ハートロッカーを語る~
「映画特集 豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか」
2010.04.30
神保哲生 (ビデオニュース・ドットコム)
宮台真司 (社会学者)
郷原信郎 (弁護士)
寺脇研 (映画評論家)
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<マル激・前半>5金スペシャル 映画特集 豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか/寺脇研氏
5週目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする恒例の5金スペシャル。今回は、映画評論家の寺脇研氏をゲストに迎え、映画特集を生放送でお送りした。
番組の前半で取り上げたのは、今年の米アカデミー賞で元夫婦監督による対決が話題を集めた『アバター』(ジェームズ・キャメロン監督)と『ハート・ロッカー』(キャスリン・ビグロー監督)……。
後半のテーマは打って変わって今の日本が抱える問題について議論。現在公開中の日本映画『ソラニン』(三木孝浩監督)に見る、日本の若者たちの閉塞感、先の見えない不安感はどこから来るものなのか。韓国映画の『息もできない』(ヤン・イクチュン監督)とメキシコ映画の『闇の列車、光の旅』(キャリー・ジョージ・フクナガ監督)と対比しながら、日本映画の貧しさを通して、社会が豊かになることで失われていくものについて考えてみた。
後半はこちら→so10599605
<マル激・後半>無料放送・5金スペシャル・クズのコスパ野郎にならないために生きがいを見つけよう
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今回は脳科学者の茂木健一郎氏をゲストに迎え、まず茂木氏の近著「IKIGAI」を元に、「生きがい」という言葉の背後にある日本固有の精神性や考え方を議論した。
茂木氏は日本人の生きがいには、1)小さく始める、2)自分からの解放、3)調和と持続可能性、4)小さな喜び、5)今ここにいること、の5つの柱があると説く。そして「朝、目を覚ます理由」とも表現される生きがいには、「こだわり」や「クオリア」、「フロー」などが必要で、まず手始めに、自分が心から大事にしているものは何か、また自分に喜びを与える小さなことは何かの2つを自問することが、生きがいを見つける第一歩になると指摘する。
人間の価値が成功によって決定される世界では、多くの人が不必要なプレッシャーに押しつぶされそうになる。しかし、何かを達成しなくても、生きる価値を与えてくれる生きがいを持つことは十分できる。生きがいとは、自分にとって意味がある人生の喜びを発見し、定義し、楽しむことであり、必ずしも社会的な報酬に結びつくものではない。それは自分だけが理解できる特別な価値であり、密かにゆっくりと培い、成果を得ていくものだと茂木氏は言う。
生きがいをみつけると「フロー」と呼ばれる心理状態に入ることができるようになる。これは、ある活動に夢中になるあまり、それ以外のものが何も気にかからなくなるような状態のことだ。しかし、フローを得るためには自我を解き放つ必要がある。そしてそれは、今目の前にあることに全身全霊を傾けることで初めて達成が可能となる。茂木氏は日本人特有の「こだわり」や「職人気質」の背後に、この「フロー」という精神状態があると語る。
生きがいはその言葉の通り、生きる甲斐を与えてくれるものだ。生きがいを見つけることができれば、とかくわれわれの行動を支配しがちな目先の損得勘定や人からどう見られているか、社会的な成功を収められるかどうかといった日々の不安やイライラの種から解放されるばかりか、意味があると思える人生の喜びを発見し、楽しむことがきっと可能になるにちがいない。
日本人だけが知る、長く幸せな人生を送る秘訣としての「生きがい」を英語で著した脳科学者の茂木氏と、とかく「クズのコスパ野郎」に成り下がりがちな今の世の中で生きがいを持って生きるための方法を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so34877402
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
マル激トーク・オン・ディマンド 472 「映画特集!Twitter特集!」 2/3
