前 sm36851495 mylist/68236991 次 sm36885928 この館に迷いこんでからどれくらい経っただろう。琴葉茜は無意識にスマホで時間を確認しようとして気づいた。スマホは向こう側に置いて来てしまったのだった。思わず舌打ちしそうになる。暗く湿った空気と休む間もない霊体や化け物たちとの戦いの連続が容赦なく茜の精神を削っていた。「お姉ちゃん?」葵が不安そうに顔を覗き込んでくる。「なんでもないで」駄目だ。葵に心配されるなんて何をやっているんだ。うちは姉や、うちがしっかりしないと。軽く頬を両手でたたいて気合を入れなおす。無理やり笑顔を作ると葵の手を取って先を歩き始める。「きっともうすぐここから出られるで。うちのゲーマーとしての感がそろそろ終盤やって教えてくれとるからな。FFでいえばディスク3ってとこや。壺おじでいえば雪が積もってきたあたりやな」「そうだね。もうすぐだよね」前しか向いていない茜は気付いていない。明るく返事をしつつも葵の顔は下を向いたままであることに。「お姉ちゃん気づいてないと思うけど――もうすぐもうすぐって、それもう三回目なんだよ」口の中だけでつぶやいた言葉は姉には届かない。なんて一幕はないので忘れてください。