~宮台・神保がアバター×ハートロッカーを語る~
「映画特集 豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか」
2010.04.30
神保哲生 (ビデオニュース・ドットコム)
宮台真司 (社会学者)
郷原信郎 (弁護士)
寺脇研 (映画評論家)
3 sm10655391
<マル激・前半>5金スペシャル・戦争とテロを乗り越えて仲間とともに生き抜くために
2022年最後となるマル激は、5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。今回は先週からスタジオに復帰した宮台真司とジャーナリストの神保哲生が、久しぶりの「2人マル激」で2022年を総括し2023年を展望した。
2022年はウクライナ戦争と安倍元首相の銃撃事件という、まさに「瓶のふた」が取れたような衝撃的な出来事によって規定される1年となってしまった。世界では20世紀の遺物であるかのように考えられてきた国民国家間の全面戦争が実際に起きたことで、これまでの秩序やグローバル化に対する盲信が根底から揺らぐ一方で、日本では首相退任後も日本政界の最高権力者の座にとどまり続けていた元首相が、何と手製の銃によって暗殺されてしまった。2022年はどのような年として歴史に刻まれることになるのだろうか。
ただし、ウクライナ戦争にしても、安倍元首相の暗殺にしても、それが何を意味しているかについての合意がいまだに存在しない。ウクライナ戦争はロシアの独裁者であるプーチン大統領が独断で仕掛けた戦争であることは間違いないが、だとしてもそもそも彼が何のために、これほど多くの犠牲を生んでまで戦争を続けているのかを明確に説明できる人はおそらく誰もいない。マル激でもさまざまな専門家を招き、それこそNATOの東方拡大脅威説からロシア民族主義説にいたるまで何度かその説明を試みてはみたが、どの専門家からも明確な答えは得られなかった。
安倍氏の暗殺も、その意味が十分説明されたとは言い難い。犯人の動機に統一教会に対する恨みがあったことが判明すると、社会の関心は統一教会一色に染まった。確かに多くの被害者を生み続けてきた統一教会を放置してきたことは大問題だ。しかし、最高政治権力者の暗殺という歴史的な重大事件を統一教会問題だけで終わらせてしまってはならない。安倍氏は現在の日本が丸ごと乗っかっている「安倍政治」という一つの時代を作った人物でもあり、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更など、良くも悪くも安倍氏の元で日本は大きく歴史の舵を切っている。その安倍氏が突如として亡くなったことで、今日本には権力の空白が生じている。今後、その空白に何が入ってくるのかを、われわれは細心の注意を払ってウオッチしていかなければならない。
一歩まちがえば第三次世界大戦になりかねない戦争の意味や、最高権力者が暗殺されたことの意味ですら、合意形成が難しくなっているのだ。個々の政策や社会問題でコンセンサスを築いていくことは容易ではない。しかし、だとしても今の日本には説明がつかないことが多すぎる。なぜ未だに、解雇規制によって手厚く保護された正社員と使い捨ての非正規労働者なるものが存在しているのか。日本の子育て支援や教育支援の公共支出が先進国で最低レベルのままなのはなぜか。住民税の税金の5割が返礼品と運営費に消えてしまうふるさと納税なる制度が、未だに大手を振って存在しているのはなぜなのか。ありとあらゆる不条理を抱えながらなぜ日米地位協定は一切改正できないのか。アメリカから言われたら自動的に防衛費を倍増しそれを増税で賄うのか等々。これからもわれわれが問い続けていかなければならない課題は多い。
後半はこちら→so41583846
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<ニュース・コメンタリー>最高裁は選択的夫婦別姓に理解を示している・憲法学者の木村草太氏が「同姓合憲」判決を解説
結婚した夫婦に同じ姓を名乗ることを求めている現行の法律が、憲法が保障する婚姻の自由を侵害しているなどとして、5人の男女が国に損害賠償を求めていた裁判で、最高裁が12月16日、これを合憲とする判断を下したことに対しては、選択的夫婦別姓を求めてきた人たちの間で落胆の声が広がっている。しかし、憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太氏は、最高裁の判決は夫婦別姓に対して最高裁が強い理解を示していると見ることができる内容になっていると指摘し、次に期待が持てる判決だったと評価すべきと語る。
民法750条で「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定められているため、日本では結婚した夫婦はどちらかの姓に統一することが求められる。そして、実際は結婚した夫婦の96%が夫の姓を名乗っていることから、これは女性に多大な犠牲を強いる差別的な制度であるとの批判がある。その一方で、夫婦同姓は夫婦の一体感を強化し、両親の姓が同じであることはその子供にとっても利益があるとの主張があり、世論調査などでも意見が分かれていた。また、夫婦に同姓を強いる現行制度は人権上問題があるとして、国連からも改善を求められてきたという経緯がある。
しかし、最高裁は16日、同法は憲法に違反しないとの判断を示し、損害賠償請求も棄却した。15人から成る大法廷が10対5で合憲と判断した理由は、姓名の変更は婚姻という自らの選択によって生じるものであり、また民法は妻のみに改姓を迫るものでもないことなどから、憲法13条、憲法14条、憲法24条にいずれにも違反しないというものだった。
10人の多数意見は一見すると選択的夫婦別姓を認めようとしない保守的な判決と読める内容だが、実際はその見方は間違いだと木村氏は言う。なぜならば、今回の裁判は選択的夫婦別姓の是非に対する判断を求めたものではなかったからだ。木村氏は今回の裁判は原告が「氏名を変更されない自由の侵害である」「男女の区別が不平等である」との論点設定で臨んだために、このような判決となったが、別の論点を設定していれば、異なる判決となった可能性が高いとの見方を示す。
最高裁が判決の中で指摘するように、男女のカップルが法律婚を選ぶかどうかは、当人たちの選択に基づく。自らの選択で法律婚を選んでいる以上、それは姓の変更を強制されたと主張することは法律的には難しいと木村氏は指摘する。また、96%の夫婦で女性が姓の変更をしているという実態があるとしても、法律では一方的に女性側に姓の変更を求めているわけではないため、これを男女不平等とする主張も法律的には通りにくいと語る。
しかし、木村氏は今回の判決を法律の専門家が読むと、最高裁は選択的夫婦別姓に対して格別な理解を示していると読める内容になっていると指摘する。論点の立て方を工夫すれば、最高裁は選択的夫婦別姓を認める用意があると判断しているとの見方が可能だというのだ。
最高裁判決から読み取れる選択的夫婦別姓に対する最高裁の考え方を、ジャーナリストの神保哲生が憲法学者の木村草太氏に聞いた。
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・エネルギー基本計画とプルトニウムの返還を求めるアメリカの真意
・「憲法違反の憲法」はどの憲法に違反をしているのか
マル激トーク・オン・ディマンド 472 「映画特集!Twitter特集!」 1/3
~宮台・神保がアバター×ハートロッカーを語る~
「映画特集 豊かな国日本がかくも不幸せなのはなぜか」
2010.04.30
神保哲生 (ビデオニュース・ドットコム)
宮台真司 (社会学者)
郷原信郎 (弁護士)
寺脇研 (映画評論家)
2 sm10655177
<マル激・後半>5金スペシャル・コロナでいよいよ露わになったコモンを破壊する資本主義の正体
月の5回目の金曜日に特別企画をお送りする5金スペシャル。
今年2回目の5金となる今回は、25万部の大ベストセラーとなっている『人新世の「資本論」』の著者で新進気鋭の経済・社会思想学者として今論壇の話題をさらっている大阪市立大学准教授の斎藤幸平氏をゲストに招き、資本主義の限界や成長が豊かさをもたらすという神話への疑問点などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司との特別対談を無料でお送りする。
斎藤氏はマルクスが「資本論」の中で著した、人間が資本に振り回されるようになり主体と客体が逆転するという話は、まだまだ大きな経済成長が期待できる20世紀の資本主義の黄金期には流行らなかったが、21世紀に入り資本主義の限界が至るところで露呈し、地球環境問題も深刻化の一途を辿ることに加え、新型コロナウイルスによって資本主義の矛盾や限界がより顕著になったことで、世界中でこれまでの社会や経済のあり方について「これで本当にいいのか」と考える人が増えたと指摘。その結果、人新世(人間が地球の地質学的特徴まで変えてしまった時代)のあり方が根本から問われるようになったと言う。
これまで人類は、いや少なくとも先進国では、あたかも無限の成長が可能であるかのように振る舞い、成長こそが豊かさを、豊かさこそが幸せを約束するものと信じて疑わずにやってきた。しかし、その実は成長のコストを外部化することで、その代償を一部の人に押しつけ、その恩恵を一握りの豊かな国だけが独占してきたに過ぎなかった。外部化するコストの矛先はかつては発展途上国の人々であり、また地球環境だった。そしてわれわれの底知れぬ欲望がグローバル化なるスキームまで生み出したことで、しわ寄せの押し付け先をいよいよ国内の弱者にまで求めるようになっていった。
また、飽くなき成長を追求した結果、その先に真の豊さと幸せが待っていたかと言えば、それもまた必ずしもそうとはいい切れないのが現実だった。
斎藤氏はバブル以降しか知らない世代は、そもそも成長によって豊かになろうという感覚がなく、グレタ・トゥーンベリさんに代表されるさらに若い「Z世代」になると、気候変動に対する恐怖すら覚えるようになってきている。そうした世代にとっては、上の世代が訴える「格差の是正」だの「SDGs」だといったスローガンは、結局のところ現在の経済・社会構造を根本から壊さないための弥縫策にしか見えず、彼らの感覚では「何言ってんの?」という疑問があるのだと言う。その世代にとっては、小手先の微調整などはもはや手遅れであり、コモン(社会的共通資本)をベースにそもそも成長を前提としない新しい社会・経済システムを根本から作り直さない限り、今世界が直面する問題は解決しないと感じる人が増えているのだという。
『人新世の「資本論」』が思想書としては異例中の異例とも言うべき大ヒットとなった背景には、そうした世代の人々の「よく言ってくれた」との思いがあったという手応えを感じていると斎藤氏は言う。
最後に斎藤氏は、『人新世の「資本論」』には今後日本で自分たちが作っていくべき社会像を描くところまでは踏み込んでいないことを指摘した上で、今後本書で紹介された「コモン」という考え方やその価値が広く理解されることで、多くの人が地域やコミュニティで何らかの動きを始めるきっかけになることに期待していると語る。
われわれが人として子々孫々のために今すべきことは何なのか、そのためにどこから手を付けたらいいのかなどについて、「人新世」という地質学的な長いスパンで現在の社会のあり方に対する問題提起を行っている斎藤氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so38668308
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<ニュース・コメンタリー>既存のメディアのロシアゲートと「トランプのアメリカ」のロシアゲート
今のアメリカには、通常われわれが「アメリカ」という時に思い描くアメリカと、もう一つのアメリカ、つまり「トランプのアメリカ」がある。
その厳然たる事実を、われわれは昨年11月の大統領選挙で、痛いほど思い知らされたはずだ。
そのトランプ大統領をめぐるロシア・ゲートが佳境を迎えている。先の大統領選挙でトランプの陣営が、ロシアと結託して選挙に影響を及ぼしたとされる疑惑だ。
選挙戦での自らの陣営を捜査中であることを明言したFBIのコミー長官を罷免したかと思えば、ロシアの外相に機密情報を漏えいした疑惑や、FBIに側近の捜査を止めるよう命じた捜査妨害疑惑など、新たな疑惑が出てこない日がないといっても過言ではないほど、今やトランプ政権は疑惑のスーパーマーケットと化している。法務省は遂に特別検察官を任命し、ロシアゲートの調査に乗り出すという。
ロシアゲートで指摘される問題の一つひとつは、決して軽いものではない。
そもそもロシア政府と組んで大統領選挙に影響を及ぼした疑惑などは、もし事実だとすれば、国家反逆罪クラスの大スキャンダルだ。ニクソン大統領の辞任につながった、かの有名なウォーターゲート事件が、元々の犯罪事実は盗聴器を設置する目的で5人組が政敵である民主党全国委員会の事務所に不法侵入したことだったのに比べると、トランプのロシアゲートのスケールは余りにも大きい。場合によってはアメリカ史に残る大スキャンダルになる可能性すら秘めていると言っても過言ではないだろう。もしも調査の結果、ロシアと共謀して大統領選挙に介入し、自身が有利になるように選挙結果を左右したなどということが明らかになれば、弾劾や辞任だけでは済まされないことは言うまでもない。
だからこそワシントン界隈が大騒ぎしているのも無理はない。
しかし、である。一連のロシアゲート報道にはやや注意が必要だ。なぜならば、先に指摘した通り、今のアメリカにはわれわれの考えるアメリカと「トランプのアメリカ」の2つのアメリカがあるからだ。そして、確かにわれわれが普通に考えるアメリカでは、ロシアゲートは蜂の巣を突いたような大騒ぎになっているが、もう一つの、つまりトランプのアメリカでは、そんな疑惑など存在しないかのような普通の報道が続いているのだ。・・・
われわれが昨年11月8日の大統領選挙で学んだ教訓とは何だったのか。それを前提とすると、今日のトランプのロシアゲートをどのように見るべきなのかなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・PART1>5金スペシャル 原子力のこれまでとこれからを問う
5週目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする「5金スペシャル」。今回は福島第一原発の深刻な事態に直面し、「なぜわれわれは原子力をここまで推進してきたのか」、そして「これからわれわれはどうすべきか」を考える特別企画を、3部にわたってお送りする。
PART1は、震災以降ほぼ毎週、『ニュース・コメンタリー』で福島第一原発の最新状況を電話解説してきた京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏を、神保哲生・宮台真司が大阪・熊取の実験所に訪ねた……。
PART2(前半・後半)は、国策としての原子力発電を推進してきた自民党内にあって、公然と日本の原子力政策を批判し、核燃料サイクルに反対してきた衆議院議員の河野太郎氏を招き、地震、津波、ウラン燃料の枯渇など原発を推進する上でこれだけ悪条件が揃っている日本が、なぜそれでも原子力を推進してきたのかを、ジャーナリストの武田徹氏、神保、宮台の4名が議論した……。
PART3(前半・後半)は、東京電力と政府、原子力安全・保安院などからなる「福島第一原発事故対策統合本部」の事務局長として、今週月曜から長時間の記者会見に臨んでいる衆院議員で首相補佐官の細野豪志氏を招き、事故直後の意思決定のあり方、政府と原子力安全・保安院と東京電力の関係、賠償スキームの疑問点などについて萱野稔人氏と神保哲生が聞いた。
PART2前半はこちら→so14328101
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・メニューの偽装防止に政府の規制は必要か
・やっぱり東電に任せている場合ではない4号機問題
<マル激・PART2前半>5金スペシャル 原子力のこれまでとこれからを問う
5週目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする「5金スペシャル」。今回は福島第一原発の深刻な事態に直面し、「なぜわれわれは原子力をここまで推進してきたのか」、そして「これからわれわれはどうすべきか」を考える特別企画を、3部にわたってお送りする。
PART1は、震災以降ほぼ毎週、『ニュース・コメンタリー』で福島第一原発の最新状況を電話解説してきた京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏を、神保哲生・宮台真司が大阪・熊取の実験所に訪ねた……。
PART2(前半・後半)は、国策としての原子力発電を推進してきた自民党内にあって、公然と日本の原子力政策を批判し、核燃料サイクルに反対してきた衆議院議員の河野太郎氏を招き、地震、津波、ウラン燃料の枯渇など原発を推進する上でこれだけ悪条件が揃っている日本が、なぜそれでも原子力を推進してきたのかを、ジャーナリストの武田徹氏、神保、宮台の4名が議論した……。
PART3(前半・後半)は、東京電力と政府、原子力安全・保安院などからなる「福島第一原発事故対策統合本部」の事務局長として、今週月曜から長時間の記者会見に臨んでいる衆院議員で首相補佐官の細野豪志氏を招き、事故直後の意思決定のあり方、政府と原子力安全・保安院と東京電力の関係、賠償スキームの疑問点などについて萱野稔人氏と神保哲生が聞いた。
PART2後半はこちら→so14328136
<マル激・前半>5金スペシャル・コロナでいよいよ露わになったコモンを破壊する資本主義の正体
月の5回目の金曜日に特別企画をお送りする5金スペシャル。
今年2回目の5金となる今回は、25万部の大ベストセラーとなっている『人新世の「資本論」』の著者で新進気鋭の経済・社会思想学者として今論壇の話題をさらっている大阪市立大学准教授の斎藤幸平氏をゲストに招き、資本主義の限界や成長が豊かさをもたらすという神話への疑問点などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司との特別対談を無料でお送りする。
斎藤氏はマルクスが「資本論」の中で著した、人間が資本に振り回されるようになり主体と客体が逆転するという話は、まだまだ大きな経済成長が期待できる20世紀の資本主義の黄金期には流行らなかったが、21世紀に入り資本主義の限界が至るところで露呈し、地球環境問題も深刻化の一途を辿ることに加え、新型コロナウイルスによって資本主義の矛盾や限界がより顕著になったことで、世界中でこれまでの社会や経済のあり方について「これで本当にいいのか」と考える人が増えたと指摘。その結果、人新世(人間が地球の地質学的特徴まで変えてしまった時代)のあり方が根本から問われるようになったと言う。
これまで人類は、いや少なくとも先進国では、あたかも無限の成長が可能であるかのように振る舞い、成長こそが豊かさを、豊かさこそが幸せを約束するものと信じて疑わずにやってきた。しかし、その実は成長のコストを外部化することで、その代償を一部の人に押しつけ、その恩恵を一握りの豊かな国だけが独占してきたに過ぎなかった。外部化するコストの矛先はかつては発展途上国の人々であり、また地球環境だった。そしてわれわれの底知れぬ欲望がグローバル化なるスキームまで生み出したことで、しわ寄せの押し付け先をいよいよ国内の弱者にまで求めるようになっていった。
また、飽くなき成長を追求した結果、その先に真の豊さと幸せが待っていたかと言えば、それもまた必ずしもそうとはいい切れないのが現実だった。
斎藤氏はバブル以降しか知らない世代は、そもそも成長によって豊かになろうという感覚がなく、グレタ・トゥーンベリさんに代表されるさらに若い「Z世代」になると、気候変動に対する恐怖すら覚えるようになってきている。そうした世代にとっては、上の世代が訴える「格差の是正」だの「SDGs」だといったスローガンは、結局のところ現在の経済・社会構造を根本から壊さないための弥縫策にしか見えず、彼らの感覚では「何言ってんの?」という疑問があるのだと言う。その世代にとっては、小手先の微調整などはもはや手遅れであり、コモン(社会的共通資本)をベースにそもそも成長を前提としない新しい社会・経済システムを根本から作り直さない限り、今世界が直面する問題は解決しないと感じる人が増えているのだという。
『人新世の「資本論」』が思想書としては異例中の異例とも言うべき大ヒットとなった背景には、そうした世代の人々の「よく言ってくれた」との思いがあったという手応えを感じていると斎藤氏は言う。
最後に斎藤氏は、『人新世の「資本論」』には今後日本で自分たちが作っていくべき社会像を描くところまでは踏み込んでいないことを指摘した上で、今後本書で紹介された「コモン」という考え方やその価値が広く理解されることで、多くの人が地域やコミュニティで何らかの動きを始めるきっかけになることに期待していると語る。
われわれが人として子々孫々のために今すべきことは何なのか、そのためにどこから手を付けたらいいのかなどについて、「人新世」という地質学的な長いスパンで現在の社会のあり方に対する問題提起を行っている斎藤氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so38668344
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<マル激・前半>無料放送・5金スペシャル・クズのコスパ野郎にならないために生きがいを見つけよう
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。
今回は脳科学者の茂木健一郎氏をゲストに迎え、まず茂木氏の近著「IKIGAI」を元に、「生きがい」という言葉の背後にある日本固有の精神性や考え方を議論した。
茂木氏は日本人の生きがいには、1)小さく始める、2)自分からの解放、3)調和と持続可能性、4)小さな喜び、5)今ここにいること、の5つの柱があると説く。そして「朝、目を覚ます理由」とも表現される生きがいには、「こだわり」や「クオリア」、「フロー」などが必要で、まず手始めに、自分が心から大事にしているものは何か、また自分に喜びを与える小さなことは何かの2つを自問することが、生きがいを見つける第一歩になると指摘する。
人間の価値が成功によって決定される世界では、多くの人が不必要なプレッシャーに押しつぶされそうになる。しかし、何かを達成しなくても、生きる価値を与えてくれる生きがいを持つことは十分できる。生きがいとは、自分にとって意味がある人生の喜びを発見し、定義し、楽しむことであり、必ずしも社会的な報酬に結びつくものではない。それは自分だけが理解できる特別な価値であり、密かにゆっくりと培い、成果を得ていくものだと茂木氏は言う。
生きがいをみつけると「フロー」と呼ばれる心理状態に入ることができるようになる。これは、ある活動に夢中になるあまり、それ以外のものが何も気にかからなくなるような状態のことだ。しかし、フローを得るためには自我を解き放つ必要がある。そしてそれは、今目の前にあることに全身全霊を傾けることで初めて達成が可能となる。茂木氏は日本人特有の「こだわり」や「職人気質」の背後に、この「フロー」という精神状態があると語る。
生きがいはその言葉の通り、生きる甲斐を与えてくれるものだ。生きがいを見つけることができれば、とかくわれわれの行動を支配しがちな目先の損得勘定や人からどう見られているか、社会的な成功を収められるかどうかといった日々の不安やイライラの種から解放されるばかりか、意味があると思える人生の喜びを発見し、楽しむことがきっと可能になるにちがいない。
日本人だけが知る、長く幸せな人生を送る秘訣としての「生きがい」を英語で著した脳科学者の茂木氏と、とかく「クズのコスパ野郎」に成り下がりがちな今の世の中で生きがいを持って生きるための方法を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so34877657
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<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・映画が描く「絶望」の質が変わってきているのはなぜか
月の5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお送りする5金スペシャル。今年最後の5金となる今回は、マル激の5金では定番となった映画特集をお送りする。
今回とりあげた映画は宮台真司が選んだ「解放区」「よこがお」「ジョーカー」「アナイアレイション」の4作品。
「解放区」は新進気鋭の太田信吾監督による初の長編劇映画で、半人前のドキュメンタリー作家がさしたる計画もないままいきなり大阪・西成のドヤ街に飛び込んで取材を始めた結果、そこに巣くう数々の闇に引き込まれていく様を描いた衝撃作品。大阪市からの助成金の返還を余儀なくされたことでも話題となった。
「よこがお」は「淵に立つ」「海を駆ける」の深田晃司監督による社会の不条理ぶりを問う作品で、訪問看護婦の主人公が理不尽な理由から自分の人生が破滅へと追い込まれていく様が描かれている。
「ジョーカー」はこれまでハングオーバーシリーズなど娯楽作品を手掛けてきたトッド・フィリップス監督による話題作で日本でも広く劇場公開されているが、ホアキン・フェニックス演じる寂しい中年男が、本来は悪人ではないにもかかわらず偶然の出来事をきっかけに悪のカリスマへと変貌していく。その様は、善人と悪人を分かつ線が非常に脆弱であると同時に、実は単なる偶然の産物に過ぎないことを痛感させる。
「アナイアレイション」は「ザ・ビーチ」や「エキス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督によるネットフリックス配信の作品でベストセラーとなったSF小説「サザーン・リーチ」を実写映画化したもの。主演のナタリー・ポートマン演じる生物学者が突如出現したエリアXという未知の空間に足を踏み入れると、そこではこの世の終わりを予言させる現象が展開されていた。この作品にはこの世の終わりが描かれているにもかかわらず、それをありきたりの恐怖感や絶望感をもって迎えるのではなく、「それもありかも」と思わせるような問題提起が行われている。
長らく映画は善玉と悪玉を明確に識別可能な状態を作った上で、最後は必ず善が勝利する勧善懲悪ものが基本だった。また、この世の終わりというのも、悲惨で悲しいものとして描かれてきた。しかし、ここに取り上げた作品に共通して言えることは、善と悪などそう簡単に識別できるものではないし、割りきれるものではないということではないか。善は悪であり、悪は善でもある。この世の終わりでさえ、必ずしも悪いものとは限らない。世の中も生態系も非常に複雑であり、善悪など簡単に審判することはできないが、それでもその中で人々は生きていかなければならないし、人類も生態系も地球もその矛盾の中で存在し続ける。そうした矛盾した不条理な世界との向き合い方を考える上で、今回の4作品はさまざまなヒントを提供してくれているのではないだろうか。
今回のマル激5金スペシャルでは、なぜ今、善悪やこの世の終わりとの向き合い方が変わってきているのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so36023675
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>上半期マル激総まとめ カギは制度ではなく心の習慣に
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。今回は2012年の上半期に放送したマル激の中から重要だと思うテーマを抜き出し、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が更に議論を進めた。
今回取り上げたテーマは以下の通り。
1、これでいいのか消費増税
●第567回 野口悠紀雄氏(早稲田大学大学院ファイナンス研究科顧問)
消費増税ではDoomsdayは避けられない(2012年02月25日)
●第563回 高橋洋一氏(政策シンクタンク「政策工房」会長・嘉悦大学教授)
だから消費税の増税はまちがっている(2012年01月28日)
●第570回 鈴木亘氏(学習院大学経済学部教授)
年金問題の本質(2012年03月17日)
●第580回 江田憲司氏(衆院議員・みんなの党幹事長)
財務省はいかにして政権を乗っ取ったのか(2012年05月26日)
2、分かち合いの経済を実現するために
●第549回 神野直彦氏(地方財政審議会会長・東京大学名誉教授)
「分かち合い」のための税制改革のすすめ(2011年10月22日)
●第566回 波頭亮氏(経営コンサルタント)
分配社会のすすめ(2012年02月18日)
3、エネルギーデモクラシーのすすめ
●第576回 村岡洋文氏(弘前大学北日本新エネルギー研究所教授)
原発大国から地熱大国へ(2012年04月28日)
●第579回 植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)
エネルギーデモクラシーのすすめ(2012年05月19日)
●第582回 山名元氏(京都大学原子炉実験所教授)
私が日本には原発が必要だと考える理由(2012年06月09日)
4、われわれはなぜ原発を止められなかったのか
●第561回 井戸謙一氏(弁護士・元裁判官)、海渡雄一氏(弁護士)
原発事故の裁判所の責任を問う(2012年01月14日)
●第568回 日隅一雄氏(弁護士・NPJ編集長)
東電・政府は何を隠そうとしたのか(2012年03月03日)
5、不利益配分と民主主義の危機
●第574回 葉千栄氏(東海大学総合教育センター教授・ジャーナリスト)
中国の熾烈な権力闘争にわれわれは何を見るか(2012年04月14日)
●第578回 山田文比古氏(東京外国語大学教授)
大統領選でフランスが選んだものとは(2012年05月12日)
●第583回 会田弘継氏(共同通信社論説委員長兼編集委員室長)
アメリカはどこへ向かっているのか(2012年06月16日)
6、番外編
●第571回 川端幹人氏(ジャーナリスト・『噂の真相』元副編集長)
タブーはこうして作られる(2012年03月24日)
●第562回 篠田謙一氏(国立科学博物館人類史研究グループ長)
われわれはどこから来て、どこへ向かうのか(2012年01月21日)
●第584回 青山貞一氏(環境総合研究所顧問)
震災ガレキを広域処理してはならないこれだけの理由(2012年06月23日)
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